少年、すれ違った気持ち
さて、冒涜もニルとトロイ・・あの事件後を冒涜にしました。
では、どうぞ。
また思い出す
ニルが、涙を流しながら私の顔を見ていたことを
(裏切るのは、慣れている。お姉さまもそうだったから。)
諦めに似ているのは・・いつだったか。
もう、あの頃のかよわい少女の顔は・・遠い面影だ。
(ニル・・。)
(ほんとうに貴方だけは信じていたんだ・・!!
それもこんな形で裏切るなんて・・私は・・貴方を
一生許さない。)
(・・・!!)
そしてニルの世界を崩壊させた時に見せた・・悲しい顔
(君も・・私を裏切るんだね・・・。)
トロイ・・。
あの瞳は忘れられない。
時折、長い夢から覚めた時・・いつも見る
その悲しみの向こう側・・。
***
錠をつけられ鎖とともに動けなくなったテレーゼは困惑の瞳をトロイに向ける
「トロイ・・お前を愛しているのに・・どうして!?」
トロイは、今までにもないような・・冷酷な顔で
見下すようにテレーゼを睨んでいる
「愛している?どの口がそういうのか・・私はずっと、貴方を見張っていたのですよ?」
すると、テレーゼは驚愕の顔になり・・信じられなさそうにトロイに聞く
「お前・・なぜ、妾を、見張っていた・・!?」
トロイは・・心臓に手をやり・・悲しみを訴えるように
「ニルは優しい性格をしていました。
ニルのことは私がよく知っています。」
「な・・なな」
「あの日以降、あんなに豹変するなんて・・
半信半疑でしたからね。貴女に探りを入れ
ていたのですよ。」
「妾を探っていたのか!?あんなに愛してると
ささやいていたのに!?」
「・・それも計画のうちです。旬に出会い
偶然でも必然でも好機と思い
この機会を利用しました。」
「利用・・!?」
「そうですよ。すべてはニルのため。
ニルをけしかける計画をたて
旬君に協力してもらうために」
そこには酷く痛そうな顔をしている
「ニルはあんなに傷ついた顔をして・・最後は、この少年を守るために
消えた」
俺はツキンっと痛む
クレーエやニルが消えた
あの時の喪失感は・・とても辛くて・・痛かった。
「あなたは・・知っていたですね。あの事件
の本当のことを・・テレーゼ、あなたは
ニルを本気で殺したかったのですね。
愚かな」
今まで、黙っていたテレーゼは、笑う
あははははははっと高笑いが響いた
すると、そこには豹変したテレーゼの姿だった。
もう女神とは言えないほど・・醜い姿だ
「そうさ、妹である、ニルは・・本当に
なんでもできる人間だったのさ。」
「ニルは最初は人間だった!?」
旬は驚いた
「驚く理由などありませんよ。元々、そのように
なる人間は少なくともいます」
「・・・!」
トロイは冷静に旬の問いに答える
「ふふっ・・やがて、ニルは、創造神に
その存在を認められやがては芸術神
さらには、妾は、万能神とは認めら
たが力はニルより劣っていた!!」
「・・それは、ニルを想う人間の気持ち
が強かったでしょう。元々神は
人間からの信仰により力が増す
それが神であることの証明
にもなるのだから」
トロイは冷静に怒りを抑えながら疑問を
次々とその問いかけに答えるのだ
「ニルは・・さらに、創造神からの力をもらい
世界を形成できるだけではない、女神として
質をもっていた・・許せなかったのよ
妾より、優秀な妹を・・だから、奪った。
あいつの地位も、恋人であったお前も!!」
トロイは・・静かな怒りを抱いた
「・・・・こんなことの為に・・ニルは苦しんだのか?」
トロイは静かに怒りをこめて問うのだ
「こんなこと?妾はそれ以上に苦しんでいるのだ!!」
俺も怒りを抱いた
なんて傲慢なんだろうか・・こんなの女神ではない。
ただの・・醜い嫉妬だ。
こんな奴が・・・許せない・・!!
