少年、ラグナの故郷
今回は、旬とラグナのシュネー山攻略です。
さてさて・・?
俺たちは、シュネー山へと目指していた
「ちみっこ、このシュネーの山のことは知っているのか?」
その山を眺めてラグナが旬に問う
それはシュネー山の入口だった。
旬は、ポリポリっと頬を掻き
「・・まぁ、一度ここに入ったことがあるから。
その時、危ないところだと知ったよ」
その時のことを思い出しているのかブルっと震えている
すると、ラグナはニヤリっと笑った
「そうか。この山は別名、”宝庫の山”と呼ばれているんだ」
「宝庫の山・・?」
旬は首を傾ける
「ああ。薬草の宝庫だけではなく、あらゆる宝物が眠っているんだ。
ただ、解明はされていない。」
「・・魔物がいるから?」
確か、あの山は魔物が徘徊しているからではないのか?と旬は推測した
「それもあるが、ここは極寒であり、そして何が起こるかわからない。
迷えば迷宮とも言える」
確かにそれは一理あるかもしれない。
俺もウッズさんに出会わなければどうなっていたかすらわからないし
「だから、転移の札があるんだ・・迷わないように」
ルリリさんの早技には驚くばかりだ。
こういうことを想定していたという訳か・・。
「そういうことだ。という訳で、ちみっこいくぞ」
旬にそう呼びかけるが・・旬は少し考えて
「先に行って、ちょっと俺、確認したいことあるから」
「あ・・分かった。すぐ来いよな?」
旬はラグナから少し離れて
魔法を発動させるもちろん旬はボソリっと呟く、
「ムーブ」
すると、フワリっと浮力により浮く
「良かった・・成功した。」
この山は俺の今の身長とそして子供の体では超えるのは大変だ
だからこそ、浮力の魔法で浮くしか方法はない。
「ちみっこ~用意はできたか?」
ラグナさんの呼ぶ声がする
「あ、うんできたよ」
そしてラグナのところへと走る旬
「何をしていたんだ?」
旬が何をしていたのかと問われると・・
「ちょっと、荷物の確認とか・・いろいろね
山だからなにが起こるかわからないから。」
そういってごまかすが、ラグナは対して不審に感じないのか
「なるほどな。」
なに気なく歩く旬だがもちろん、沈むこともない浮力により浮く
ラグナさんには見えないようになっている。
内心、バレないかヒヤヒヤとしているが
そして・・・
俺は、初めて山の最初である1合目に辿りついたのだ・・。
「うわぁ、薬草ばかりだ」
「だろ?」
そこは、ラグナさんの言うとおりな世界
つまり、宝庫だ。
だが旬はキョロキョロっと辺りを見渡して
「でも、宝石のような草はないよ」
探すが、全然そのような薬草は該当しない。
ラグナはそんな旬を見てニヤリっと笑う
「まだ、一合目だ。次にいけばあるかもしれない」
「だよね・・ん?」
旬は立ち上がり次に向かおうとすると・・
キーンっと何かが響いた
「何か・・音がする」
旬が立ち止まってどこから聞こえるのか確かめる
すると、ラグナは上空を眺めて
「だな・・どうやら、敵の魔物がきたようだ」
バサバサっと翼を広げ
「キシャー」
鳥のような不思議な変化を遂げた謎の生物
黒い影のような・・不思議な鳥
その鳥が旬たちに襲いかかろうとする
「あれは、なに!?」
「シャドウバード!!気をつけろ!!あの黒い羽には
毒がある!!」
「ええっ!!」
旬が慌てながら鳥に狙いを定めようとすると
旬が魔法を発動させる前にラグナが剣を構える
ターンっと飛び・・・・シャドウバードを睨みつけて
「おらよ!!」
ザシュっと一発で倒れる
その速さに旬は驚く
「早い・・!!」
その技の速さに旬は驚くばかりだ
シャドウバートはその一撃によって上空へと消える
ラグナは・・旬に振り返り
「さあ、行くぞ。ちみっこ」
「うん。」
やはりラグナさんは強い
ギルドでもA級と言われるだけはある。
