少年、占い師のもう一つの顔
ゼノンさんが出ました・・彼女はどんな行動を起こすのか・・?
では、どうぞ
うわぁぁあぁぁっと俺が落ちるような錯覚の夢を見たあの時
俺が見た夢には・・。
パシっと掴む腕・・俺を、落ちないように引き上げる手が・・。
そう、俺が嘘だと思ったのは掴んだ相手だった。
「少年、ここで終わらせるのは、まだ早いよ」
そう、彼女が笑って俺の腕を掴み引き上げてくれたのは
まぎれもなく・・ゼノンさんだということを。
だから、俺は・・驚いたのだ。
それが、夢の本当の真相なのだ・・。
だから、絶叫した・・それだけのことさ。
*****
「ゼノンさ・・ん」
そこには、ゼノンがニコっと笑っていたのだ
「なんでここに・・?」
「大丈夫ですか?少年?」
「は・・はい。」
「そして、そこの少年も、そんな切羽詰まった顔をしてはいけませんよ?」
ゼノンの言葉にその場が沈黙する
もちろん、ヤドリは呆気がでているようだ
「はぁ・・?どうも・・。」
長剣を下ろして・・いかにも、不思議そうにゼノンを眺めている
「さぁ、少年も。そんな顔をしないでくださいね」
労わるような声に、旬はソノの声に安心する
どうしてか分からない
なぜか分からない
その時、震えた声が聞こえた
「う・・嘘よ」
手をプルプルっと震わせミリカが幽霊をみるかのように青ざめて
「あんた・・なんでここにいるわけ!!」
すると、ミリカに気付いたゼノンは
「おや、ミリカお嬢さまではないですか。生きていましたか。」
能天気に挨拶をするゼノンにミリカは怒りだ
「生きていたじゃないわよ!!驚いたわよ!!あんた
なんでここにいんのよ!!」
ミリカが叫び続けてはぁはぁっとなっていると
横から旬が不思議そうな顔をして
「あ・・あの、ミリカ・・知り合いなの?」
すると、旬の顔を見るなり・・ミリカが青ざめて
「ええ。知り合いよ。以前・・旬にも話したじゃない。
ほら、どっかの国で奇襲にあった・・王族の専属占い師のこと」
「そういえば・・そんなことをいっていたね」
そう、ミリカの話では、王国の専属占い師がどこかの国で奇襲を受けて
かなり、酷い状態だったと・・その時の話では・・その奇襲を受けた国は
どうやら・・グランドクルスだということが明らかになってはいる
でも、それが何と関係があるだろうか・・。
「こいつなのよ。奇襲を受けた張本人は。」
間が沈黙を持つ
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
(・・・。)
そして
「「「え、えええええええ~」」」
驚きがこの間を支配する
ニルなんて無視そのものだ・・それほど、驚いたのだ
「そう、そして今・・この場ではないあたしたちの国で
意識不明の重体なのよ・・こいつ。」
ゼノンを指をさすミリカ
ゼノンはニコニコっと笑うばかりだ
「まさか・・ミリカが言っていた人は・・この人なの?」
すると、ミリカが嫌そうな顔をして
「そうよゼノンビア・カーイル・・こいつ、王宮の専属占い師よ。
ふらふらとあちらこちら出ていくとんでもない喰わせ者よ。」
ミリカはげんなりとした顔をつきをしていた。
対するゼノンはニコニコしておっとりしているが喰えない顔をしているのは
確かだ・・。
ヤドリは戦意をなくした後は、ゼノンに近づき
「へぇ・・すごいな。俺っち、ヤドリです。」
すると、ゼノンはニコっと笑って
「はじめまして、ゼノンビア・カーイルよ。ゼノンっと呼んで。」
ニコっと握手を交わしている二人にワナワナっと震えているミリカ
「ってか・・ゼノンビア!!和んでいる場合じゃないでしょ
第一、あんた王宮で寝ていたんじゃないの!?むしろ、意識不明って聞いた けど!!」
すると・・あ~っといいながら髪をグシャグシャさせてゼノンは
めんどくさそうな顔になる
「そうですね・・・意識不明の重体は間違いないです。
この身体を見れば分かるでしょ?傷がないとか。」
確かに、新品同様の服に傷一つなんてない。
「えっ!?」
ヤドリはおそる、おそる、ゼノンを見て
その握手した手が冷たいことに気付く
慌てながらゼノンから一歩下がる
「まままま、まさか・・本物のゆゆゆ、幽霊?」
(イヤ、シンデハイナイヨウダナ。ニオイデワカル。オマエ
イマ・・イレモノカラトオザケテイルダロウ?)
