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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
新章 二幕  ~ギルド協会の緩い糸と王宮の衝突~
269/485

少年、再び出会うモノ

今回は、あの人の登場です。

では、どうぞ


旬はどうやらまた出会えたことに驚いているようだ。


そして・・嬉しそうに笑って


「まさか、また会えるとは思わなかったよ。俺、あの時のことをお礼を言いたかった」


「お礼?」


「ありがとうございました。もし、あの本と出会うことがなかったら

 今の俺はいなかったと思います」


そのお礼を言うと・・老人は嬉しそうに笑って

 

「よいよい、あの本の中のアレは君と出会ってきっと幸せなはずじゃ。

 そのために君に託したんだから・・それと、そのアレは?」


「今は、預けました。俺にとってあの子にとってもそれがいいと

 思ったんです」


「そうか。アレにとってもいい決断のはずじゃ」


「ええ。俺もそう思うよ」


その会話にラグナはチンプンカンプンだ。


「おいおい・・どういうことだよ。ちみっこ」


ラグナさんは状況に飲み込まれていないようだ


なにせ、知らないから無理もない


「以前、俺この店に来たことがあるんだ。その時、このおじいさんには

 とてもお世話になったんだよ。」


「どうも。初めましてじゃな。わしは、この店主じゃ。

 仲良くしてほしいものじゃ。」


「へぇ、世間は狭しだな。ちみっこ。改めて

 俺は、ギルド協会所属のラグナといいます。」


「そうか。ギルド協会のモノか。これからもよろしく頼むじゃ」


そうラグナさんとおじいさんの自己紹介が終わったあと


俺は、気になることを聞くことにした


「でも、どうしてここに?おじいさんの店は、海の向こう側・・

 学者たちの街だったような・・・。」


「引越したんじゃよ」


あっけらんと言った老人に旬は驚いた


「引っ越した!!?」


旬は驚きを隠せないのだ


ってか、この店引っ越せるの!?


ますます謎に感じる


この店の外見はちょっと変わったにしろ


あんまり変わっていないのだ。

ラグナも同様なのか、老人に聞く


「なんでまたそんな面倒なことを?」


「もう、あの場所にはないからの。あそこではもう終わったからの。」


その言葉は旬とラグナは不思議そうにして


「「?」」


互いに顔を見合わせた


どういうことだ・・?と。


その言葉を聞く前に


「さて、旬くん」


老人は、にっこりと笑って


「君は何を探しにきたのじゃ」


そう聞かれると俺は迷わず答える


「・・えっと、俺の杖とその他必要な道具かな」


そう言うと・・おじいさんは自慢の髭を弄りながら


「そうじゃの。お前さんもこっちに来なさい。いいものを見せてやろう」


俺とラグナさんは、おじいさんの後を着いて


店の奥へと入る


その奥には・・・。


倉庫のようなものなのか・・様々な武器が保管されていた。


「すげぇ・・これ全部武器か?」


ラグナは瞬きをしている


どうやら、かなり驚いているようだ


「そうじゃ。さぁ、旬くん。ここからいいものを選びなさい」


「あ、いいの?」


「もちろん。そのためにここに訪れたんじゃろ?

 さて、残りの旬くんに合う道具を探してくるから

 ここで、武器を探すことじゃ。」


ホッホッホと笑いながらまた、どこかへと行ってしまったのだ


俺はその様子をみながら


「ラグナさんはどうする?」


そう問いかけると、ラグナさんは物珍しさがある武器を見て


「俺は、少しこの珍しい武器を見ているから、ちみっこは好きなように

 選ぶといいさ」


どうやら、ここにある武器が気になったようだ。

目の輝きが尋常じゃない・・うん。


「あ、ありがとう」


俺がそうお礼を言うとラグナさんはあのおじいさんのことを

離す


「しかし、あのじーさん、変わってるな」


「変わっている?」


すると、ラグナはコクリっとうなずいた


「ああ。これだけの武器を所有しながらもずっと保管しているなんて

 他のギルドのみんながみたら宝の山だと喜ぶぜ?

