少年、因縁の二人
さぁ、始まります
ジンの正体が明かされます
では、どうぞ
俺は夢を見ていた
白い空間の中で一人寂しくそこにいた
何でここにいるのか俺には分からない
”マッテイタゾ”
え・・。
俺は思わず声のする方へと振り返っていた
巫女の衣装をきた少女が、俺の前に来て笑みを浮かべた
それは、圧倒的な力をもった不思議な少女
俺はなんのことなのか分からず首を傾ける
「君は・・?」
すると、俺の話を聞かずにまるでホログラムのように
”アノジジイカラハナシヲキイタオマエガソウナンダナ”
あのジジイ?
何のことだろうと頭を悩ませていると
少女はそんな俺をみて、とても悲しい顔をする
俺はなぜ、哀しいのか分からない
そして何かを決断したのか俺の前に来て
そして、呟いたのだ
”エラバレシモノヨ、トキガキタ”
え・・・。
俺はこれは夢なのになぜか現実味があった
それほど、この夢は不思議な夢だったのだ
少女はそんな困惑気味の俺に笑いかける
”チカラノカイホウヲソシセヨ”
「力の解放?」
”ソウダ、トキガチカヅク・・デンセツノモノヲマモレ”
「な・・なんで、いきなり俺に」
”アカイツキモデンセツノモノモスベテオマエニタクシタ”
訳の分からないことを言う少女に疑問を抱く
「赤い月・・君、何か知っているの!!?」
俺は聴こうとすると
”コレカラオマエハジジツヲメニスル”
「え・・。」
”オマエナラキットナントカデキルハズ”
突然
グニャリっと空間に異変が起きたような気がした
「ま・・待って」
俺は、情けなしに少女の手を握ろうとしたが、その手は空振りになった
そして落とされる感じがした
だけどもその手を握る何かを感じたのだった。
*****
「・・・ん」
俺は瞳を開けた
「旬、良かった」
ホッとラミアが息を吐く
「どうして・・。」
俺が起き上がろうとすると慌ててラミアは俺を寝かせようとする
「あ、起き上がらんでええのに」
「・・ううん。大丈夫」
俺はとにかく周りをみる
頭の痛みもなさそうだし、どうやらただ気絶しただけのようだ
俺は今の状況を聞くことにした
「ここは・・?」
「旬が、落ちた場所や」
「ジンは・・?」
ジンは旬に気づいたのか
「起きたか。大丈夫か」
「うん・・。」
「どうした?」
「夢・・見たんだ」
「夢・・?」
「ああ、早く行かないと、大変なことが起きるような気がするんだ」
二人は顔を見合わせてどういうことなのか訳が分からない顔をする
「説明しぃや」
ラミアが旬に説明を求めるけど
いや、もう時間がない
力の解放をさせてはいけない!!
「説明している時間がない。」
”力の解放を阻止せよ”
そうあの少女の声が頭に何度もリフレインする
「けど、もうすこし休んだほうが・・。」
「ううん。俺十分に休んだから」
ジンは静かにため息をつき
「わかった。」
ジンの同意にラミアはまだ心配そうな顔をして
「・・ええのか?ほんまに」
「うん。」
俺は、早く行きたかった
あの少女の忠告はなんなのか知りたかった
「けど、どないしょう?落ちてしまったんやで?」
「大丈夫だ」
ジンはスッと向こう側を指でさす
俺は不思議に思って聴くことにした
「ジン?」
「向こうに、強い殺気を先ほどから感じていたんだ」
「え・・。」
ジンはジッと続いている道を見ている
「どうやら落ちたのは当たりやったかもしれんな」
そういって俺たちはまた歩きだした
途中のトラップにもなぜか嵌ることもなく
順調に奥まで歩いていく
「どんなお宝なんやろうな。」
「・・・。」
「旬。ほんまにどないしたんや?起きてからあんさん
変やで?」
「・・・。」
俺は、ラミアを心配させたくなかった
でも、言葉が出てこない
あの夢が本当になんなのか確証がなかったからだ
そう思って前を歩いていたら
ジンがいきなり立ち止まった
「じ、ジンどうしたの?」
いきなり立ち止まったことに俺は思わず驚く
「旬、あれをみろ」
ジンがそこに目を向ける
ラミアが興奮したように
「すごい絵やな。」
「嘘だ・・。」
俺は思わず、言葉を忘れたかのようにその絵を魅入られた
その絵は美しいからではない
ただ、目が離せなかったからだ
俺たちが見たのは太古の昔の絵
その絵は、石についての話だった
その石の力でその扉を開けることができる絵だった
「ほな。この絵は石が扉を開ける絵なんやな?」
「おそらくな。」
「すごいなぁ・・旬・・どうしたんや?」
「・・・開けてはいけない。」
「え・・。」
俺は、恐怖を沸いた
この絵はただの絵ではない
ラミアが険しい顔になって俺を問い詰める
「どういうことや?説明しぃ。」
「あれは、ただの絵ではない。
扉だ・・人が開けてはいけない・・・禁断の!!」
「・・!!」
俺は感じたんだ
危険・・。
そう、とても大きな災いを・・。
「ほぉ、それは面白い。ますます開けたくなる一言だ」
その途端、前から声がした
「お前たちもここに辿りついたようだな」
声がした方に俺は目を向ける
そこには騎士風の男と先ほどのヴェールを被った少女の姿だ
「いつのまに・・!!」
ラミアは警戒する
「そんなに警戒しなくて。我々は何しない。」
にっこりと邪気なく笑うその姿に俺たちはさらに警戒する
ラミアは苦虫を潰した顔で
「騙されるかい。あんさんら、が何をするのか分かったもんやない」
「クック。これは酷いことを言うものだ。お嬢ちゃん」
「だれがお嬢ちゃんや!!うちはこれでも大人や!!」
キレ気味のラミア
俺はその男の底知れない瞳にゾッとした
「ねぇ、ジン。どうする?」
「・・。」
ジンはじっとその男を見つめる
殺気も半端ない程、鋭い
それは、まるで・・。
「ジン・・?ほぉ、その人狼は今そのような名で名付けられているのか」
ククッと笑い出す騎士風の男
この人・・ジンが人狼ということを知っている?
