少年、海の向こうの住人
今回は、山の頂上へと向けての話です。
うっかりでそしてシリアスな話ですが
では、どうぞ
俺とウッズさんは頂上に向かって歩いていた
だけど・・現在、今の俺は・・。
山の気温からにして俺にとっては現在、過酷な状態だった。
「ヒィ・・ゼェゼェ」
旬は荒く息を吐く
思ったより山の空気は酸素が少ない
顔が青くなる旬。
その様子を見てウッズは旬に・・。
「大丈夫ッスか?やはり、子供では雪山は難しいかったッス。」
「う・・で、でも、山の頂上の近くまできたし、大丈夫だよ」
「でも辛そうッス。」
旬は前を見た
あと少しだとわかっている
でも、身体が思うようにいかない。
やはり、子供の身体では、山には耐え切れない。
「大丈夫だよ。ほら、ウッズさん。行こう」
ニコっと旬が笑う
心配かけさせたくない一心で旬は笑うのだ。
その様子を見て逆に心配になるウッズ
そして山を見て決意する。
「仕方ないっす。おぶるッスよ。」
「えっ・・。」
ヒョイっと音を立て旬をおぶる
「う・・ウッズさん!?」
ウッズは旬をおぶりながら前へと進む
「子供なら年上の自分に頼るッス。それに、あんた、無理しなくてもいいっす。
自分は雪山に慣れているッス。遠慮はいらねッス」
「で・・でも・・」
旬が遠慮していると・・ウッズは笑って
「自分は、こんなことぐらいしかできねッス。
だから、頼ってほしいッス」
なんだか・・嬉しい。
「・・・・・ありがとう。」
俺はウッズさんにおぶられながら、山へと登っていった。
ウッズさんの背中はとても温かい
子供って・・なんか便利だ。
でも、退屈になるね・・。
俺からウッズさんに話を振る。
「・・ねぇ、ウッズさんの国ってどんな国なの?」
すると・・・。
ウッズさんは目を細めて・・。
「・・・一年中、雪が降っているッス。寒い、寒い国ッス。
暖炉は欠かせないッスね。食べ物も毎日温かいモノッス。
だけど・・。」
「どうしたの?」
そして・・思いつめた顔をしていた・・やがては
首を横に振る
「・・なんでもないっす。それより、旬はここまでくるまで
何をしていたッスか?」
今度は、俺に聞かれた
まさか異世界からきました・・とか言えないから。
この世界のことを話そうかな。
「・・・俺は、ちょっと前までは仲間と一緒に旅をしていたんだ。」
「・・旅?」
旅していたことは事実だ。
だから、それは隠しても仕方ないこと。
「うん。様々な国を回っていたんだ。グランドクロスにもいたんだよ。
あと、色々とね。」
そのグランドクロスという言葉に目を輝かせたウッズ
「グランドグロス!!あんた、海の向こうの住人ッスね。
驚いたッスよ!!」
聞きなれない言葉に旬は反応する
「・・・海の向こう?」
すると・・ウッズはそうかと何か判断したのか
「そうか。あんたは知らないッスか。この大陸の人々は
皆、あんたたちのような人々を”海の向こう”と呼んでいるッス
海の向こうの者は、自分たちと違って独自の文化を発展させて
いるッス。」
「へぇ・・じゃ、ここは・・大陸なんだ。」
知らずうちに俺は大陸に入っていたんだ。
しかし、よりによって大陸か・・。
なんて所に落とされたんだろうか・・俺。
でも・・なんで大陸なんだ・・?
今更だがそんなことを悩んでいると・・。
ウッズさんは朗らかに笑う
「そうっすよ。それと、海の向こうの人たちは知らないッス。
この大陸は異常に発展した国々が多いッス。」
そして・・少しだけ悲しそうな顔をした。
「・・・異常に発展?」
そのことを聞こうとすると・・・。
「ほら、見えたッス。頂上ッスよ?