 でも、普通の人間じゃ入れないようだし。不思議な店だよな」


確かに俺も覚えがあることだ


「うん。俺もこの店を出たあとは、その店がどこにあるか

 わからなくなるほどだからね」


そう、この店は前に行った時は、次にはこの店に来ることはできなかった


でも・・・。


「それは、びっくりだな。まぁ、あのじーさんがどんな人でも俺は悪い人に見えないし

 今後の参考としてこの店の武器を見るくらいなら

 いいかもしれないな。ちみっこもいい武器があったら迷わず手に取るんだぞ?」


「うん」


俺はラグナさんの言葉を聞いた後


再び杖を見ることにした


武器の山だけども・・不思議とどれも光沢があり


そして、気品があった・・杖なのに。


俺はジッと杖を見定めた


「直感的にいえば・・どの杖もこれと思う杖は・・と」


見慣れない杖をみながら旬は考える


「ん?」


その時キラっと何か光ったのだ


「なに?」


その杖を見たとたん


「・・・。」


旬は無言になった。


むしろ場が静寂したというのが正しいかもしれない。


「なんで、この杖がここにあるの?」


旬は立ち止まって溜息を吐く


それは、勝手、自分と共にあった杖


杖の先に赤い宝石がはめ込んであるシンプルの杖


唯一、自分の魔法に耐え切れる杖


「いやいやいや、この杖は確かラミアたちに預けたはずだけど?」


そうラミアに預けたのだ


その時のラミアは・・。


回想中・・・。


(ほな、うちらがこれを大事持っているから。旬、安心せぇや。)


武器とアニマを預かることをお願いした旬


(ありがとう。ラミア)


ホッとした様子の旬に・・ラミアの顔は曇る


(ええんや・・けど、また会えたらええな)


(・・・うん。)


ニコっと笑っていたけど


とても寂しそうだった


あの時のラミアの寂しそうな顔は忘れられない


今は、何をしているだろうか?