「・・久しぶりだな。オルフェ」
ジンの名をオルフェと呼ぶ騎士風の男
「え・・・。」
俺は思わずジンを見た
ジンはクッと口を噛み締めた
「オルフェという名は捨てた・・今はジンだ
はっきり、お前には会いたくなかったよ。”ソリドゥス”」
そう名乗ったソリドゥスはニヤリっと笑う
「ほぉ、オルフェよ。友からそのようなことを言われるとは私はとても悲しい」
尚もジンは睨みつけたまま
「・・一介の騎士風情がなぜここにいる?」
「ふぅ。言うね・・君こそ、どうしてここにいる?
君は、追放されたのに嘆かわしいことだ」
悲しい素振りをする姿でも、どう見えても悲しい顔をしていないただの真顔だ
「どうでもいいことだ。関係ないことだからな」
すると、屈強に笑いだす
「面白い、オルフェ・・いや、ジンよお前は変わったな」
「変わったのは、お互い様だろ。」
ソリドゥスはジンの事を変わったと言った
だけど、どこが変わったのかよく分からなかった
俺はジンのことを知らない
一体、この二人に何があったんだ・・・?
睨みあうこと数分
ヴェールを被った少女はクィクィっとソリドゥスの裾を握る
ウェールから見えないけど不機嫌そうな顔をしているのが分かる
騎士は少女の手を握り
「申し訳ないことをしました。姫よ」
敬愛のようにその手にキスをする騎士
「・・で、貴方達はなんでここで立ち往生しているの?」
俺は思わず聴いてしまう
その言葉に反応したソリドゥスは俺の上から下まで見て
そして、
「ほぉ、これはまた幼い坊っちゃんで」
「誰が坊っちゃんだ!!」
俺はいらいらしだした
この男、俺をバカにしているのか!?
イラっとするね。
何かを言い返そうとすると
ドクン、ドクン
その時、何かが駆け巡った
嫌な予感を。
「何かくるな・・。」
ラミアも感じ取っていたのか冷や汗をかいている
ソリドゥスは、その何かに口を釣り上げた
「待っていたのだ。このときを」
そして、何かはめることが可能な扉がでてきた
「さぁ、姫。この石をあの扉をはめてください」
その石を渡された途端
俺は声を出す
「・・・めだ」
「え・・。」
ものすごく嫌な予感がした
ダメだ!!
「ジン、ラミア、その扉を開けてはダメだ!!」
「わ、分かった」
その扉に近づく俺たち
だけど
「そうはせない。」
すると、俺たちの動きを封じるような技を仕掛けてくる
「くっ・・。」
俺はしびれて動けない
「なんや。これ」
動けない俺たちは困っていた
「くっ・・。」
ジンは動けないからだを必死に動かそうとして
悔しそうに前を見ている
ソリドウスは、姫呼ばれた少女を扉の前に連れていく
「姫よ、さぁ、我らに新たな力を。」
こくりと頷いて少女は石を手にして
その石で扉を開ける鍵として開ける
突如、まばゆい光と共に扉が開かれる
「ついに・・。」
ソリドウスは感激するがそれもつかの間
衝撃が彼を襲う
「ぐっ、なんていう・・力だ。」
その時、何かの弦がソリドゥスの手に巻き付かれ
ソリドゥス扉の向こうに強制的に連れ去られた
当然、その姫と呼ばれた少女・・そして、俺たちも
その扉に強制的に扉の中に入ることになり
俺たちが全員入った後、扉は閉じられた
これからが必見です。
では、また次話で