アニマの声にゼノンビア・・ゼノンは頷く
「・・ええ、幽霊でもなんでも・・今は、魂の入れ物がない
そんな哀れなる存在でも呼んでください。あ、言っておきますが
死んでいませんよ。そしたら、成仏するしかないですし。」
ホホホっと笑うゼノンに、ヤドリは震えている
(ナンカ、スゴクヨウキダナ。ドコカラクルンダソレ。」
「うん。俺も同じだよ。ミリカ振り回されているね」
ミリカの方を見るとうんざりしているようだ
しかも、呆れているのが分かる。
顔みしりとなればそうなるな・・と改めて関心する。
「あんた、魂だけなら・・分かるけど、なんでいんのよ?」
ミリカの言葉にゼノンはスッと目を細めた
「・・ずっと、少年・・いえ、旬の心の中にいたのですよ。」
「・・俺の?」
すると、ゼノンはコクリっと頷く
「はい。あの日・・会えなくてすみませんでしたね。
魂がひどく不安定でしたし・・何よりもこいつに邪魔されていたので」
ゼノンは、ニルに目を向けた
そこには・・ニルがうすら笑いをしていた
「話は終わったか?」
すると、ゼノンは一歩上へと上がる
「・・・お久しぶりですね。ニル。あなたがこのあたくしを怪我をさせて
早く、どれくらいたったのか分からないものです」
ニコっと口元は笑うが・・目は笑っていない。
フッとニルは笑う
「あの時の魔女か。ズタボロのボロ雑巾にしたのにまだ生きていたのか。」
すると、ゼノンは・・。
様子が変わる
「そのくらいで死ぬ気はない。お前さんのことを恨んでいるからな」
言葉は乱暴になる・・これが本性か・・と旬は思った。
ゼノンはうつむく
旬は・・思わず信じられない言葉を聞いて
「ゼノンさん・・魔女だったの?」
すると、クックックと笑う
メノリは旬にコソっと話をする
「そうだよ。魔女さ。何代も巡る・・・”魔女”」
その姿に、ミリカはコソコソっと旬に小声で話す
「旬、気をつけなさい。こいつは、あんたたちよりも
年上なのよ・・・見た目は20代の姿をしているけど
本来は・・もっと、年上の・・魔女のババアよ」
お、おばあさん?