確か、クランティア王国に雇われたと聞いたしな。


それよりか・・先ほどからこの杖

色んな意味で、光っているね。


「・・・。」


その時確かにラミアに渡したハズなんだけど


「見間違いかな。」


そういって立ち上がって他の杖を探そうとするが


だけども杖はそれでもピカピカっと自分の存在をすごいアピールしている


「・・・仕方ないね。」


旬がその杖に触れると・・不思議と馴染むこの感じ


杖が嬉しそうにピカピカっと光っているのだ


「・・・。」


「おっ。旬、見つけたか」


旬は無言でその杖を見つめていると


ラグナが旬が武器を見つけたことにどうやら

気になったようだ


「・・・。」


杖を見るなり呆けている旬にラグナは不思議そうにして


「どうした?」


旬は、ラグナに自分の杖を見せる


「すごくいい杖じゃないか。これがどうしたんだ?」


「実はこの杖、俺が前に持っていた杖なんですよ」


そう旬が説明するとラグナは目が点になった


「えっ・・なんでまた・・?」


「さぁ?俺でもわかりません」


「さぁって・・」


旬が困った顔をしていると・・。


「ホッホッホ。どうやら、見つけたようじゃな。」


あいからず気配無しで現れる老人に対して

旬は何とも言えない顔になる


「お爺さん」

「じーさん」


どうやら二人にして謎の老人の新たな謎が芽生えたようだ


旬はその杖を見せる


「あの・・どうしてこの杖がここにあるんですか?」


すると・・・


「それはのぉ。流れるからじゃよ。杖自身が。」


その言葉にさらに悩ませるように言うから


ラグナはよくわからないと言って


「流れる?どういうことだ。じーさん」


ラグナには理解できそうもない次元の話に・・

おじいさんはさらに笑う


「ホッホッホ。武器は所有者がいなくなると主を探して彷徨う

 そして、流れ着いた武器はこの店に訪れるのじゃよ。」


「な・・・!!?」


「・・なるほど。だから、この杖はここにあるんだ」


あんまりよくわからないけど


杖は、主のために・・ここにいるってことだよね。


「そういうことじゃ。この杖は旬くんを選んだ。

 だから、いなくなることが辛かったじゃろう。

 主のためにこの店に流れた。いつ訪れるか分かりもしない

 主のために」


「・・・そう・・なんだ」


また会えるかどうかも分かりはしないのに

ここに俺のためにいてくれるこの杖


「ありがとう、また俺のために力を貸してくれて」


すると、杖はピカピカっと光った

まるで、旬に会えたことが嬉しいかのように


「さて、旬くん。店前に戻ろうかの。渡したいモノがあるからの」


「渡したいモノ?」


俺は、お爺さんに着いていく


「あ、待てよ。俺も行く」


ラグナさんもお爺さんと俺に着いてきてくれた。


店前で旬にあるモノを渡す


「これは、バックに・・服?」


底なしバックにこの世界の服だ。


今更ながら用意の速さには驚くばかりだ。


「そうじゃ。旬くんに必要となるモノじゃよ。ほら

 この服を着るのじゃ。あちらで着替えられるから」


「あ、うん。じゃ、ちょっと着替えてくるね」


旬がトットットと走って着替えに行った後


ラグナはおじいさんを見て


「じーさん。まるで、旬がここに最初から来ることが

 わかっていたみたいじゃねぇか。」


「ホッホッホ」


「本当に・・じーさん、あんた何者だ?」


ラグナは不審者を見るような瞳でおじいさんを見た


しかし・・。


「わしはただの店主じゃよ・・でも、ちと、長生きすぎた老人じゃ」


朗らかに笑ってごまかしている辺り・・ますます怪しいと思う


「・・・俺は、あんたが何者かとか聞きたいだが、

 ギルド協会の人間としてあんたを取り調べたいものだ。」


「ホッホッホ」


どうやら何者かと問われてもこれ以上は正体を現すことはないようだ


「はぁ・・。」


ラグナは溜息を吐いた


その時、旬が戻ってきた


「お爺さん。ありがとう。これちょうどいいよ」


「うんうん。よかったものじゃ。それじゃお勘定じゃな」


「へいへい。ちゃっかりしているな。このじーさん」


「ホッホッホ」


ラグナは老人にルナを手渡していると・・。


キョロキョロ店の中を見渡すと


ん?


旬は店主の前にある・・ある本をみた


強烈に惹かれるこの本


旬はその本のタイトルを読み上げる


「ログ・マジックブーフ?」


なんだ、このタイトル・・?


失われた魔法の本?


どういう意味だろう・・?


旬がこの本を手にとると・・ドクンっと胸がたかなった


何か強い・・感じがした。


「どうした?ちみっこ」


「・・・。」


ジッと見つめる


ずっと、見つめていいくらいに・・。


そんな旬に対して老人が傍にきて


「これが気になったのじゃな」


その本を老人に見せると物珍しそうにその本を見た


そして・・旬は改めてこの本について聞くことにした


「お爺さん・・この本は?」


「これは、初版じゃよ。ある魔法の本じゃ」


ある魔法の本の・・?


ますます気になった旬


「・・・これ、欲しいだけど」


すると、老人は嬉しそうに笑って


「これも運命じゃな」


「えっ・・?」


「お代はいらないから受け取ってほしいのじゃ。

 君は、どうやら本当に選べられし者じゃからこそ」


「・・・!」


前にも言われたこのセリフ


忘れ去られたその言葉


「お爺・・さん」「おい、じーさん、どういうことなんだ?」


旬の言葉を遮るかのようにラグナがそう問いかけると


「ホッホッホ。そろそろこの店も閉める時間じゃ。

 また、来てくれた時に話そうかの」


そういって辺りが暗闇になる


「お・・おい!!」


「大丈夫じゃ、君たちは元の場所に戻るだけじゃ。

 また会えるのを楽しみにしているぞ」


そういって俺たちの意識が暗んだのだった。

ホッホッホとおじいさんの陽気な声だけを残して・・。

何者なのか結局は不明なお爺さん。

そんなキャラクターですけどね・・。

まぁ、次回もまたお楽しみに

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