少年、遺跡という地獄。
さぁ、今回は夕方に更新しました。
少年、異世界に渡るです。
29話目になりますが楽しんでもらえたら嬉しいです
遺跡にはたくさんの記憶が隠されている
知られることのない過去
そして、明かしてはならない事
禁断の世界の渦そのもの
俺はその遺跡を見たとき
何故か、怖いと感じた
それがどうしてかはわからないけど
きっと、ただの遺跡ではないと
俺の野生の感っぽいものが働いたかもね。
*******
「ねぇ、結局入るの?」
俺は、王族一行が消えた方面を見つめる
遺跡の中には闇によって何も見えない
「当たり前や。」
「でも、何も見えないよ」
「それが問題やな・・どないしようか。」
ラミアも困っているようだ
どうやら、考えが浮かばないようだ
トントンっと誰かが肩を叩いたような気がした
「ん?」
俺は振り向くと
「・・旬、これに火をつけろ」
ジンの手にあったのは松明だった
なぜ・・松明がここに?
俺は思わず聞いてしまう
「どこから持ってきたの」
思わず聞いてしまう
「ああ、そのへんに落ちていたから拝借した」
拝借・・いいのか?
でも、変だな?
松明なんて普通に落ちているものなのか?
俺はなんとなく上を見上げると
「ん・・?」
女神像がそこにあるのだが、他の女神はもっている
だけど、一体の女神だけあるはずの松明がない
「まさか・・。」
俺はその松明を見つめた
とても長持ちができそうなモノだ
「ああ、あの女神像から拝借した」
「・・・いいの?」
「後で返せば問題ない。それにここは誰もこないしな」
俺はため息をつく
本当にいいの?
でも仕方がないよね
他にあるわけじゃないし
どうか、怒られませんように
そう願いを込めて
俺は魔法を使う
「火よ、灯れ」
手を松明に向けて魔法を放つ
「ファイヤ」
すると、松明に火がつく
景気よく燃えて火が消える様子は無いようだ
「さぁ、行くぞ」
「うん」
俺たち三人は遺跡の中に入って行く
*******
ピチャン、ピチャンっと水音が聞こえる
俺は、ちょっとビビっていたのかジンの裾を握る
「怖いのか?」
ニヤリっと笑っているジンに俺は顔を首を横に振る
「ま、まさか・・」
ヴヴっ、この気味悪さ
何か・・。
「出そうやな・・ふふっ。」
不気味に笑う瞬間
ピチョンっと何かが音がした
「うぎゃぁぁぁ・・フガ」
俺は思わず声を出す、ラミアが慌てて旬の口をふさぐ
「静かにせぇ、奴らに気づかれるで。」
「フガフガ」
「あ、ごめんな」
苦しそうにする旬にパッとラミアは俺から手を放してもらった
「しかしまぁ、こんなに気味悪いと怖いな」
「・・ラミアも?」
「まぁな。ジンは怖くないようや・・けど、やっぱり殺気が出ているで
あんさんは。」
「・・・わかるのか?」
そう聞かれるとラミアは頷く
「まぁな。この先にいる人物もな強い殺気を感じるわ。」
俺もラミアの言うとおりだ
ジンの殺気も半端ないが
この遺跡に入った瞬間に感じた、強い殺気
どうやら、俺たちがくることを分かってあえての殺気かもしれない
「なぁ、ジン」
「何だ?」
「この遺跡は、そもそもなんで、誰も近寄らないの?」
そう、こんなに開放的すぎる遺跡になぜ誰も近寄らないだろう
学者とか入ってもおかしくない
だからこそ、不思議に思った
「・・実は・・ここは、トラップが多い所なんだ」
「トラップ?」
「この遺跡は、侵入者を防ぐ役割をしている
だから、ここに入った者は帰れないそうだ」
「・・・嘘だよね?」
俺は思わず聞いてしまう
そんな、馬鹿な話があるわけない
でも、現実にその遺跡がある
ジンは険しい顔をして
「事実だ。とにかく、あんまり壁に触ると罠が発動するから気をつけ・・」
ポチっと何かが音がした