そういうのは自分の目で見るもんッス。」
うまく、はぐらかせたな・・。
やはり、あんまり言いたくないことなのかな?
とりあいず旬は頷くことにした。
「・・・うん。」
ウッズにおぶさられたまま
俺は頂上を見た。
そして、旬はウッズに声をかける
「ありがとう。ここからは自分で歩くよ」
「そうっすか?」
俺は、おろしてもらって自分で頂上からみえる世界を
見に行った。
そこには・・・。
「うわぁ・・すごい。こんな綺麗な世界だったんだ・・・。」
雪山の頂上から見える世界は・・どこまでも美しい世界だ。
そして数々の国が見えた
でも、肉眼でどこの国なのか分らない
だけども雪で封鎖された国が見えた
恐らく・・あれがシュネーだろう。
「えっ・・あれは・・!!?」
その時、俺は目を疑うのを見た
そう・・今までの異世界にあるはずのないものだった。
「あれは・・雪が降っているのに飛行船!?」
しかも、雪が降っているのに正常運行している。
「そうッス。異常な発展の一つとして飛行船ッスね。
でも、あれは雪に強い飛行船ッス。まさに、シュネー国
専用ッス。」
その飛行船に目を奪われていた旬。
なにせ、今まで見たことも無かったのだ
ジンたちと旅をしている時にはこんな発展した国は
初めてだった。
「・・・俺、クランティア王国やら色んな国には行ったけど
あそこまで発展しているのは初めて見た」
「そうッスね。でも、ほかにも異常な発展はあるッス。
・・それは、今度にするとして、えっと・・
確か、この辺に置いたはずだったッス」
ウッズはキョロキョロと何かを探している
「何を探しているの?」
そう聞くと探しながら
「バックッス。ここから、帰るならやはり、転移の札がいるッス。
降りるのは自分でもキツイッスね。」
そうして下をみた
果てしなく雪の山。
どこまで見ても果がなさそうだ。
「ああ。確かに。俺も探すね。」
俺とウッズさんはそのへんを探す
そして、ウッズさんは記憶を糧にどこだったッスかねぇ・・と
言いながら探すのだ。
そして・・崖の下まで見るのだ。
「ちょ・・ウッズさん!!」
その時・・ウッズは・・。
「あ、あったッス。あんな所に・・」
「ええっ!!?崖の下の木・・あっ!!木の枝に!!」
どうやら旬も眺めていると・・崖の下の木の枝に引っ掛かっているのだ。
「今、取るッス!!」
「ちょ・・危ないよ!!」
「大丈夫ッス。自分、こういうの慣れているッス」
そういいながらさっさと崖の下を降りていくウッズ
「だ・・大丈夫かな・・?」
旬は不安そうだ。
ウッズは、崖の下からの枝に手を伸ばすために
慎重に降りていく
「よし・・あれッスね。」
目標を定めたウッズは枝におそるおそる・・手を伸ばしてとろうとする
俺はハラハラとしていた。
その時、ガラっと音がして崖が崩れたのだ。
「うわッス!!」
ウッズさんが落ちようとした俺はとっさに魔法を使おうとするが・・
「・・・取れた・・ッスよ。」
そこにはバックがあった・・・
「あ・・よ、良かった」
俺はヘナヘナっと脱力した。
ウッズさんは悪戯っぽく笑っていたが
やがて、旬の背後にいる敵の存在に気づいて
「へへっ・・・旬!!後ろッス!!」
その時、旬はとっさに回避する
そして、旬がいた場所にはファイアボールが放たれていた。
「うわっ!!ファイアボールだ・・!!?
魔法!?」
旬が改めて正面から敵を見ると・・
「ケケケケッ」
と笑う・・魔道士の服をきた・・奇妙生物がこれまた
奇妙に笑っていたのだった。
さてさて、奇妙生物の正体は次回明らかになります。
では、また次回で。




