少女、答えの先
すこし、おそくなりましてミリカたちの冒険続きです。
あたしは今・・なんだかとても・・・空虚だった
「ミリカ様、大丈夫ですか?手、止まっていますよ。」
ミリカは書類の手から止まっているのだ
「あ、ごめん」
「いや、いいんですけど・・やはり、まだあの時のことが
頭に残っているですか?」
書類に集中しようと思ったけどそんなのできそうもない
握っていた羽ペンを握る手が止まり
その辺に置く
「・・・・そうね。それはもうかなり残っているわ・・・。」
どうもそのせいで
仕事が捗らない
むしろ、鈍っているような気がするわね・・。
「大変な爆弾発言をしましたしね。あの博士」
「ええ・・あたしもう・・頭が痛くなりそうだわ」
「でも、あの博士のおかげで一つの目的も出来ましたしね」
「ええ・・でも、あんな爆弾発言・・もとい、問題発言
あたしは今後どのようにして解決しなくちゃ
いけないのか頭悩ませるわ」
「・・そ、そうですね・・。」
「でも、ここに帰ってきた以上仕事はするわよ。
報告書まとめないと・・。」
ミリカは書類をまた書き始める
「はぁ、仕事ですか・・あーやだなぁいっそのことバカンス
でも行きたい気分ですねぇ~」
「あんたってやつは・・別の意味で頭痛いわ」
げんなりしながらミリカは報告書を書くて
ガンガン・・。
頭が痛くなるわね
・・・どうすればよいのかわからない
何をすれば正解なのかわからない
あの博士の言葉が頭の中で駆け巡る
巡ってどこまでも続く
ガンガンガン・・
やがて、あたしは思い出す
博士とのやり取りを
***
「あたしの祖父のことを・・話してくれるの?」
すると、そんなミリカに・・ロラン博士はニコっと笑って
「ああ。そうしないとこれから先・・とても悩むと思ってね」
「・・・悩む?」
ミリカのその言葉にルークは疑いの眼を向ける
「そう、君たちはこの先・・たぶん壁にぶつかるだろうから。」
「・・・!」
ルークは何かを悟ったのだ。
そして、無言のまま
ただ、ロランを睨む
そして、ロランは口を開く
それは衝撃な内容だった
「君の祖父、スタイン・カルディアは、恐らく
君が思っているよりか大変な存在なんだ」
「えっ・・。」
大変な・・存在?
意味がよく分からないのか
「それは、権力があるとか・・じゃないの?」
「・・違う。その存在そのものだよ」
「・・・存在・・?」
ミリカは?っという不思議そうな顔をしていた
「スタイン・カルディア博士
はじまりは五十年前の飛行船の核である飛空石を
発見したことからすべてが始まったのだ」
「飛空石・・?もしかして・・!」
「そう、君の祖父は、機械発明の父とも呼ばれた人でもある
彼のおかげでこの五十年間の間で随分と進んだんだ」
「そうですよねー、スタイン・カルディアといえば
船や飛行船を発明した天才博士ですもんね
僕ら大陸の者ならば誰でも一度は歴史で学びますよね」
「あんたは大陸方面の生まれだったわね。そーいや」
「ええ。この時代、海を越える船がなければきっと泳いで渡っていたと思いますよ?」
「泳いで・・ってあんた怖いこというわね」
「船は五十年前からあったはずだが?」
「言葉の綾ですよ。木製の船で渡ることはできますけど
あれ人力ですからね。」
その昔は、船には飛空石を使った船はなかった
今は、違う飛空石を発見したことにより
まさか、自分の祖父が発見していたとは
全然、あたしは知らなかった
「そうよね。ひと昔前はそうだったそうね。
飛空石の存在により船も人力が必要にならなくなったもの」
「さすがに、そんな状況の中泳ぐ人間なんていませんよ」
「いや、あんたならしそうだわ。泳いで渡りそうよ」
「あはは」
ルークは笑う
こいつならしそうだわ
泳いで渡りましたーとか平気でいいそうで怖いわ
「笑いごとじゃないわよ」
「しかし飛行船の登場は本当に
すごいんだよ。」
飛行船は大陸では必須で
当たり前のものらしぃ
「確かに、あたし・・でも、飛行船は見たことないわね」
でもあたしは本当にみたことなかった
「こっちではまだ珍しいですからねぇ。そのうち普及するとは思いますよ」
