少年、アニマという奇妙な生物 ~道化師との邂逅③~
ついに本が開かれました
それは、ひとつの謎が解かれる合図です。
では、どうぞ。
俺は本を読めた
その本は、俺に力を与えてくえる気がしたんだ
反撃のチャンスはすぐ目の前だ。
迷わずに・・俺はその本を持って
さぁ・・はじめよう
この道化師を倒すことを・・。
****
不思議な文字で書かれた本が見える
当然、異世界人の俺には読めることはないはずなのに
なぜか、その時の俺は俺は声を出してしまった
不思議と当たり前のように・・。
「風の精霊・・”アニマ”」
すると、突然の突風と共に本の中から何か変な生物が出てきた
エメラルドグリーンの風のような色
そして、琥珀の瞳
(ゴシュンジンサマ、アリガトウ)
ふよふよと浮かんでいる変な生き物が俺に感謝している
「な・・なんだ、こいつ・・?」
(コイツジャナイヨ・・シツレイダナ)
「・・・。」
もう俺は衝撃すぎて何も言えない
その生き物は俺に向かって
(ヨンデクレテアリガトウ・・サァ、タスケテアゲル)
「助けてくれるのか・・?」
すると肯定する奇妙生物。
(モチロン、キミハ、エラベラレシモノダカラ)
選べられし者・・。
あのお爺さんのことを今、一瞬思い出した
だけど、今はそれどころじゃなかった
(サァ、メイレイヲ)
「じゃぁ、あのクレーエを倒して、カードを奪って欲しい」
(リョーカイ)
強い風が、旬とその生物を包む
その途端、紙吹雪を吹き飛ばす
当然、カードになりかけた二人もドサっと音を出し
倒れ込む
俺はケホケホと咳きをしながら
クレーエと謎の生物との戦いを見届けることにした
「な・・」
クレーエは驚いたのだ
紙吹雪から見えなくなった途端、見えたのは
少年と一匹の生物
それも、ただの生物ではない
「な、なんでこれが・・ここに」
その生物に見覚えがあるのか、呆然とする
アニマはすかさず間合いに入り込み
(オマエノモノハイタダクヨ)
そうつぶやいた途端、すごい突風がクレーエを襲い掛かり
カードがその手から落ちる
「カードが!!くそっ」
クレーエが力を使おうとすると
アニマが攻撃を繰り出す
(スキニハサセハシナイヨ・・”ゲイル”)
ジンが使うよりも強力な突風がグレーエを襲う
その途端、クレーエは強力な風に耐え切れずに木に当たり
身体ごと打ってしまった。
「グッ・・今日は、ここまでだよね~」
尚も笑みを浮かべたまま
クレーエは立ち上がり
旬の持っている本を見る
「ふぅ~ん、珍しい本・・。いい情報を貰ったよ。
ここで、もう少し戦いたかったけど
強いからもうやめようかな・・。
じゃ、僕はここで失礼するよ
また遊ぼうね。坊や」
そう笑みを浮かべて旬に手を振って
消えていった。
「・・・。」
旬は黙りこむ
「どうやら、勝ったみたいだけど・・カードは」
カードはアニマがもっているようだ
(ウケトッテ)
そういってカードを風によって受け取った後
また風を使い旬の手の元に返す
「あ、ありがとう、君は一体・・?」
その妙な生物・・いわば、アニマはニコっと笑い
(ボクハアニマ。カゼノダイイチイノチカラヲモッタ
マモノダヨ)
「魔物?」
肯いて、そして時間がないのか
(ウンデモ、モウジカンガナイミタイ・・)
魔物の身体はどんどん透けていく
「・・透けていく!?」
(イマノゴシュンサマニハマダタリナイモノガアルカラ)
「タリナイモノ・・?」
(ダイジョウブ。タリナイモノハ、ゴシュンジンサマジシンガキヅケバ
イイコトダカラ)
「・・お前は分かっているのか?」
すると、奇妙生物・・アニマは、笑って
(ボクハタダノマモノダカラワカラナイヨ・・デモ)
イツデモヨンデ・・キミガヒツヨウトシテイルノナラ
「・・。」
マッテイルヨ・・ゴシュジンサマ
透けていき・・見えなくなった
そして、本は共鳴をしなくなり
元の本に戻る
当然、開くこともなく
名前も題名もない本はまた固く閉じられるのだ。
「終わったか」
静寂と共に、終わりを告げた
俺はホッとしていると
ジンとラミアが起き上がる
「あれ?クレーエは?」
「消えたみたいだよ」
そして顔を青くして
「じゃ、皆は・・。」
心配している姿に俺は安心させるように笑みを浮かべて
クレーエからアニマが取り返してくれたカード見せる
そして、大輪の笑みを浮かべたラミアが
「あ、ありがとう、旬。ほんまにありがとう」
礼を言うそして渡して貰おうと思う前に
「待って、俺が皆を元に戻すから」
旬は、カードを見て
「皆を元に戻して」
その途端カードが光
村人が倒れ込む
「ヴヴっ・・」
妙齢の女性が倒れ込む
その人物に見覚えがあるのか
「おばちゃん!!」
ラミアがその女性と子供たちの所に向かう
その様子を眺めていた俺
うんうん、良かったと思う。
そして、俺は持っている本を眺めた
「・・本が共鳴したのか?」
「分かるの?ジンは?」
ジンが俺の隣にやってきてこの本を眺める
「ああ、かすかだが、波動を感じた
この本からな」
その本を眺めるジン、俺は正直にあったことを話す
「・・この本は、一時的だけどね・・。」
一部始終を話すとジンは神妙な顔になる
「成程な、この本の中にいた魔物か・・・。」
「うん、それに俺が望めばまた呼べるかもしれない
何かあるはずこの本の謎にね。」
「望めばか?」
「分からない。あの魔物は俺に足りないものがある
と言った。」
「足りないもの?」
「さぁ、俺には分からないけど・・いずれ分かる日がくるかもしれない」
俺は、あの魔物を見たとき・・なぜか、懐かしい感じがした
それは、どうしてか分からなかったけど
でも、謎の解明へと一歩へと踏み出したような気がするんだ
「だが、これからが始まりだな」
「そうみたいだね」
あのクレーエも何か知っているようだし
この本はまだ謎が多い
とにかく、俺は村人と喜んでいるラミアは見て
この件について終わりを告げたことにホッとため息をついたのだった・・。
足りないものとは何でしょうね。
きっと、旬は持っているけど、気づいていない
かもしれません。
では、火曜日は更新おやすみします。
では、水曜日で楽しみにしていてくださいね。