「あ、ごめんな。つい壁に手をついてしまったんや。」
ラミアがエヘヘっと謝る
俺は、おそるおそるジンに聞く
「ねぇ、今のポチっと音がしたよね?」
「・・ああ。」
「嫌な予感がする」
その予感が当たったのか
ゴゴゴッっと何かの音がした
それは、岩が転がるような音
「ん?」
ラミアはその音になにかを感じ取ったのか
「なんや・・この音」
そういって地面に耳をつけて音が何なのか確かめる
「・・ま、まさか!!」
そういってラミアは目を凝らして後を見ると
何かがこちらに向かってきているのを気づく
「あかん、後からトラップが来とる」
「うぇぇぇ」
なんと、後ろから大岩がすごい速さで旬達に近づいていた
「ど、どうする」
俺は困った。
後からまさかのトラップ
ラミアはフッフッフと笑いだす
「決まっているやろ」
キランっとラミアの瞳が光る
そして、スゥ~っと息を吸って
「にげるんやぁぁぁ」
その言葉と同時に俺たち三人は慌てて逃げる
結局こうなるのね・・。
とりあえず、大岩から逃げるように普段より早く走りだしたのだった
******
「「「はぁはぁ」」」」
三人は荒い息をする
どうやら、あの大岩から避けることが出来たようだ
「だ、大丈夫かぁ~?」
「な、なんとかぁ・・。」
「我も・・な」
ラミアが俺たちの安否の確認をする
どうやら全員無事のようだ
三人共、息を整えようと何ども吐く
さすがなジンも俺たちと同様のようだ
「しかし、まぁ。危ない所やな」
「そうだよね・・死ぬ所だったよ」
「うちのせいと分かっているやけど、思いもよらんかったしな」
まさか、ジンが言った瞬間ラミアが押すとは思わなかったよ
これも何かのジンクスなの!?
まぁ、それは良いとして
俺たちそのまま大岩に逃れるように走ったからね
だからかな・・。
「ここ何処?」
「・・さぁな」
もう、どこか分からない所に着いたようだ
俺たちは立ち上がって現在地を見る
どうやら、迷ってしまったようだ
だけど、ジンはスッと前を見向いて
「道が続いているようだ」
「・・せやな。とにかく、前に進むんや。」
「そうだね」
そういって歩き出す
また三人で歩いている途中に
「他になにかがあるはずや」
「他にって・・何が?」
「ほら、トラップや」
さっきの大岩のようなトラップか
あ、ありそうだ
帰れないっていうくらいだし他に何があるんだか
「ジン。他にトラップは?」
「さぁな。とにかく、足元にも注意をしとけ」
「何で?」
「例えば、落とし穴がある場合もあるから気をつけろ」
とにかく、俺も足元を注意しようと思った
だが、お約束なのかその途端ポチっと何かを踏んだような音がし
たような気がした、俺は思わず足元を見てしまう
同じ色でよく見えなかったが、どうやら俺はボタンを知らずに押して
しまったようだ
「嘘だぁぁ」
まさかの落とし穴に狼狽える俺
「旬、飛び越えるで!!」
ラミアの声に俺も頷き飛び越えようとした
しかし、信じたくない程の大きな穴だったので
俺には脚力がないからそのまま落ちる
「うわぁぁぁあ、なんでこうなるだぁぁ。」
俺はもう涙目だ
ああ、死ぬのか?
よりにもよって圧死か!?
最悪の死に方だよね・・。
言っていいかい?
「たすけてぇぇぇ」
俺は情けなくても救いにすがりつく
「「旬!!」」
ジンとラミアは、落ちた旬を追うために落ちる
ジンとラミアが俺を追う姿が見える。
意識が・・止められない。
もう・・ダメかもしれない
そういって俺が目を閉じた瞬間
二つの手が俺の手を握ったような気がしたのだった
その手は当然・・・。俺の仲間で手だった・・。
さぁ、旬はどうなってしまうのでしょうか
まぁ、主人公ですから死ぬことはありえません。
とりあいず次回を楽しみに。