「なるほど。」
それは楽しみだ
「あたしの祖父はすごい人ね・・ねぇ、私のおじい様
は・・。結局、飛空石で有名になった人なの?」
すると、ふるふるっと首を横に振る
「スタイン博士は、確かに飛空石発見による飛躍的な飛行船
の話では有名だが、様々な概念にとらわれずにあらゆるこ
とを学び続けた人でもあるのだ」
「例えば?」
「そうだな、他にも医学、薬学・・あらゆる方面で才が
あったが・・特に、錬金術にのめりこんでいた」
「錬金術・・・!」
あたしはハッとしたのだ
錬金術・・これこそがあたしが知りたかったことだ
「彼が錬金術師としての実績は計り知れないことだ
そして、彼は錬金術をあらゆる応用を行った
誰もできない錬成をしたんだ」
誰にでもできない練成とミリカは聞いたとたん
その言葉に・・おそるおそる・・と
「なにを・・・したの?」
問いかけてきた
「なんだと思う?」
ロラン博士は・・それはもう・・真剣な顔だった
なんか・・聞くのが怖いのよ
だから、あたしは・・知らないふりをしたかった
「分からないわ・・いいえ、分かりたくないわ」
あたしはとにかく答えることができなかった
錬金術師がしてはいけない
最大の禁忌
それは・・
”命”の錬成だ
命の錬成は普通の錬金術師ではできない
それは、禁忌だけどの理由ではないのよ
もっと強力な
代わりに従者のルークが・・答えた
「人を生き返らせるとか・・ありえますよね。
禁じられていますが不可能な領域ではないはずです」
ルークの答えに・・博士は一瞬、驚いたが
やがて・・首を横に振り
「・・・いや、博士はそれだけは手出しはしなかった。
それはいえば模範かもしれない。」
「・・・そうですか。意外と当たっているような気がしたのですけどね。」
ルークは、あたしが思っていたことを代わりに代弁してくれた。
そして、否定されたことがあたしは少しだけホッとしたのだ
祖父がそこまでの人でなかったことがあたしは安心した
だけども・・それでも博士の真剣な顔は崩れることはなかった
「だけども、似たようなものかもしれないね。」
「えっ・・?」
なに・・似たようなモノって・・。
「博士は・・モノの量産をしたんだ。錬金術の練成を応用し
てね。」
「量産・・・?」
「なんや、意味わからんわ。どういうことや?」
すると、ロランはその辺にあった石を持ってきて
「たとえば、ただの石があるだろう?」
本当に変哲もないただの石だ
「ほんまにただの石やな」
「石ですね」
ラミアとルークが同意する。
「それが突然、宝石になったら誰でもびっくりするだろ
う?」
石が宝石に・・!?
それは、驚くべきことだ
「そうですね。石が宝石になればかなり喜ぶかもしれません
むしろ僕が。」
なんか・・ルークの瞳がキランっと輝いた
「うちかて大喜びや。」
ラミアの瞳はキラキラだ
な・・・なななな
も、もしかして・・。
「宝石は、もっとも価値のあるもの一つだわ。
すごい宝石だが億ルナは当然・・・いえ、
もしやスタイン博士はあたしの祖父はそれを応用して?」
ミリカは・・なんだか、頭が痛くなったような気がした
今まで偏頭痛とかなったことないんだけど
なんかね・・頭が痛いわ
「そうだよ。この世界の物質を軽く超えて博士はモノを量産
することで安定させる方法を思いついた。それが財を築く
キッカケになった。」
それが宝石なら
なおさら、富を築けるだろう
「・・・なるほど。」
ルークは関心していた
だけども・・ロランは目を伏せて
「だけど、博士は・・知らなかったかもしれないね。モノの
量産が域を超えればそれは、大きな災いにつながること
を・・。」
「・・・。」
ミリカ達は黙っていた・・。
「錬金術は、確かにモノを量産させることができる魔法よりも確率的不確実性なものだ
しかし、必ずしもそれがすべてが良いということはありえないのだよ」
ロラン博士の言葉は・・確かに一理あることだ。
魔法もありえないな存在だけど
錬金術はきっとそれ以上だ。
「・・確かに、でも人が幸せになれるならそれでもいいかも
しれないじゃない。それが・・不幸になるっていうの?」
