少年、この叫びの向こう側
ニルという存在はどのような過程で生まれたのか?
ではどうぞ。
遠い過去の昔
私は確かに好きだったこの世界のすべては
生まれて初めてみた世界はよりは美しくて
すべてが自分の目を通して・・キレイに感じ取れた
やがて・・その瞳を濁したのはいつだろう?
そう、問いかけるのは・・昔の私に
そして、今の私なのだ。
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「私は、この世界の女神としてテレーゼとともに生まれた双子神だった。
この頃は私は地上で生活をしていたんだ・・姉とともに」
「・・貴方が?」
すると、こくりと頷く・・。
「人間の世界では、姉と私・・二人だけだったが、幸せだったよ。
多分・・それは、瞬きにしか過ぎない程に・・」
一瞬のことのようだと・・ニルは言った。
遠い過去は・・・時代の向こう側へと繋がるのだ。
でも、ニルの瞳は狂気の炎が見えたのだ
「最初は私たちは、この人間と共生していた・・しかし、
やがては人間は私たちの土地を奪い合うようになった。
愚かな欲望とともに・・私はこの世界にいられなくなり
やがては、逃げ出すようになった。」
思い出すのは・・遠い昔の話だ。
この世界が形成され
そして、人間が戦をしていた頃の話。
ニルは・・苦しみともに思い出す。
人間が好きだったんだ・・最初は、でも・・。
自分たちの歪みは・・悲しみは終わらなかった。
終わることはなかった。
「人間は私たちとの共存なんて望んでいなかった。あったのは
そう、欲望だけ。私は、どうにかしてその歪みをなくしたかった
そこで、考えたのは・・この世界だった」
そう、人間から追われなくなるにはどうすればいいのか考えた
その時・・私には力があることも知っていた。
自分には姉と同じ万能な力があった。”芸術神”ではあったが
その力は本物であったことも知っていた。
つまりは、この世界を造るための力はあったということだ。
確かに、あの時は幸せだったと言い切れる。
「姉とともに過ごしたことも忘れられない。
この世界を造った時は我々は確かに幸せだった。
そんな、ある時、トロイという愚者と出会った。
彼からのプレゼントとして贈られた・・それが、”アニマ”という獣だった」
「!!?」
アニマが・・トロイさんによって送られた獣だったのか!?
「アニマは、風を操る獣だった。それは、私にとって家族ができたように
うれしかった・・もちろん、トロイに出会った私は彼に羨望をしていた
やがては・・その羨望は恋に変わり・・それが自分の中に歪みが生まれたんだ。」
そう、それがすべての始まりだった。
トロイに出会ったことで。
私の女神としての人生は・・変わっていったのだ
「歪み・・?」
やはり、世界にいても
私の歪みは収まらなかった
外の世界はまだ・・争いは続き
人は、どこまでも欲望になっていく・・。
私は・・それが悲しかった
でも、トロイは違った
その世界を見て・・・愛しそうにしていたんだ。
私なんか・・眼中なんかなかった。
姉もそうだ・・私と同じ顔をしているのに
人間なんかに目を向ける
その瞳が・・憎かったんだ・・!!
「・・・人間の世界のことさ。トロイを愛するあまり、人間を愛した
トロイ・・それを見た私は嫉妬と憎しみが生まれた」
「・・・。」
トロイの目には私なんか眼中なかった・・人間に目を向けていた。
「・・そう、どうしてか分からないほど。私は人間を憎んでいた。
それが大きくなり憎悪が膨れていったんだ。」
「・・。」
「憎悪が止まらない私は、ついに、破壊システムに熱を入れるようになった。
そう・・そこで始まったのさ、姉であるテレーゼとトロイが・・私に仇を返した。姉とトロイは人間を好きだった。愚かだと分かっても人間を好きでいられたそれが、私にとっては苦痛だった・・それが別れ道だった」
「別れ道・・?」
「姉とトロイとの決別。そして、私自身の罪の始まりだった。」
ニルは・・自分の顔を抑えた。
「・・破壊システム・・これこそが、私が始めたコトだった。
人間だけじゃないこの世界を壊すこと。それが目的だったのさ」
ニルは、悲しみの瞳をブラック・ボックスに向けた。
「でも、あれは・・封印されたって」
「そう、姉によってね。封印されたんだ。別れ道へと続く道は
やがては、どんどんこじれていった。」
昔を思い出せば・・姉とトロイは・・。
最期に見えたのは・・とても、見れた顔じゃなかった。