俺は焦っていたな・・もう少し、焦らないようにしないと
「どうした?」
「ううん。さすがだなって思ったんだ」
「ははっ、俺なんてまだまださ」
俺の頭を撫でながら笑う姿はやはり強い人だと思う
やはり、見かけにはよらないかもしれないな
「ここは、1合目の先に道なりにいけば2合目だ。
・・さぁ、行くぞ。」
「うん。」
俺とラグナさんは一合目から二合目先へと歩く
途中で何度か魔物に出くわしたがラグナさんの攻撃により
撃退される
俺の魔法は使う余地はなかった
2合目・・ではやはり、別種類の薬草ばかりだが・・
「あったか?」
旬に薬草のことを聞くと・・旬は首を横に振る
「ううん。ないよ。薬草はこんなにあるのに
緑の宝石のような美しい薬草はないよ」
紫色の薬草がたくさん生えている
ほかにも橙色、赤、とあるが・・。
しかし、肝心の緑の宝石・・薬草が見つからない
「やはり、すぐに見つかるはずがないか・・なにせ、ロザさんが探すような薬草だからな。
・・もしかしたら、3合目にあるかもしれないな」
「だね・・とはいえ、ここの薬草、見たことないな」
旬がその紫色の薬草を見て・・呟く
「ああ。俺もよく知らないが薬になるらしいな。ギルドでも
この手の難易度の低い依頼はあるからな。俺も少しだけ
持っていこうか。」
ラグナさんの姿に旬も同様なのか
「じゃぁ、俺も少しもらおう」
旬も薬草を詰み始めた
「ちみっこは調合とかできるのか?」
「調合?」
聞きなれない言葉に旬は不思議そうにする
「ああ。薬草をすりつぶして魔法で合成し薬を作ることができるんだよ。」
「へぇ、そういうことができるんだ」
初めて聞いたことに、旬は驚くばかりだ。
しかし、ラグナはポリポリっと困った顔をして
「ああ。まぁ、魔法使いでも出来る奴はあまりいないから
ほとんどは、錬金術を持った奴の方がおおいがな」
「錬金術?」
「ああ。ここからはるか先にある、俺たちのギルドの本拠地にあるんだ。
錬金術の国な」
本拠地・・・あ、確か以前・・。
「へぇ、もしかして東の国のこと?」
旬が聞くと・・ラグナは嬉しそうに笑って
「ああ。東の国にあるんだ・・俺はそこの生まれさ
錬金術者がいる国からギルドを申請してそこからシュネーに来たんだ」
その言葉は優しくて温かみのある言葉
故郷を懐かしく思っているのが見えた
「ラグナさんは元々、この国の人ではなく別の国からきたんだ?
ってか、転々できるんだ。」
ギルドの新しい情報に旬はさすがに驚くのだ
なにせ、一つの所に留まらなくていいことを知ったからだ
「ああ。基本的にギルドは大陸中にあるんだ。そこに所属するのは
自分で決めればいい、後は大陸中に散りばめられるギルドに転々するのも
有というわけだ、ギルドは大陸中にあるからな」
それならば・・もしかして・・?
「じゃぁ、ラグナさんはいつかこの国を出るの?」
旬の問いかけにラグナは寂しそうな顔をしていた
「・・・今は、この国でやるべきことがあるからな」
「・・やるべきこと?」
そして・・その手を握りしめて・・ただ・・何かを呪っている
ラグナ・・。
やがて、フゥっと溜息を吐いて
怒りや哀しみを押し込め・・旬に笑う
「・・・・とても重要なことさ。それが終わらない限りは
俺はこの国に居座り続けるさ」
「・・・?」
そして旬の頭を撫で
「ちみっこにはよくわからない話でごめんな。
この薬草はこれだけあればいいだろう。
さぁ、ちみっこ、3合目に行くぞ」
「あ、待って」
立ち上がりさっさと歩くラグナの後を着いていく旬
その時、俺は思ったんだ
ラグナさんは・・とても悲しそうで辛そうで・・。
ただ・・何かと戦っているような・・そんな気がしたんだ。
ラグナは、シュネー出身ではなく東の国が故郷です。
さてさて、ラグナはなぜこの国へときたのか?
その理由はいずれ明かされます。
次回、いよいよ討伐です!!




