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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
最終章 世界をつなげる門
215/485

少年、近付く別れ

この話は・・旬の過去を断言する話もあります。

まぁ、どうぞ

向うの世界の夢をみた。


いつも、穏やかに笑うあの人の顔が見えた。


もう会うこともない顔


子供ながら泣き虫だった

千里の傍についてくれなかったら・・もっと、泣き虫だったかもしれない。


いなくなってしまった人に嘆くのだ、俺は・・。


だから、強くならないといけなかった、自分の内面も外面も


泣き虫の性格は治らなかったけど・・。


だけども、俺は、目標とするべき人がいた



”俺は・・あの人のようになりたかった。”


なれたかな・・?


そう自問自得しながら

今日も夢を見て・・そして、面影を重ねるのだ。


眠りから・・覚めたら・・忘れるかもしれない。


あの人の顔を・・。


               ***



うっすらと俺は瞳を開けた


「旬・・!!」


「・・・み・・んな」


ぼやける景色

そこは、ニルの世界ではなかった。


そこは、豪華な・・部屋だった。


「よかった・・心配したんだよ。旬」


そこにはノエルが心配そうにのぞきこんでいた


「良かった・・うち、心配したんやで?」


「あれ?ラミアとノエルだけ?」


「おれさまもいるぞ」

(アニマモ)


どうやら二人は獣の姿でじゃれているのが見える

それを見て、少し笑いがでたのは


多分、かわいらしかっただろう。


「俺、どれくらい寝ていた?」


「一日や。ほんま、今回は短い眠りやったな。あんなに疲労してのにな」


「だね~、ボク、心配していたんだよ」


「そう・・。」


まだ、二日はあるということか・・。

俺はのびをする


この部屋にいるのは、ラミア、ノエル、ジゼル、アニマしかいない。


「ミリカたちは?」


「皇帝はんたちを謁見をしているみたいやで?

 まぁ、あの謎の占い師がまさかのミリカはん

 の王族の専属の占い師とは知らんかったけどな

 しかも、ジンも元王太子やからな、嫌々ながら

 同行していたみやいで・・まぁ、ルークはんに

 手を貸してもらいながらやけど。」


その時のことを思い出しているのか、忍び笑いをするラミア

ノエルはうんざりしているようだ


「本当だよ、魂のままの姿とは驚いた。

 あの人・・ボクを占ってあげると

 嬉しそうに水晶をだしてきたときは

 何度逃げたいと思っただか」


俺はそんな二人に、元気そうで良かったと安心した。


「あははっ、他の人は?」


「そうやな、ヤドリは先ほどまでここにおったけど

 どこか出かけたしイレーヌはんたちは、お姉はん

 が目覚めたようやから・・今、大喜びや」


その様子がなんとなく思い浮かべてしまう。

きっと、今ごろは、互いに喜び合っているだろう


「・・そう。千里たちは?」


「千里はんたちは、別の部屋におる。

 まぁ、犯罪者であっても皇帝を救った

 ということで城に軟禁されとるけどな

 大人しいで」


「・・・軟禁?」


それは驚いた・・あの皇帝のことだから死刑とか言い渡しそうだけど・・。


「まぁ、城の中は自由に歩けるようやけどな」


ニヒっとラミアは笑う


「本当、ずぶといね・・あの二人は」


苦笑するノエルに、俺はなんか良かったかなとか思った。


俺はキョロキョロと周りを見て


「で、ここは城の中?」


「そうや。ここ客室なんやて。」


そうラミアがにっこりと笑った後、ノエルが、


「これから、昼食なんやけど、旬も食べる?

 おいしいんだよ、ココ。さすが、皇帝だよねぇ。」


ウキウキしている、ノエルに俺は笑いが出てしまう


微笑ましい・・かな?


(ごしゅじん、だいじょうぶか?)


アニマが俺の傍で聞いてくる


「アニマ、ずっと、ここにいてくれただ・・ありがとう。」


(マァナ。)


