少年、断ち切られた絆
今回はグラム視点で送りします。
意外とグラム視点は大変だったのでこの一週間悩みました・・。
では、どうぞ
それは・・いつかの誓い
確かな・・再戦の約束
”僕は、いつか、この国の魔法を極めて魔導師になる
お前との勝負はいつか・・必ずケリをつけてやる”
”なんだ、そんなことか。”
面倒そうな顔をするグラム
”なんだそんなことって!!僕にとっては一大事だぞ!?”
そんなことを叫ぶ男に・・グラムはクッと笑う
”いいか、お前バカか。。俺はいつでも
お前との勝負を受ける”
”・・・!”
その強気発言のグラムに驚く
”だから、いつか・・この戦いに白黒をつける。
待っているぜ。がははは”
高笑いをする姿
まさに、グラム・ガラントだ
豪快だからこそ・・誰にも慕われる男
商人でありながら武人である男
男は・・知らず知らず・・笑いがでてしまう
”下品な笑い方・・・ああ、約束だ”
後に・・魔導師になる男・・。
ソウ・クライシスとの誓い
かって・・友だと言えた・・あの日
寒くもない・・とても晴れやかな日
俺は・・いや、俺たちは確かにあの日までは確かに
俺たちには絆があった
・・・俺は、奴と出会うまでしがない商人の生まれだった。
しかし、幸せだったのさ
なぜなら、公爵様が俺のような商人を支えてくれた
そして・・そこでリフレイアに恋をした。
そんな時、奴の幼地味である・・アイツに出会った
強い意思と強い魔法
俺とあいつは、ライバル同士だった
気が合わない訳でもない
俺も強さに憧れる一人だったから
自然と、奴とは戦いの世界で共に生きた
そう、俺はしがない商人であり武人として
奴のことも人としてのライバルだった。
だけど・・もう、あの頃のようには戻れない
すべては・・5年前のせいで
”すまない・・・僕は、守れなかった・・・・”
嘆きと虚しさを備えたソウ
その言葉は忘れられなかった
リフレイアだけじゃねぇ・・
公爵様や王を死なせてしまった奴を・・・
怒りはあった
だが・・・同時に、何も言えなかった
そう・・嘆きと無念の奴の顔をみたら。
あいつは・・すべてを守れなかったことが後悔をし
それがやがて・・・狂ったかのように・・・。
そして、奴のリーダー格の魔導士と同じように奴は変わってしまった。
・・・今とは違う姿になったあいつに・・・
俺は友でありライバルとして何ができるか考えた
暗い闇の底にいる奴のために・・
その結果・・もう一度戦う決心をした。
それが、俺ができる奴への願いだ。
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寒い・・な。
俺は、そう身に感じた
しかし・・それどころじゃねぇな
小僧が先に行ったのはよかったな。
奴は・・水と氷・・どちらも両方を扱うことができる極めし者
昔はここまで、無表情じゃなかったな。
まるで・・なにかを抜け落ちたかのようだ
感情のすべてをな。
あんなに、感情のむきだしだったやつが
こうも変わると・・不気味・・かもしれんな。
「見ないうちに無表情になったな。何がお前を変えたのか。
俺には問いたい・・が、それどろこじゃねぇようだ」
ギラリっと睨みつける瞳
まさに・・殺意だ。
俺に対してだけではねぇ・・このすべての人に対してだ
「キエロ。」
その一言共に氷の飾りをした杖が・・俺に向けて
攻撃魔法を放つ
すると・・・突然攻撃をしかけてきやがった
「アイス」
パキパキっと氷の刃が襲ってきた
「へっ。」
鼻で笑い・・俺の愛用の武器
アックスを手に取る
俺の手に馴染むこれは、俺の気持ちをよくわかってくれる
相棒の武器だ。
その様子をみていたソウは・・淡々と
「・・・・耐えられたのか」
無表情の姿に・・やはり、どこまでも・・殺気を放っている
グラムはどこか吹く風のように・・ニッと笑って
「まぁな。伊達にこのアックスを扱っていないからな。
大戦を活躍した俺の強さはお前も知っているだろう」
そう、このアックスは見た目の割に、かなり重い
「・・・・」
次の攻撃体制に入るソウ
すでに、杖は怪しく光ってくるのが分る
あいつの攻撃は・・俺がよく知っている
どこまでも知っている
「フロスト」
霜が襲ってくる!