怒りしか抱かない俺達
テレーゼは笑いながら俺達に攻撃を仕掛けてくる
「お前たちは消えろ・・」
「シャドウフレア!!」
それは、強い影の炎・・だが、トロイは・・。
「・・・”黒い炎よ、消えよ”」
すると、炎は消える
恐らく、”言霊”だろう。
トロイは”声が聞くもの”だ。
声を武器にしているのかもしれない。
トロイは、そのままテレーゼを指をさし
「”身体よ・・闇へ沈め”」
「がぁぁぁ・・身体が沈む・・!!助けろ!!妾を。」
すると、旬は冷酷な顔になった
今までにはない・・とても冷たい顔
「消えなよ。あなたのような傲慢な人
みたことないね。最初は尊敬していた
だけど、これほど、どこまで醜い。
ニルの方が百倍マシだ」
旬は杖で、唱える
「アビス」
「ぐぐぐぁぁぁぁぁぁ」
旬の魔法で強い苦しみを伴いながら闇の底に沈む、テレーゼ
「あなたは、一生その罪に悩めばいい。
ニルの苦しみは貴方のせいでもあり
確かにニルも悪党である部分もあった
だけども救いの手を伸ばしもせず
あなたもそれ以上の悪なんだよ」
「妾は・・悪くない・・。」
動けずに下へと沈んでいく女神であったもの
「トロイ・・ねぇ、ねぇ・・たすけ・・て。」」
その手をトロイに向けて救済の手を伸ばす
だけど・・。
「・・・。」
トロイは、その手を握るどころか、冷血な瞳を向けた
「・・・トロイ・・なんで・・どうしてよぉ・・」
トロイは憎しみを瞳をテレーゼに向けた
「喋るな。お前と何百年一緒にいたが我慢ならなかった
お前の傲慢な性格。正義と思っていたが・・・ニルは・・
お前のせいで苦しみ・・消えた。こんな大きな罪は
消して許されはしない・・消えろ!!」
そのとたん・・
「キエルノハイヤァァァ・・・。」
そう叫びながら・・消えたのだ。
なんて、滑稽で哀れな末路なんだろうか・・。
俺は、気持ち悪くなっていた。
こんな女のせいで・・・・千里たちが使われて傷ついたかと思うと
反吐がでる。
「終わった・・ようだね」
すると、そこには・・とても悲しそうな顔をしている
そして、旬を見て・・本音を話した
「ニルは、確かに悪党でもありました。止めらなかった
ことは大罪かもしれません。でも・・ニルは最初は
とても優しい神で慈愛があったそんなところが
好きだったのです。」
トロイ・・・!!
優しく微笑を浮かべて絵を描き上げていた
その絵はとても、優しく・・温かい絵だった。
その時からではなかった・・
初めて会った時から・・・。
「私は・・恋をしていたのです」
「・・・どうして、伝えなかったの?」
旬は問いかけた・・すると、寂しそうに笑った
「私は、臆病者だったのですよ・・あの事件が起こる
前に気付けばよかった・・テレーゼの口車に乗せら
れニルを非難したことニルから去ったことそれは
もう後戻りすらできやしない・・過去です」
寂しそうに彼は遠い過去を思い出す
「・・・ニルは、あなたの愛を疑って勘違いしていたよ。」
「・・・。」
トロイは黙った。
とても・・悲しすぎる
こんなに、想いあっていたのに・・。
どうして、こんなに不器用で・・。悲しいだろう?
そして、トロイは過去を思い浮かべ・・あの日を思う。
「何百年過ぎてもどうしてもどうしても彼女のことを
気になったんです。テレーゼから抜け出して・・ニル
の世界に来た時私が見たのはアニマが衰弱しているの
を見た時は」
じゃ、あの時出会った神は・・この、トロイさんだったのか・・。
それならば、納得がいくな。
「じゃぁ、アニマが出会えたのはあなたの
おかげだったんだ」
コクンっとうなずく
「そうです。その時、知ったのです・・もう、
彼女は私のことなんか眼中にないとね」
「そんなの・・違うよ・・。」
旬は否定する・・本当は違う
「ニルは・・貴方を思っていたんだ。この気持ちは
本物だったはずだ。」
すれ違いだったんだ・・。
こんなに、悲しい別れをするんだ・・。
すると、トロイは泣き笑いをしていた
「・・・悲しいですね・・真実を知った時は・・ニルには
もう謝ることも愛を告げることもできやしない」
思い出す・・。
(トロイが・・私を引き止めてくれたら
・・とどめられたのに自分の罪から
気付けられたのにね・・あなたのこと
本当は大好きだっただよ・・でも、
あなたお姉さましか見ないのね・・?)