姉はそんな私を見限り・・去って行った。
「・・・そんな、別れ道によって、姉とトロイとの絆も断ち切られ
ついに、私は追い詰められた・・そして、自分の中にある
悲しみ、苦しみという・・人格を切り離した
それが、ニーヴェの誕生だった」
「・・・!!」
血の海によって造りだされたのは・・ニーヴェだった。
「・・やがて、私は、この世界のすべてを憎み、この世界への情を捨てた。
そして共にあったアニマすら捨てた。」
「・・・。」
ニルは・・後悔という顔をしていた。
「・・・どうすればよかっただろうか。私には・・それが分からない。
今も昔も・・君には分かるか?その・・苦しみを
怒りを・・欲望を持つ人間の愚かさを」
ふるふると震える・・。そして、目の前にいる。
旬に怒りをぶつけるニル
ふつふつ湧く怒りは・・どこに向けていいか分からない
「だけども、それが人間だよ。愚かだけども
どこか、情があってどこか皆、幸せに生きている
それが・・人間なんだ」
旬の言葉に・・ニルは怒りをぶつける
「うるさわしい人間!!何がわかる!!」
「分からないよ・・でも!!」
でも・・。
「あなたは・・あの二人が好きだった
大好きだった・・違うの?」
その言葉に・・
「・・私は・・確かに、姉やトロイが大好きだった・・でも、私は
一つだけ・・許せなかった」
「・・・。」
「人間だよ!!人間がしたことをすべて、欲望があり嫉妬があり、暴食だってある。人には・・計り知れない罪が多すぎた。だから、排除しようと思ったんだ」
ニルは・・狂気の瞳を浮かべ
俺を見ていた・・俺はその時、知った。
その人の感情を・・心をすべて。
ニルは心から・・憎しみを旬にぶつける。
「そんな感情・・誰だって抱くよ。俺も。」
「・・・同じ?」
旬はポリポリっと頬をかく。
「人間が欲深いのは、欲しくてたまらものがあるから。嫉妬があるのは
その人の気持ちを自分に向けてほしいから。暴食は・・まぁ、自分の気持ちの中に抑えきれないものをどうにかして解消しようと思うからだ」
「・・・!!」
「俺にもあるよ。嫉妬や欲深さも。すべてをひっくるめて
それが、人間であるんだよ。まぁ、確かに人間は過剰すぎれば
暴走はするけど。」
自分にも覚えがあるのか旬はニヘっと笑う。
それも無邪気に・・それをみたニルは目を丸くする
そう、確かに過剰すぎれば暴走する。
その時代の向こうには戦もあれば、まぁ色んなことある。
でも・・俺はその時代を乗り越えて・・今、この時があるんだ。
「そんな人間だから、多分・・君の姉さんたちは憎めなかったのかもしれない
人間がかわいくて見えてしまうところもきっとあるはずだよ」
「・・・なら聞くが、人間。神を当てにするのは・・なぜだ?」
そう問いかけられると・・旬はう~んっと悩む
俺もまぁ・・神だのみをするからな。
神社にいけば、必ずお願いするんだ。
まぁ、成績UPのお願いやら、金持ちになりたいやら
まぁ不純すぎるお願いばかりだけど・・。
でも・・自分でも思うんだ。
「神様を当てにしているのは、きっと、自分だけじゃ叶わないのを叶えてほしいから意外と人間も単純なんだと思うよ。」
固定的な例が、今のようなものだけどね。
その旬の言葉にまた・・ニルは黙ったのだ。
「・・・。」
ニルは黙ったのだ
それでも、旬は・・話すのだ・・ニルに聞こえていようが
聞こえていないが・・自分の想いを・・。
「俺達は、神様というのは、本当に雲の上のような存在なんだよ。
だから、敬うしそして、恐れる・・まぁ、その力を利用をする人たちもいるけど」
村長の件では本当に腹がたったけどね。
この人がまいた種とはいえ・・。
この人自身の種は別の人間の欲深さによって育っていき
やがては、あのような事件へとなった。
それは、変えられない罪なのだ。
「・・。」
それでも、ニルは黙る。
「でも、俺は・・時代を流れ着いた今の自分が大好きだよ。
こんな、たまに弱くて強いこの世界が好きだ。もちろん、
自分がいた世界にも愛着がある」
ニルはハッとして旬をみたのだ。
「だから、俺はこの世界が好きだからこそ
ブラック・ボックスを止める。たとえ
あなたが止めても」
「・・人間・・。」
その気持ちは遠く強く
少しずつ、結び付けが強くなる
旬は、ニルに微笑んだのだった。
旬は、まぁ・・神様を信じるタイプです。でも、そこまでではない
不純な願いを持っているけどでも・・っといった気楽な旬
さぁ、この物語はどこに向かう・・?