俺は、避ける
やはり、奴は・・
ここまで、中級の魔法しか奴は使っていない
奴のお得意の水魔法すら使っていない
それなら・・先に攻撃しようじゃないか
「こっちからいくぜ!!」
アックスをもって、飛び
放つ・・・目標は奴だ
「オメガストライク!」
パキィィっと氷が割る音が響く
が・・しかし、氷が割れただけであって
奴の姿はない・・
割れたのは奴の魔法で出した氷の塊
「・・・・!!」
アックスの攻撃は当たれば最強だ
しかし、当たらなければ・・隙ができる
すると・・奴はニッと笑って
まるで、これを待っていたかのようだ
「アクアマグナム」
強烈な水魔法を俺に放つ
咄嗟に、避けるが・・顔・・頬に、水の弾丸がかする
そこから・・・ドロっと・・血があふれる
どうやら、すごい力のようだ
「ぐっ・・・。」
俺は、裾の方に奴の銃の弾丸のような魔法に
手で頬に流れる血を触れる
ドロっと流れた血は・・真っ赤
殺傷力抜群だ。
血がドロドロっと流れても・・グラムは、ジッと見た
奴はまた次の攻撃の準備をしている
「アイス」
また氷の初期魔法だ
「しゃらくせぇ!!」
一気に氷攻撃を壊す
しかし、奴は・・俺を見て一言を放つ
そこには、既に魔法を整えたソウの・・姿があった
「弱い・・な。こんなお前なんか相手にしている暇はない」
すると、ソウは、杖に力を貯めて
「・・・凍えろ。」
その言葉と同時に・・杖は怪しく光る
「クウィックフリーズ」
すると・・・グラムの目の前で術を放つ
一体・・なにをしたんだ・・?
グラムは辺りを見渡す
ピキっと何か凍る音が聞こえた
グラムは足元を見ると・・・
「しまった!!」
グラムは避けることができずに・・
足から・・ピキピキっと音を立て
急速に凍っていく
「氷が・・・お前!!」
俺を凍らせる気か!!
ピキ
パキ
パキパキパキ
俺は奴をジッと見つめた
しかし・・奴は、俺を見ていなかった
すぐにでも小僧の後を追うつもりだろう・・と
そんな気がしたのだ
俺は・・弱いのか?
とグラムは自問自得する
こんな所で俺は負けるのか?
いや・・違う
負けるじゃねぇ・・勝つとかも違う!!
俺は・・・あの日の約束を果たすことだ
果たすこともできずに
無邪気で笑えたあの日に戻ることもできずに
困惑と哀しみ・・苦しみを背負う友人を信じることも
何も言えずに・・
嘆きをもった・・奴を・・・俺は・・・見捨てたんだ
何度も後悔した
リフレイアの墓で何を思った?
何を考えた
そうだ・・・・
俺は戦うと決めた
あの日の約束を果たし
あいつの目を覚ますことを
その決意をここで終わらせるのか!?
「もう終わりか・・」
どうやら興ざめしたのか・・・旬達を追うために
出口に向かって歩こうとする
その様子を見たグラムは・・
全力を出せ
腹の底から叫べ
俺は・・・・ここでは終われない
「がぁぁぁぁぁ」
咆哮が響く
大地を震えせる声
その途端・・今まで凍っていた身体だ
グラムの声によってバキィィィっと強い音と共に
氷が割れる
「!!」
出口に向かうソウはピタリっと止まったのだ
そして振り返る
ソウは・・驚いたのだ
氷を自力で割り
尚も・・今まで見たことのない
意思の強い瞳をしていた
そしてユラリっと近づくグラム
熱い闘気が見えたのだ
それも・・強い気をもった・・・グラムが・・。
そして、ボソリっと呟いた
「・・・・俺は、あの日のことを忘れねぇ
だからこそ、お前・・俺をバカにしてんのか?」
「・・・!」
そこにはギラギラっとしたグラムの姿だった
それはもう・・先ほどまでとは違う瞳だ
「こんな氷では俺を凍らせることはできねぇ!!」
「・・・!!」
「もう、俺は迷わねぇ。お前と戦う・・全力で。
その方は、お前も俺も・・よりよいはずだ」
今まにもない闘気を放つグラム
そして・・ソウはフッと笑って
「面白い。お前を・・ここで倒す」
そして・・・グラムは・・
「・・・お前のその嘆きを俺が打ち砕いてやる
覚悟しろ!!」
もう迷わない
戦える
俺は・・あの日の約束のために・・・
グラムは、再びアックスを手にとって
前へと・・進んでいったのだった。
拮抗する戦いが・・さらに、強まっていく・・・!
次回は、グラムとソウの決着です。
二人の戦いはどう進む?
では、次回もお楽しみに~




