少年、不思議な出会い
今回は、不思議な少女との出会い
そして、ギルドと王宮の関係編。
俺と少女が出会ったのは
運命としか言えなかった
なぜなら、その時俺は知らなかった
これが、すべての始まりだということを
そして、歯車が動くことになることを・・。
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クマの人形が向かった先には
少女がいた。
紫色の髪とピンクの瞳をしている
そして、淡い緑色のドレスを着ていた。
まさに、御伽の国から出てきたような人物だ。
俺は、少女に近づいた
「ありがとう。ジュース。どこで買ったの?
お金、返そうか?」
すると、少女は、ジュース屋を指をさす
どうやら向こう側にジュース屋があるようだ。
「あっちよ。お金はいらないの。私、あなたと
お話がしたかったから」
少女は微笑む
俺と話をしたかった・・?
俺は、ジッと少女を見つめた
なんだか、俺自身よりも少しだけ身長が高くて
そして、年齢は今の俺と対して変わらない
不思議な少女だ。
「俺と話をしたかったの?」
「ええ。そうなの。私、この辺で暮らしているけど
あなたのような、顔は初めて見る顔なの。」
そういうと・・旬はああなるほどと納得している
「俺、今日初めてここに来たんだ・・知り合いがいるんだ。」
すると、まぁっと声をあげて嬉しそうに
「そうなの。初めてここに来たんのね。
そうだ、私の名前、教えてあげる。
私は、シア。そしてこのクマの人形は
”トワ”というの。」
クマの人形を持ち上げて旬に見せている
とりあいず、俺も自己紹介しないとね・・。
「俺は、旬。今日から一時期の間だけど、この国に滞在することに
なったんだ。よろしくね。」
「ふふっ。お互い、よろしくなのね。うれしい。
私の他に同じ年の子がいるとうれしいなぁ」
シアはとても嬉しそうだ。
その様子を見ていた旬だったが
喉が渇いたのか、手元にあるジュースを飲む
旬は、ゴクゴクっと飲んでいく
さっぱりとした味がして身体によく馴染むこの味
とにかく言えることは・・とても美味しいのだ。
「美味しい?」
シアは旬に聞くと
「うん。とっても甘いよ。」
「良かった。喜んでくれて。とても嬉しいの。」
シアはニコニコっと笑っている
隣ではクマのトワが踊っているのをみて
旬は、気になっていたことを問う
「先ほどから、気になっていたけど・・なんで、その人形
動いているの・・?」
そう問うと・・シアは・・。
「私、人形使いなの。ほら」
ヒョイっとクマの人形がシアと同じ動きをしている
「す、すごい。すごいね!!同調しているところが
とくにすごい!!」
本当に、すごかった
クマとシアと同じ動きをしているところが
旬が純粋にすごいと褒めると、シアはえへへっと照れて
「えへへ。トワは、私の一番のお友達なの。すごいでしょ?
ほら、トワ、挨拶して。」
トコトコっと礼儀正しく挨拶をする
不思議なクマの人形だ。
今まで見たことのないくらい礼儀正しすぎる
これは・・なんで動いているんだろう?
糸?
でも、見えないし・・?
不思議だ。
そんな不思議がありジッとトワを睨んでいる旬に
「気になるの?これが、どうして動いているのか?」
そう、聞かれると・・俺は素直にうなずいた
「えっと・・うん。」
「君は、これを何に見える?」
クマの人形であるトワをジッと見つめる
「糸で・・やっている訳ではないね。」
そう、糸でやっている訳でもない。
でも、不思議だ。
「そうだよ。糸でやっていないね。さすが、人目で気づくとは
すごいよ。旬君。」
「あははっ。で、結局なんなの?」
そう聞くと・・シアはニコっと笑って
「見抜いたのは驚いたけど・・でも、教えないよ。」
「えっ・・。」
すると・・
「だって、これ、私のお仕事の秘密だもの。」
そういって人形と一緒に内緒のポーズをしたのだ。
「ああ・・なるほどね。」
つまり、これは・・教えられないっていうことか。
残念だなぁ・・。
旬は本当に残念がっていると・・。
カーンっと鐘がなった
「あ、夕暮れの鐘だね。」
シアがそう言ったのだ。
「あ、そろそろ帰らないと。俺、初めて来たばっかりだし
急がないと。」
ウッズさんも心配するしなぁ・・。
帰ろうかな
そう思っていると・・。
「旬君。」
「ん?」
すると、シアが旬に聞いてくる
「また・・明日もここに来れる?そ・・その・・。」
もじもじとしながらシアは、旬に問いかける
「友達になって・・。」
「えっ・・?」
そして、顔を少し赤くしながら
「私・・友達いないから・・・・だ、だめかなぁ?」
シアがそう聞くと・・俺は知らずうちに笑う
「うん。いいよ。俺もここでは友達いないし。」
すると、シアは笑って
「ありがとう!!また、明日。私ここで待っているね。」
そういってシアはニコニコっと機嫌よく笑って
「じゃ、明日。」
タタッとトワと一緒に走っていってしまった。
そのうしろ姿を見たあと旬は・・。
「俺も帰ろうかな?」
シュリとは反対の方向へ俺も走った
今日は、なんともいえない不思議な出会いだった。
なんていうか・・・本当、なんていえばいいかわからない
出会いだ。
俺は道に迷うこともなく
ウッズさんの家へと帰っていった
「ただいま~」
そう言うと部屋からウッズさんがでてくる
なぜか、おたまを持っている
「あ、旬。お帰りッス。」
なぜか似合わないと言えないその姿。
違和感がありすぎだと俺は思った。
でも、辺りに漂うこの匂いがとてもいい。
「あ、ただいまというか、いい匂いがするね」
「今日は、シチューにしたッス。」
どうやら、異世界でもシチューはあるようだ。
なんともいえない話だよね・・。
でも、改めて、嬉しいかな。
「俺、ミルク系好きだよ。」
「そうッスか。じゃ、すぐ手を洗うッスよ。」
「うん。」
俺は、手を洗ったあと、席につくことにした
「ほら、旬の分ッス。熱いから気をつけるッスよ?」
半日ぶりのまともなご飯!!