すると・・今までにもないロラン博士は・・不思議な茶色の瞳をあたしに
向けた
それも・・疑問を思うかのように
「果たしてすべての人が幸せになれるかな?」
試すような瞳を私に向ける
ロラン博士は・・ニィっと口元を歪ませた
「・・な・・なに?」
「・・・つまり、全体が幸せにはつながらないそういうことですね」
ルークの言葉が鋭く・・ロラン博士に反論する。
「さらに、全体的に悪い方向にいったんやな?」
ラミアの言葉に・・ロラン博士はうなずいた
「そうだね。博士がしたことによって世界に混乱が起こって
いるんだ。最近ね、宝玉の偽物が出回るようになった。」
「偽・・モノ?」
偽物
「そう。世界で限られた場所しか栽培できないし作ることが許されないその名も”オーブ”の宝玉さ」
ミリカはその言葉によって懐に隠してある宝玉の存在にドキリっと心臓が高鳴った
「・・確か、オーブの宝玉は、一つ持だけでも、かなりの億
ルナで取引されとるモノやろ?希少でかなりの力を持って
いるはずや。確か、十年に一度できるかどうかぐらいの宝
玉なんや」
ラミアは知っているのね・・。
あたしは・・ますます何も言いだせない
懐にある宝玉のことが言えない
その宝玉が偽物だなんて
懐が冷たく感じる
あることがじたいがありえないことなのだ
この・・あるものは
ミリカはその時知ったのだ
いよいよ、事態が悪い方向へと頭の中に駆け巡った
「・・・スタイン博士は・・もしかして、宝玉の量産も行ったの?」
ミリカの言葉に・・ロラン博士は神妙な顔をしている
「・・噂程度だけどね。宝玉は、魔法歴史の中でもかなり重要な立ち位置なんだよ。」
「どういうことや?」
ラミアは・・その言葉がどういうことなのか聞くのだ
それも食いつくように・・。
「数千年前から宝玉をめぐって様々な事件が起こったと知ら
されている宝玉の力は未知数だ。何に使われるか分かった
ものじゃない。詳しくは知らないけど、この世界にはオー
ブの他にも聖なる力をもった宝玉がある。何かによって使
われる宝玉だが半数はその行方は知らずに眠っている。」
「主にそれは・・なんなの?」
「代表的な宝玉は、オーブだ。しかし、それを準ずる力を持
つ宝玉はまだたくさん眠っている・・いくつかは行方不明
となっているが・・噂では、精霊の剣が大陸にあるのでは
ないかという噂となっている」
「精霊の剣・・・。」
そんな名前の宝玉・・むしろ剣だけど
「まぁ、人は、それを至宝とも呼ぶんだな」
大陸にそんなのがあれが大変よね
ミリカはそう感じたのだ
「眠る宝玉の行方については、わからないことが多いけど
・・おそらく、世界が揺る程の大きなことになるかもしれ
ないわね」
それを、知っている情報を話すロラン博士に
ミリカは疑問があるのか・・問いかける
「・・・ロラン博士。あなたはどこまで知っているの?」
「・・すべてとは言わないよ。ただ、私もメノリ同様の学者
だ真相の近くまでとは言わないが・・ある程度まで知って
いるよ」
「・・・あんさん・・!」
ますます博士の存在にラミアは危機感を覚えたのか
「・・ええんか。知りすぎると大変なんやろ?」
ラミアがそう警告すると・・。
「いつか私もメノリのように苦しむかもしれない。
でもそれでも・・。」
ロランは博士は・・あたしたちに笑みを浮かべた
「真実を求めるために学者を続けるだろうから」
それをみたミリカたちはその笑顔を忘れることはできなかった
****
あれから、日は経っている
書類の手をまた休めてミリカは呟いた
「ミリカ様・・。」
「危うい立場であろうと学者を続けるか。
ロラン博士は・・あたし以上に肝の据わった博士ね」
「・・そうですね。どこかメノリ様を思わせる人ですね」
「それで、あのこのの宝玉について何か分かったことは?」
ミリカは目の前にあるオーブの宝玉についてルークに聞く
すると・・ルークはある報告結果を読む
「オーブの宝玉については以下のように、
アレはレプリカです。本物とは程遠い魔力しかありませ
ん。だけども、より本物に近い純度もありおそらく本物と
言われても問題なく言えるでしょう・・と」
本物・・!?