「本当・・?」
「嘘じゃないわ。現にソイツ、あたしが王国に来る前から
全然、老いたことがない。本物の化け物よ。このババアは。
年齢なんて聞いたことさえないわ。」
すると、ゼノンの目が光って
ミリカの元へと向かい
「ババアというな。ミリカお嬢様・・これでも、長生きの秘術のために
研究を続けているだぞ?しかも、あたくしの年齢は20代だから。」
すると、ミリカは嫌そうな顔をしながらげんなりしている
「あんた、自分の年齢を秘密にしているのは先代からでしょ。
不老不死の秘密を知る。唯一の禁断の魔女のくせに。
しかも、年齢をごまかしてもバレバレのくせに。」
「ほほっ・・この口かな?この口かな?悪い口は」
「やめれ、あんしゃがとしごまかしてもおうぞくのもにょはひんしってんのよ」
(やめろ、あんたがごまかしても王族のものは知ってんのよ。)
「ほほっ。口が悪いお嬢様だ」
「あんたに言われたくないわよ!!あんたが、変な薬を開発して
酷い目にあっているのは毎度のことなんだからね!!」
すると、旬の頬から冷や汗が出てくる
「ふ、不老不死?せ、先代から?しかも、く、薬?」
いかにも魔女のやりそうだ。
「そうよ、こいつ、先代から続いてんのよ。だれもこいつの年齢を知らないし
本当の姿も知らない。まさに、化け物だし・・しかも、薬を開発などしているから王族も助かっているし、不満言えないのよ。はぁ」
ため息を吐くミリカ
「お・・おばあさんなのか・・まじか?」
ヤドリは、一歩下がっている
どうやら、その言葉が嘘ではない気付いたのか・・
恐怖だ。
すると、クックックとまた笑うのだ。
「・・・本業は魔女・・まぁ、副職として占い師・・もっぱらは
占い師のほうが仕事だ・・・魔女の仕事も最近は減ってきたしな。
まさか、今回の仕事は数年ぶりに行う、魔女の仕事だった
それだけのこと。」
向けられる瞳は・・ニルに対してだ
それは、怒り・・そして・・・。
「あの日、こいつがすでにここに潜んでいることに知っていたんだよ
・・・何かが起こることは知っていた・・だが、こいつの奇襲により
あたくしは大怪我をして意識不明の重体まで追い込んだ」
「ははっ。貴様が私の邪魔をしようとしたからだよ。天罰だ」
すると、狐と狸のばかしあいなのか
その間にはピシャーンっと音を立てている
「天罰?そんなこと知るわけがない。あたくしが欲しかったのは
本来ならありえない程の・・力の源。ブラックボックスを
壊すこと。あれは、この世には必要ない。」
「・・・魔女のお前がなぜ、ブラックボックスの存在を知っている?」
すると、どうでも好さそうにゼノンは。
「さぁ、長生きしていればなんでも知るんだよ・・さぁ、少年。
その、結界を壊すことに協力をしてあげるよ」
「・・ゼノンさん、でも・・壁は強力で・・。」
そう、ニルの結界は強い
「あたくしを誰だと思っている?魔女だよ。」
「そうね、ゼノンビアなら、なんとかなるかもしれない
旬、行くわよ。」
「・・・うん。アニマ。ヤドリ・・準備はいい?」
「もちろん、俺っちの長剣の腕がくる!!」
ズシっと重たさを持つ長剣にヤドリは笑う
(アア、イツデモコイ!!)
「さぁ、いきますよ。少年」
すると、ゼノンは・・術の形成へと入った
俺は一つの光が見えた。
勝利の光が・・。
「大地よ我に従え・・・エストレア」
ミリカが叫ぶと空から巨大な星が流れてくる
俺は杖をトーンっと叩くと・・。
「マグマ・・!!」
コポコポ・・っと音を立てマグマがニルに向かって攻撃を仕掛ける
(ストーム。)
アニマの声で大嵐が邪魔をする
「それだけじゃ、私を倒すのは不可能だ。」
すると、ゼノンが
「それなら、使えなくすればいいこと」
「な・・!!」
そして、ゼノンはニヤリっと笑って
大きな陣で魔法が発動する。
「無動作させればいいだけどのこと」
もちろん、ゼノンもニヤリっと笑って
すると、電磁波の狂いによって、ブログラムがガガガガっと音をたてる
誤作動を起こさせた。
その瞬間にも旬達の魔法が・・炸裂する
守っていた結界も重いピシピシ・・っと音を立て
「・・・ぐぅぅぅっ。まだまだ」
「俺っち忘れてもらったら困るなぁ」
「なっ・・!!」
すると、長剣で衝撃を与えるとバリーンっと割れる結界。
ニルが後ろへと下がったのを見逃さない
ゼノンはニッと笑って
「さぁ、反撃の狼煙だ・・旬。」
「・・うん。」
俺は、真っすぐに向かうために
終わらせるために
できることをしよう・・。
もちろん、俺は知らない。
ニルが悪徳な顔で・・笑っていたことを・・。