俺は客室から、食堂に行くと、

ジン、ミリカやルーク、イレーヌ、ヤドリ達がいるはずだが

今、いるのはラミアとノエル、アニマだけだ


「あれ?ミリカは?」


「ミリカはんたちは、別室やで?王族やからな

 あれから謁見は終わったそうやけどな」


「・・じゃ、ジンも?」


そういうと、ラミアは首を横に振り


「いや、ジンは、謁見の後は、今・・ベットの中で寝ているんや」


「怪我をしたの?」


すると、ラミアはうつむかせ


「ちょっとな・・。」


「・・・?」


ラミアが、複雑そうな顔をしていた

何があったのか、知らないのでコテリっと首を傾けた


「あー、旬、元気になったのか!?」


すると、向こうから声がした


どこからか、ヤドリが食事を持って

旬たちに近づいてきたのだ


「や、ヤドリ!!」


ヤドリはニコニコっと笑いながら旬達の傍で

座り食事を口にした


「ヤドリ、ここにいたんだ」


「ああ。俺っちもお腹すいたからなぁ

 旬も食べろよ。ここの料理

 美味しいぞ」


「そ・・そう」


そういいながら、出された食事を口にする旬

確かに


皆、うれしそうに食事しているのが見えた。


食事している中・・俺は、隠しておくわけにもいくわけにもいかない

ことを話そうと思った。


「なぁ、食事中に悪いけど・・

 俺、話をしておかなければならない

 ことがあるんだ」


「どうしたの?旬」


皆、俺へと視線を向ける


「俺、明後日・・帰ることになったんだ」


「なんやて!!」


ガチャっと音を立てラミアが立ち上がる

他にも何人かが立ち上がったが・・旬はコクンっと頷く


「旬・・本当なの?」


ノエルが聞くと・・俺は頷いて


「うん、俺は帰るよ。千里とカズラにもこのことを

 話すつもりだよ。」


「そんな・・。」


「俺からは以上だ・・皆、再開していいよ。」


俺はもくもくとご飯を食べる

それから、沈黙の昼ごはんになった。


俺は気まずくなり・・ご飯を食べた後は、逃げるように去った。


もちろん、皆の視線には気になったけど

今は・・自分の考えがおぼつかない。


何よりも、皆の顔を見るのが・・怖かった。



                   ****




庭でのんびりと・・世界を見ていた


2日後の夜は・・この異世界とお別れになる。


それは、それで辛いかな・・。


太陽は俺を照らしてくれる・・


あの太陽が沈んで月が見える時は・・帰れる時だな。


寂しさもあるけど・・複雑だね。


そういう気分になる・・感傷的になる。


もしかしたら、自分は・・今なら詩人になれるかもしれない

そんな馬鹿なことを考えるばかりだ。


あんなことがあってから・・。


「旬!!」


その後にいたのは


「千里・・か、来るとは思ったけど。早かったね。

 さすが、俺の親友」


「バッカ、何言っているだよ。当たり前だろ。

 ほら、カズラ君もきたんだからな」


「カズラ・・さん。」


「なんか、旬・・すごく痛そうな顔をしているな」


「・・・なにがあった?」


すると、俺は一部始終わり


「そうか・・クレーエと一緒に消えたのか」


「・・・ごめん」


「いいよ、僕も覚悟していたから」


「俺も。あの時は別れの言葉を口にだしていたからな

 あいつ」


「・・・旬は、元凶を叩いたんだな」


夢の話をすると、千里はうれしそうに笑った


「それと、明後日の夜には門が現れるだな?」


確認のため、カズラが聞くと頷く旬


「そうだよ。ニルの世界があった場所にゲートが出現するみたいだから」


「・・お前は、帰るのか?」


そう聞かれると・・旬は考えを濁す


「俺は、どうなんだろうな・・・帰るよ。

 俺あの世界ではやりのこしていることが

 たくさんあるから」


「旬・・君は・・。」


「二人は・・どっちでもいいんだ」


「旬、君は僕を迎えにきたんじゃないのか?」


千里がそう聞くと


「最初はね。でも、これは俺が決めることではないんだ。

 色んなことを経験すると・・強制できないだよね。」


旬の言葉に・・・千里はツカツカっと歩いて旬に近づいて


「お前・・馬鹿じゃないのか?」


そういって千里は旬の頬を柔らかい頬をムニっとつまむ


「へっ。」


「何いっているだよ?僕だって帰りたいというのは知って

 いるだろうが何悩んでいるんだよ?」


千里が旬の頬をグニグニっとつまみながら、不満そうだ。

カズラはそんな二人の様子にくくっと笑う


「そうだ、短い間しかいないけど・・・

 お前色々詰め込めすぎているぞ?」


「・・・わかりゅ?(わかる?)」


俺は、そう見ると、千里とカズラは頷く

そして、千里は俺の頬から手を離す


「なんだか、あの戦い後のニルやクレーエ・・・

 トロイさんの顔が忘れられないんだよ・・複雑ってやつ?」


「・・・お前・・背負っただな」


「・・・ああ、背負いすぎて分からなくなったよ。

 でも、これで良かったじゃないかという矛盾が

 あるくらいだし」

 

旬の中では後悔と矛盾がある。

だから、迷いがあるのだ


「でも、旬・・お前はお前だろ?」


カズラがそういうのだ


「えっ・・?」


千里も同じように旬に問いかける


「君はあっちの世界が好きなんだろ?

