少年、紅の瞳
今回は、聖女の行進です。
リゥイの視線の先には・・馬車のすごい音が聞こえる
そして見えてきたのは・・・人の姿だ。
恐らく、大勢の人がこちらに向かっている
「あれが・・・聖女の行進・・!?」
「・・なんていうか壮大やな。後ろからかなりの数の馬車が見えるわ」
「うん。そうみたいだ。」
最初に現れたのは騎士と兵士だ
皆、誇り高そうに敬礼をしているのが見える
「さすが、兵士と騎士ね。見事な敬礼だとおもう。」
「確かにな。」
リゥイとラミアがその様子を見つめてきた
「あ、ごしゅじん。あのひと・・!!」
クィクィっと旬の服の裾を引っ張る
どうやら、アニマは誰かを見つけたようだ
それは・・見事な敬礼をする騎士と兵士のトップに立つ人物
旬は見覚えがあった。
「あ、あれは・・確か、ギルバードさんだね。
騎士と兵士をまとめる人だったはず。」
そう、ギルバートさんだ。
プライドが高そうな雰囲気が見える
ラミアは、げんなりしながら
「そうやな。先頭に立っているからわかりやすい人や。
確かに、ウッズさんの言うとおりな人やな」
「あの馬鹿隊長。あいからず偉そうだね。
みて、旬。次はパレードよ!!」
リゥイは、あいからずジト目でギルバートを見ている
やがては、次にくる何かに嬉しそうに微笑む
すると・・陽気な音楽流れる
馬車の後ろから踊り子たちが踊ってくるのだ
さらに後ろにはピエロが花を降らせているのが分る
楽しいパレードが始まった
陽気な音楽と美しい旋律が宙に舞うようなだ。
踊り子とピエロが花を飛ばしたり踊ったりして
なんだか、楽しく感じる
花を拾うと・・とてもいい匂いがした。
とても甘い匂いがしたのだ。
旬はその花の匂いを嗅いでいるとアニマは嬉しそうにキャッキャッと
笑って
「すごい。おもしろいぞ!」
「粋なつくりをしているな。先ほどのよりかええわ。」
ラミアも満足だ。
ピエロと踊り子たちは、前に進んでいき
向こう側へと消えていった恐らく、街民の所だろう。
当たりまたもや静寂になる
そして、旬はあることが気になる
「あれ?肝心の聖女は・・こないの?」
そうだ。騎士と兵士の敬礼とパレードは見たけど
肝心の聖女の行進の重要人物がいなかったのだ。
すると、リゥイは旬に笑いかけ
「次よ。旬。これが本命よ。」
すると・・ヒヒーンっと馬の鳴き声と共に
不思議な音楽と共に・・透明な馬車が来たのだ。
恐らく・・ガラスの馬車だ。
なんていうか、絵本の世界のようだ。
「うわぁ・・すごいな。ガラスやん」
「凝ったことをするね・・。」
「ほんとうだ・・。」
上からラミア、旬、アニマがホォっと関心するかのように見惚れるのだ。
そう・・その馬車は不思議な輝きに満ちていたのだ。
恐らく魔法を使っているだろうと思う
これが夜ならばかなりの出来栄えになり美しく光るだろうと旬は思った
しかし、今は昼だ。
それでも、馬車の輝きは太陽と共にキラキラっと星のように輝いている
あれほどの美しい輝きは、まさに魔法でないとできないことだ。
そして・・・・旬は、ある人物を見てゴクリっと息を飲む
「あれが・・聖女様・・か。」
美しく光る聖女とそして、聖女を守る魔導師たちの姿がゆっくりと
姿を現す
まるで幻想のようだ。
聖女の姿がよく見えるようにガラスの馬車にしたのだろう。
乗っているからよく分るのだ。
聖女・・ヴェール越しだとは聞いていたけど
やはり、素顔はわからないね。
髪は、白金の髪でキラキラっと光っているのが分る
ドレスはこれまた美しい輝きをしている。
旬はその姿をジッと見つめていると・・・。
聖女が・・ふいに旬たちを方を見たのだ
クスっと・・一瞬だけ口元を緩め
聖女は旬とラミアを見て笑ったのだ
それも意味深の笑みだ・・。
「・・・!」
そして、一瞬だけだった。・・気がつけば
聖女は前をみている
二人は黙る
今のは・・一体・・?