違う・・違う
本当は・・信じたかったんだ。
「・・・。」
ニルを信じてさえすれば・・こんな別れもなかったはずだ
でも・・もう何もかも遅い・・遅すぎた
「・・・もう、思い出すことのないと思っていた。
あの子の泣き顔は。」
「・・!!」
トロイさんの顔はとても、辛そうで痛そうだった。
俺は・・
「ごめんなさい・・・俺が・・もっと、力があれば」
トロイは首を横に振り否定し、俺を励ました
「違う。君のせいじゃない。ニルは・・最後は
笑っていたのだろう?」
そう思い出す、あの優しい笑顔・・。
どこまでも、温かい手
あんなに、優しい神はいないと思った。
「私は、君に協力してもらったことは感謝している
君は偶然であり必然の中でテレーゼの手引きされ
そして私の思惑にも乗ってしまったのだ
・・申し訳ない」
旬はふるふると首をよにふる
「いいえ。俺はこの経験があったこそ
今の自分がいれると思ったことです」
すると、
「私は君たち人間が好きだ。そして、同時に
どんなことが起ころうと人間を信じ続け
ていきたい・・これからも」
その瞳は・・喪失を知っても・・つよい瞳
「・・・ありがとう・・ございます」
俺は・・。
神というのはどこまでも悲しい存在なんだろう
すれ違いさえなければ・・ううん、こんな悲しい別れさえなければ
きっと・・何かが変わっていたと信じていた。
結局は・・俺は・・。
うつむいていると・・。
優しい声がした。
「君は、ニルや私のために誤解を解かせてくれた。
それだけで十分だ」
「・・・。」
「旬、君にお礼がしたい・・3日後、
君が帰れるようにしてあげるよ
これは、お礼だ」
「3日後・・ですか?」
「ああ、次の満月は・・赤い月になる。
手配しておいてあげよう。」
なんともいえない、後味の悪さが残る。
それはそうと・・あの女神はどうなるだろう。
「・・・テレーゼはどうなるですか?」
あんな女神だったが、腹立つが、少し気になる
だが、あの女神が、ちょかいかけてくる可能性もある。
なにせ、普通じゃない女神だ。
タダでは転ばないだろう。
「・・・ははっ。テレーゼはもう、苦しみの中で
永久にもがくだろう。永遠にこの私が
監視続けるのだから幸せかもしれないが」
まさに淡泊か・・。
無理もないが。
あの女神は、もう外の世界を介入するべきではない。
してしまえば・・多くの人や神が傷つく
ニルはもっと・・早く出会っていれば
変えるべきことは・・たくさんあった。
あの人の本性は・・とても優しい性格だと知っていたから。
「ニルは・・優しすぎましたよ。」
「・・・ああ。」
「貴方やテレーゼを、怨んでいませんでした。
それどころか、自分が悪いと決めつけて
責めていました・・黒幕に気付くこともなく。」
「・・・そうか。」
あんなに、姉が大好きだったと言っていた。
裏切られても・・姉やこのトロイさんが好きだと言えるのは
とてもじゃないけど俺にはできないと思う
だけど、それを聞いたトロイさんはますます痛みを抑えていた。
俺は・・帰る前に、あることを話そうと思った
「そこまで、悲観しなくていいじゃない?
どうせ、また会えるし」
「えっ・・。?」
「さて、俺、帰ります。ここ、夢なんですよね
目覚めないと。」
ミリカたちのことも気になるし・・
さて、どうやって帰ろうか。
「・・ニルに会えるのか?」
おそる、おそるトロイは、俺に聞く
すると、俺はこの時・・どんな顔をしていたのだろうか
「ニルは・・また会えるといいました」
「・・・!!」
トロイは驚いた顔をしていた
「・・・どこかでまた会えると思います。
それは、どんな出会いか分かりません
けど・・あなた神でしょ?気長に待て
ば会えるですよきっと・・。」
「・・・そうか。神は長いからな。気長・・か。」
「じゃ、俺帰ります。ゲートは3日後の満月ですね?」
「そうです。ニルの世界のあった場所に行けば
ゲートを開かせます。」
「・・・何から何まですみません」
「いえ、こちらこそ・・あなたに会えてよかった」
その晴れ晴れしい笑顔を見て旬は
「俺は神はいないと思っていましたけど
いるんですね。すぐそばに」
すると、トロイはクスっと笑って
「いつでもといわけではないのですよ
でも、いつだって私はあなたがた人間の
味方ですから」
そのあとは・・俺は・・覚えていない
最後にみたトロイさんは・・憑き物が落ちたかのように
柔和に笑っていたのを・・俺は生涯忘れないと思う。
俺が目覚めるまえに見えた・・トロイさんは・・。
「・・・また、どこかで会おうな・・ニル。」
そう呟いたのは・・けして、気のせいではないだろう
いつか出会える
いつかはいつなのか
それは俺にはわからないけど
それはいつかが本当になる日がくると俺は
思うのだった
トロイはニルに恋をしていました。でも・・テレーゼの悪意によって彼女に想いを告げることもできずにすべてはすれ違った心が、おおきな誤解を生み・・
そして・・あんなに悲しい別れになったのです。