 だから、帰りたい。それは僕も同じだ」


千里の真髄の気持ちが伝わってくる


「そうだね。何を悩んでいるやら・・今は、帰ることを

 一番に考えることにするよ。」


そう笑う旬


「あ、俺、部屋に帰るよ・・

 まだ、しないといけないことあるし・・」


そういって、旬は千里たちから去ろうとしたが

振り向いて


「少し、安心したよ・・二人ともありがとう」


そう言い残して去った旬を見て、千里は・・うつむいて


「・・・馬鹿旬。おおばかやろぉぉぉ」


千里はボソっと呟いた後、怒鳴る始末だ。

そして隣にいたカズラは、ポリポリっと頬をかき


「あれがお前の親友か・・優しすぎるな。」


その様子を見ていたカズラは、本当に困っているようだ


「旬は、昔からああだけど・・もっと、

 優しくなりすぎだよまったく。」


ふんっと怒っているようだけど


旬は喋っている時、とても、複雑そうな顔をしていた


きっと、何か大きなことを経験したんだろう


そして、恐ろしかっただろう。


旬は、あんな小さな身体ですべて受け止めた

その代償は重かったに違いない


「本人しか知らない感情というやつじゃないのか?

 あんな子供の姿なのに中身は俺より大人だ。」


旬という存在は、はっきりいえば明確に見えてこない


子供の姿をしていてもやはり、16歳とは思えない。


ここまで成熟していると・・なにがあったのか知りたくなるのだ


「あっちの世界でなにかあったのか?あいつ」


すると、千里は・・・はぁっとため息をつく


「・・旬の家族だよ。」


「家族?」


「父親が早く亡くなっているだよ。今は、母親

 母親である紫苑さんが唯一のあいつの家族なのさ」


まさかの発言に、カズラは息をのむ


千里の記憶の底には・・葬式の絵が浮かび上がる。


泣きたくても泣けない・・泣き虫な子供のことを。


「あいつの父親が亡くなったのは、俺が小学生の頃だっけ」


あの時は、旬の父親が亡くなった時・・。

見たんだ・・喪服の旬と・・その母親である紫苑さんを。


「旬の母親が泣いている傍で、泣くのを我慢していたんだ。

 でも、あいつ泣き虫だから影では泣いていたんだよ・・。」


震えながら涙を流す姿は・・まさに、あいつらしかったけどな。


でも・・その次こそは、泣かないと決めたけど。


でも、やはり、あいつは・・泣き虫だった。


「でも、あいつは・・父親が亡くなって、母親を

 守るために馬鹿なふりをしていたんだいざとなれ

 ば、冷静な対応すらできる・・まさに、子供にして

 は子供ではなかった。」


旬の子供時代の傍にいる千里だからこそ分かる


旬の父親のことは、俺も会ったとがある。

息子思いの優しいおじさんで、いつも遊んでくれたことがあった。


でも、優しくて強い・・そんな、おじさんはヒーローではなかったけど


いつも、旬が悲しんでいると声をかけてくれたり、お菓子をくれたり


遊んでくれたり・・まさに、いい父親だった


旬にとっては、魔法使いのような存在だった。


だから、亡くなったと聞いたときは・・子供の千里でも涙があふれた


でも、旬は泣かなかったけど・・結構、泣き虫なのは知っている。


男なのにな・・。


普段は、ああやってバカっぽいことばかりしていたけど

学校に遅れたり、先生に怒られたり、母親に・・etcだったけど  

千里より大人だった。


むしろ、たまに、子供の顔を仮面をつけた・・大人だと思ったことすらある


責任感がある旬が・・・ある時はまったゲーム


「それが、RPGゲームだったかな」


旬が唯一、子供みたいにはしゃげたのはそのゲーム

魔法使いが好きになったのは・・父親に似ているからだと言っていた。


自分も父親のようになりたい・・それが、旬の見解だった。


「確かに、大人だよ。はるかにね。」


「俺達のほうがよっぽど、子供だよな」


どうして、あんなに慈悲深くて・・傷つきやすいのか。

千里は・・こう思う。


「・・・たぶんね。旬は、自分の知らない所で傷を広げ

 そして自分の痛みのように背負う奴さ・・昔からそこだけは

 変わらないよ・・まったく」

 


「ははっ。」


「でも、強い。それだけは確かだ・・僕はそれを知っている。」


「親友だからか?」


「まぁね・・。」


「・・・。」


もちろん、旬は・・多分、どこまでも優しい奴だからこそ


「ニル様やクレーエもお前も僕も救われだろう?

 何もすべえてを背負う必要性などないんだ

 旬・・。」


「・・・。」


旬の優しさによって救われたならそれでいい。

また出会えるのは、多分・・もう少し先の話になりそうだから・・。

千里はそう呟いたのだった。


旬の優しさは父親ゆずりです。

でも、その人のようになりたいがゆえに、目標としている姿は

やはり、千里も無理しているように見えるのです。

だから、あの言葉を言ったのです”馬鹿”と。

それは、旬を心配しているが故の言葉なのです。

では、またどうぞ


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