旬は、ドクンっと何かの感じたのだ
もう一度・・その馬車を見ると・・今度は違う
聖女に使える魔導師がいるのが見えた
どの魔導師もおそらく熟練なのだろう。
聖女の守る要のようだ
その一人が・・旬を睨みつけたのだ。
「・・・・!!」
旬は驚いたのだ。
まさか、こんなふうにあからさまに睨みつけてくるとは思わない
しかし、魔導師の一人は・・ラミアは見ることなく旬だけを睨みつける
それは、赤の髪と紅の瞳
ゾッとするような紅は・・・どこまでも旬を睨みつける
一瞬だけの邂逅なのに・・旬は、目を離せなかった
そして・・その一瞬の邂逅は・・・終わり
そう・・ガラスの馬車は去っていく
「すごかったなぁ。ねぇ、ラミアさん・・旬?」
「ごしゅじん・・ラミア?」
そこには呆けている二人がいた
「なぁ・・旬はみたか?」
旬にそう問いかけると・・旬は迷うことのなく。
「うん。ラミアも見たんだ・・聖女の顔。」
すると・・ラミアは、困惑と疑惑のよくわからない感情の中で
曖昧に笑うのだ。
「まぁな。ヴェール越しやったけど・・なんや、うちらを
知っているかのように笑ったのは驚いたわ・・・・・目が離せない
瞬間やったな・・にしても、旬・・あんさんも偉いもんに目つけられたなぁ。」
「分る?先ほど、目が合っただよね・・。」
魔導師の中でも・・特に、俺を睨みつけていた人
ラミアもどうやら気づいていたようだ
「うちも驚いたけど・・明らかに旬に挑む瞳やったわ。
知り合いか?」
すると、旬はフルフルっと首を横に振った
「いんや、初対面だよ・・赤の色と・・その紅の瞳・・見覚えもないのに
なんで、俺を睨みつけるだか・・。」
そう、初対面だ。
会ったことも話したこともない
だけども・・なんで、睨みつけられるのかは理解できない。
「面識ないんやのに・・なんでやろうな?」
ラミアはコテリっと首を傾ける
どうやらラミアすら理解不能のようだ。
「さぁね。むしろ、理由なんて分かりはしないよ。」
そう理由がわからない
だから・・・一番困るのだ
ラミアは通り過ぎた馬車を眺めて
旬に・・再度問いかけてくる
「で、結局、聖女はなんでうちらに微笑んだんやろうな。」
「何か目的でもあるじゃないの?俺たちに意味深に笑うくらいだし。」
「そやな・・・何が目的やろうな。」
見えない思惑と目的
ラミアと旬は互いに顔を見合わせて
困ったかのようにただ・・笑うのだ
その時、焦れたリゥイは旬たちの会話に入ってくる
「もう、二人共、先ほどブツブツ何を話をしているの?」
「そうだぞ!!ふたりとも!!」
そこには、ミリカとアニマは理解できないのか
プゥ~っと頬を膨らませて
不満そうにしていたのだ。
ラミアは、ごめんっと謝って
「あ、ごめんな。リゥイはん、アニマ。あんさんのおかげでエエもんが
見れたわ」
すると、リゥイは目をパチパチしている。
何のことだか理解できていないようだ
旬もリゥイにお礼を言った
「うん、助かったよ。リゥイ。ありがとう。
グラムさんの言っていた意味がわかったよ。ありがとう。」
旬の言葉にリゥイはやっと、何かわかったのか
とりあいず、ニッコリと笑って
「あ、そう?それは良かった。で、結局、お父が言っている意味は理解できたの?」
すると、ラミアはニッコリと笑って
「まぁな。ありがとうさん。そろそろ、行くで。旬、アニマ」
「あ、そうだった。そろそろ行かないと。」
「ええ~もういくの?」
ラミアの声に旬とアニマはそれぞれ違う反応する
リゥイはハッとして何かを思い出したのか
「あ、待って、もう一つ伝言を忘れていた。」
「なに伝言って?」
すると、リゥイはん~?っと一字一句間違えないように
慎重に伝言を間違えないように旬達に伝える
「お父が、”用意ができたらガラント商店に来い”ってさ。
用意ってなんだろうね。まぁ、いいわ。まだまだ祭りがあるから
楽しんでね。旬」
ニッコリと邪気のない笑顔だ。
おそらく、詳細な所はリゥイには明らかにされていないだろうと思った
「ありがとう。リゥイ、じゃぁね。」
「ええ、またね。旬、アニマ君、ラミアさん。」
揃って旬たちは、リゥイのミニガラント店から離れる
リゥイから離れた旬とラミアは互いに困った顔をしていたのだ
アニマは不思議そうに二人に話しかける
「なぁ~なにがあったんだ?」
すると、ラミアの方を向いて旬は・・そうだったと思い
「ああ・・アニマには言っていなかったね。先ほどの馬車で聖女と魔導師の
一人と目が合ったんだよ・・意味深な笑いと睨みに・・ね」
「・・なるほどな。あにまはそういうのがなかったけど
なにかあるのかなぁ?」
すると・・ラミアはハハッと笑って
グシャグシャとアニマの柔らかい髪を撫でる
「うわぁ、なにをするんだよ!ラミア!!」
ラミアはアニマの髪をグシャグシャっと撫でながら
それはもういい笑顔だ。
「ふふっ。あんさんが可愛くてしょーもないわ。
まぁ旬すら分からんかったからうちも分からんよ。」
「むぅ~こたえになっていないぞ!!」
頬はまたもや膨らませるアニマ
まさに、リスのようだと旬は思った
不思議と・・和やかになるね・・。
ラミアも険しい顔から自然な顔になっているのだ
「ははっ。」
ラミアはただ笑うだけだ
でも、それは心からの笑みだ。
やはり、仲間がいてくれるだけでも随分と違うね。
そう旬は思ったのだ
そして、素直に撫でられていたアニマは何かふと思ったのか
「そういえば、ごしゅじん・・けっきょく、ぐらむのいっていた
いみはわかったのか?」
すると・・旬は・・そうだねっと何か結論を出したのか
「・・一応ね。恐らく、これから敵対する人物の顔でも見ておけ
所だろうね。相手は未知数だから」
「そやな。うちもそれは同じ考えや。敵対するのなにせ
あの隊長だけやないしな。」
旬は同意するようにうなずいた。
「まぁ、とりあいず、夜が更けるのを待とう。
ウッズさんとの集合場所も夜じゃないとできないし。
グラムさんの所にも行かないといけないし。」
「そやな。」
すべての行動開始は夜だ。
それまでは・・普通の一般人として行動したほうがいいかもしれない。
すると、アニマのお腹はグゥ~っと鳴ったのか
「アニマ、その前に腹ごしらえしたい」
旬とラミアを見たアニマ
「そういえば、俺もお腹すいたな。」
「うちもや。ほな、屋台にいって腹ごしらえしような」
「うん!!」
旬たちは食べ物を買いに屋台へと向かった
そして、祭りは・・夜へと続いていくのだった・・。
旬たちが行動する・・夜へと・・。
次回は、ついに始まります・・そして、ある人物が動きます!!