「・・・!」
「ゼノンビアの話では、よくこんなモノを練成できたなと感
心していましたよ」
「・・・関心?」
「ええ。普通じゃありえないみたいです。同じものが作れた
としても魔力を秘めたモノは作れないと。」
「・・そう。やはり・・そうなのね。」
やはり・・調べなければならないのね
その時・・コンコンっと音が鳴った
「はぁい?どうぞ」
すると、ガチャっと入ってきたのか
「ミリカはん、ルークはん」
「みりか、るーく」
そこ何やら急いでるラミアとアニマの様子だ
「・・あ・・どうしたの?」
「ごめん、あんさん数日後召喚士村に行くんやろ?」
「え・・ええ、あなたたちもそうでしょう?
久しぶりに会えるから喜んでいたでしょ?」
すると、ラミアは申し訳なさそうに・・
「い・・いや、それがな。うちらは行けなくなったんや」
「えっ・・!?」
ミリカは驚く
「ど、どうしたんですか?いきなり・・何かあったんです
か?」
あんなに喜んでいたラミアが急に行けなくなったと
それはルークも驚いているのだ
「・・緊急案件がクロスはんからきてな・・うちら
大陸に行かなあかんのや」
「「大陸!?」」
「そや、それで明日もういかなあかんのや」
「そ、そうなの」
「なんの案件なんですか?」
「情報部の諜報員しか言ってはいけない秘密案件やから
ごめんな、それは言うことはできんのや」
「そうなの・・残念だわ」
すると、ラミアは不安そうな顔をする二人をみて
二人の頭をポンっと優しくたたく
「・・あんさんたちのことは正直気がかかりなんよ
アニマ」
すると、アニマがミリカたちの前にきて
「うん・・みりか、これをうけとって」
それは・・一枚のエメラルド色の羽だった
「これは・・なんですか?」
ミリカはアニマからエメラルド色の羽を受け取る
ルークがその羽をジロジロと眺めて聞く
「これは、あにまのはねだよ。これがあればあにまは
いなくてもちからになってくれるあにまのぶんしん」
「分身・・!」
「そや。うちらも何にも保険を残さないわけないやろ?
何かあったらこれを使うんや。きっと、あんさんらの
役に立つと思うんや」
ラミアはニッと笑う
ミリカはうれしくなり
「ありがとう・・二人とも・・あ、あのねこれのこと
もし、良かったらお願いできるかしら?」
「どうしたん・・あ・・これ」
ミリカが二人に見せたのは偽物のオーブの宝玉だった
「大陸に行くならこれのこと調べてあたしの代わりに」
「・・ああ。わかったわ」
ラミアはそのオーブの宝玉を大事にしまう
「ほな、うちそろそろ準備せないかんから」
「あー、まってよー」
ラミアはさっさと去るのをみてアニマは追いかける
「良かったですかね?託して」
「・・・ええ。結局案件は何なのかわからないわね」
ラミアは何を追って大陸に行くのかはわからない
ルークは何か悟っているのか
これ以上は何も言わない
「あんたは、本当に何も言わないのね気にならないの?」
そう本当になにも言わない
だから、腹立つのよ。
「ええ。見守ると決めたので・・二人のこと」
「・・・あんた、やはりあたしより大人になってんじゃない
わよー」
「ふふん、ミリカ様が子供なだけですー」
ムキィ~っと苛立つミリカ
やはり・・腹立つわね。コイツ。
それにしても・・何が起こるか分からない
この世界の異変はすでに・・。
始まっているかもしれないわね・・。
ミリカはエメラルド色の羽を持って
そう・・喧嘩をしながら心の中で思っていたのだった。
次はとある危機のお話になります。
これで、少女の物語は一旦終わります
次からはどこかの章前に召喚士村編を
連載します。