俺はあまりにも嬉しくなったのか
「いただきまーす!!」
もぐもぐっと音を立てながら食べる
マナーとかそんなものよりとにかく久しぶりすぎる
まともさに心の中で涙を流す
シチューはとても美味しい。
かなり・・美味しい。
そんな旬を見ながらウッズさんは聞いてくる
「旬は今日はどこに行ったッスか?」
そう聞かれると、旬は考えこむ
「う~んと、ロザさんの店の雑貨店と、そして・・公園かな
ロザさんから聞いたよ。この国にはギルドっていうのが
あるんだね」
そうだ。
ギルドっていうのはあるのを思い出した。
すると、ウッズさんは腕を組み
「あるッス。自分たちの王宮の仕事の中でも処理が難しいモノなど
現在、王宮も人手が不足ッス。そういう時にギルドを頼るッス。
ギルドの薬草は、とても豊富で助かっているらしぃッス。」
「へぇ~」
本当にそうなんだね。
改めて、すごいなぁっと思う。
「ちなみに、この国のギルドは、規模が少ないッス。
本拠地は、ここからかなり遠い東にある国ッス」
「遠い国かぁ・・。」
本拠地か・・いつか、行ってみたいものだ。
その時・・。
「それと、もう一つ。旬、これだけは知っておいたほうが
いいッス。」
真剣な顔になったウッズ
旬は、知らずうちに強ばる
「えっ・・?」
「ギルドと王宮では、治外法権があるッス。」
治外法権・・!?
「なんで!?」
旬が驚いた顔をして聞くと・・。
「ギルドとこの王家では、互いに干渉を持たないという
点があるっす。」
干渉を持たない・・なんか、関わりすら持たないというんだ・・。
あれ?
だけど、依頼はこなしているじゃないのかな?
いくら、干渉を持たないといえども・・ね?
「でも、王家の依頼もしているでしょ?先ほど、薬草が助かっている
って言ったじゃん。」
そう聞くと・・ウッズはとても難しい顔をしている
それも、疲れた顔をしているのだ。
「難しい話ッスけど、ギルドと王宮は仲が悪いッス。
というより、相性が最悪といったほうがいいッスね。」
ウッズさんはげんなりとしているようだ。
なんだか、考えるだけでも嫌な話だ。
「相性が最悪・・。」
一体、なにがあればこんな話になるんだろうか?
気になるね・・色々と。
俺はそんなことを考えていると・・。
「でも、その点に除けば、旬、あんたでもギルドに入れるッス」
「へっ!?」
鳩に豆をくらったような顔をする旬
「ギルドでは、基本は魔物退治と薬草収集ッス。たまに、民間の相談など
受け付けているそうッス。」
仕事事態・・難しいのもあると思うけど?
魔物退治と聞くと、旬は考える
「でも、魔法使うじゃないの?」
おそるおそる聞くと
「自分は、あくまでも、高位の魔法を使わなければいいと
話をしたッス。」
「なるほど・・。」
つまり、魔法使いであることを内緒にしなくてもいいってことか。
「いずれにしろ、旬・・あんたは、視野を広げるほうがいいっす。」
確かに・・そうだね。
言われてみれば、今の自分はかなり視野が狭い
「うん。ありがとう。考えておくよ。」
そう考えておくことにした。
ギルドもまた一つ・・旬の視野に入れることになる。
その日の夜
旬は、ウッズさんに用意された部屋で眠ることになった。
ウッズさんの家は、小さいながらも部屋はウッズさんの部屋を除いて
2つあるから助かる・・その一つを貸してくれたのだ。
旬は・・うっすらと目をつぶる
今日は色々あったな・・。
でも・・明日また・・。
旬は知らずうちに・・眠りについたのだった。
次回は、旬、再び少女と出会うです。次回もお楽しみに




