少年、ニルという本当の存在
さぁ、どうなるのか・・?必見です。
涙が止まらない
しくしく
しくしく
しくしく
泣いてばかりだ
何もないから泣いてばかりだ。
鏡は大嫌いだった。
自分は、嫌いだったんだ
好きな訳ないのに・・。
どこか、望んでいたのだ。
自分の顔を見てただ・・ただ、泣くのだ
涙がボロボロと溢れて止まらない
自分の顔を見るのが恐ろしい
自分の顔が嫌いだ。
こんなにも、姉の顔に似ている自分
こんなにも・・こんなにも
頭をおかしくさせる・・・!!
こんなに辛い思いばかりしかない。
姉よりか私は劣っていた
劣っていたんだ
もう・・こんな世界を終わればいい
何もかも・・消えればいい・・。
****
旬はその世界を眺めて
やがて、杖を、黒い霧に向けると、杖が光って
その黒い霧から道ができるのを確認して入っていく
そう・・ここは、悲しさが詰まっていた。
とても、悲しくて
辛くて
心がはりさけそうな・・そんな心情が含まれている
場所だった。
自分も知らずに・・痛みを訴える。
とても、悲しい気持ちがした
痛くて
痛くて・・。
「・・・こんな気持ち・・俺は知っている。」
喪失だ・・。
俺は、その気持ちを知っている。
だから、悲しくさせた
だけど、すぐ首を横にふって疑惑を打ち捨てる
「いやいや・・こんなところで、立ち止ってはいられないね・・」
杖を向う側に向けると・・また道ができる
その道に沿って俺は歩き出す。
そして・・やがて・・道の向こうには・・。
しくしくと泣き下れ
寂しそうで・・痛そうに震える女神が苦しんでいた
向うには、ブラック・ボックスが黒く覆われているのが見えた。
ニルは・・ただ、悲しみ以外は何も感じていない。
旬を見るなり・・苦い顔をして・・またうつむく
「・・・なんだ、なんできたんだ。この世界は終わるんだぞ?」
ニルの言葉に・・旬は、立ち止る。
「そうだね・・終わるね」
そう淡々と告げた。
ニルは・・また言葉を続ける。
「終われば、お前も死ぬんだぞ」
「そうだね。」
また、淡々でそして、ニルの言葉に反応している旬。
そして、ニルは勢いよく立ちあがり、旬に問い詰める
「なんで・・なんでそんなに、清々しいのだ!!どうして
そんなに・・怖くないのか!?」
そう罵倒される旬・・だが、俺には分かるんだ。
今、この時は・・とても、とても・・。
俺は今の気持ちは・・ただ。
同じなんだ。
「・・・怖いね。たまらなく怖い。今この時は・・とても怖くて
たまらない」
本当は、こんなにも震えている
こんなにも、恐怖だ。
ニルという存在を目の前にしてこんなにも足だってもう・・。
ニルはギッと旬を睨みつける。
「じゃ、なぜ、そこまで冷静でいられる!?どうして・・そこまで
・・真っすぐでいられるんだ・・?」
ニルに、その瞳を向けられる
そう、確かに今の俺は怖い・・まぁ、全体的に震えているし
色んなことに恐怖がある・・でも、目の前にいるニルも
それは同じだと・・気付いているからだ
「それは・・あなたも怖がっているから。自分の中の恐怖に
震えているんだ。」
すると、ニルは怪訝な顔をする。
自分が怖がっているのが・・分からないようだ。
悲しみはあっても・・それ以外の感情はないようなきがする
「私が・・?なにをこわがっているそんなわけがない。」
旬は・・・。
一歩ずつ近づいていく
「近づくな・・!!人間ふぜいが」
そして、俺はニルの一歩手前で止まる。
「あなたの顔・・それは、あなたの恐怖の原因。」
ビクっとニルの肩が震えた
「・・・あなたのその顔は・・作られたものであった。
あなたの本当の顔を知られたくなかった」
「違う!!この顔が嫌いだからだ!!この顔ガァァァ」
顔を触るなり、嫌がりようは確かにこの顔を嫌悪しているようには見える
でも、本当はそれが違うとしたら・・?
俺は、ふるふると首を振る
「真実の鏡に、その答えがあったと思うよ。」
「真実の・・鏡?」
俺があの場所で見つけた鏡
そう、すべては、真実の鏡に答えはあったのだ。
知らず、知らずに・・俺は、気付いていった
その鏡に映る姿こそ・・真実だということを
「真実の鏡には、自分の心の深層心理があるんだ。
なんで、俺が鏡では泣いていたのか・・それは
自分の心の奥にある・・真理なんだ。」
「・・。」
ガタガタと震えだしたニル・・すくならずも
それは、真相へと導く答えだ。
「あなたが真実の鏡を捨てた理由は・・悪魔の顔じゃない
自分の見たくない感情の顔を・・みたんだ。」
「・・・。」
ニルは、あの日を思い出す。
自分の姉とトロイが去った日
大勢の神が自分の元へと去った日。
自分の鏡で見たのだ・・。
その本当の顔は・・嫉妬で苦しむ自分の醜い顔だと
気付かされた。
その時、恐怖だったのだ。
自分の本当の姿はこのような凶暴な姿だったとは。
心底・・震えたのだ。
「・・・私は・・・。」
自分自身に問いかけ・・震えるニル。
俺は・・ただ言えるのだ・・これだけは。
「・・・あなたは、本当は嫉妬をするし、悲しむことだって
できる・・たった一人の神のはずだ」
その旬の指摘に・・ニルは、身体を震わせ
あの日だけじゃない・・すべてを思い出す
「私は・・・。」
私ぁぁ・・・。
「そうだ・・私は・・羨望を抱いていたんだ。」
ニルは・・思い出したかのように・・頭を抱えた。
私は羨ましかったんだ。
姉は万能神で誰よりも強かった・・憧れていたのだ。
そして、愚者のトロイ。”人の声を聞くもの”は。
どこまでも、その姿は・・美しかった。
芸術のように・・美しかった
気付けばそれは・・恋に変わっていた。
ペタンっと脱力し、寂しそうに笑うのだ。
「私は・・トロイを愛していた。でも、姉だって大好きだった
だから、受け入れてほしかったんだ。人間のせいで
苦しんだ自分は、どうにもできないすべてに苦しんだ。」
「・・・。」
受け入れてほしかった
最初は本当にそんなものだった。
でも、途中から・・変わっていったんだ。
ようやく・・少しずつ・・。
「くすっ・・・。」
そう、口元に笑みを浮かべたニルは・・旬を見て
狂気の笑みを浮かべた。
「私の過去を教えてあげるよ・・人間によって歪められた神の人生を」
ニルは低い声で語り始めた。
「・・・教えてくれるの?あなたにとっては・・不利益しかない。」
すると、ニルは狂気の瞳のまま笑うのだ。
「・・・もちろん。後悔はしないのならば。この歴史の裏側に
どれだけ愚弄されたのか・・知ればよいこと。後悔する前に
耐え切れるかどうかな・・?」
旬は・・ごくりと息をのんだ。
歴史に語り告げられない・・ニルという存在の神のすべてを。
その瞳には何を映すか分からない
でも・・俺は・・真っすぐに、ニルの感情を受け止めようと思う。
それが、日生旬ができることであるこから。
そう信じて・・旬は・・ニルの言葉に耳を傾けたのだった。
ニルはどのように時代をみてきたのか
それが次回明らかに・・では、またどうぞ。




