少年、偽りの約束 ~道化師との邂逅その②~
元凶の登場
彼は、この話しでは敵キャラとなります。
まぁ、愉快な道化師の彼の話です。
では、どうぞ。
俺の目の前に現れた奴は
ただものではない
それは、道化師という存在そのもの
笑い狂っている人形のように
俺には、分かる
こいつは、破滅を望む瞳をしている。
異世界モノの俺にはなんとなくだけど理解できた
そこで俺は思っただけど、この世で一番恐ろしいモノってなんだ?
動物?
幽霊?
自然災害?
確かにどれも恐ろしいけど
俺にとって一番恐ろしいのは・・。
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焼け焦げている家の前
俺たちの前に姿を現したのは謎の人物
それは、狂気
俺は、その笑み浮かべる男が何でここに来たのか
聞くことにした
「・・・貴方は何者?」
「くすくす」
旬が言っても男は笑うだけ
まるで俺たちを見ていないかのように
さすがに俺もイライラしてきたよ
優しく言う気もなくなる程
しらけてくるよ・・。
「・・もう一度言うよ。あんた誰なの?」
尚も笑い続ける男は、ニコっと笑って
「怖い、怖い。」
怖がるように身体を隠す男に
旬は、キッと睨み
「二度は言わないよ。」
そう言うと、男はククっと笑い睨みつけられたことで
仕方ないと、話だす。
「僕のことを”クレーエ”と呼んで。この世で一番いい名さ
さっきも言ったように僕は”脅迫者”だよ」
「・・なのか」
呟く声が聞こえる
「え、何が」
「あんさんなのか・・この村を燃やしたのは?」
ラミアが怒りの瞳を向ける
「何のこと~?」
クレーエははぐらかしているその姿を見てラミアだけではない
ジンも殺気を出す
「お前がこの村を燃やしたのか?と聞いているんだ
答えなければ容赦しない」
剣を構えるジンにクレーエは、怖がることもなく
むしろ、笑っている
「クックック、そうだよ」
ニコっと平然に笑う男
まるで、当たり前のように笑うクレーエに
ラミアはフルフルと震えて
「あんた・・約束したはずや!!うちがお金を出せば
村の皆には手を出さないといったはずやで!!」
勢いよく叫ぶラミアに、クレーエはおどけたように
「だって、反抗するんだもの。奴ら」
「・・。」
俺は、黙った
でも、怒りで手がもう震えてる
その手を抑えるように必死に言い聞かせ
怒りを沈めるために冷静になるようにする
相手の思う壺にならないように・・。
クレーエは笑い続けて話し続ける俺は当然、黙っている
フルフルと震えるのは俺だけではない
二人とも怒りで今にも爆発しそうだ
クレーエは懐から何かのカードを出し
笑いながら話を続ける
「こどもを返せって、奴らは僕に襲ってきたんだよね・・でも、残念
僕は、マジャンだしね。この通りカード扱いを上手なんだ
見てよこれ、このカードきれいでしょ?」
「な・・なな。」
ラミアは呆然とした。そのカードはトランプなどで使われるカード
だけど、どこかが違う・・そう、そのカードには
たくさんの人間が、カードの中に閉じ込められている
「おばちゃん!!それに・・皆!!」
俺は、驚愕した
カードのなかに、村人が閉じ込められている
酷すぎる・・。
許せない、これはもう・・人がしていいことじゃない!!
その様子にジンは、もう我慢できないという顔になり
ついに、ジンの忍耐の糸がプッリと切れ
「貴様!!」
ジンが剣を持って、今にも斬り倒そうとしている
俺は焦った、ジンは強い
確かに、この男を倒すことができる
でも今はダメなんだ
「ジン、抑えて!!」
俺は叫ぶ
今、ここで戦うことはマズイ
「・・なぜだ!!」
ジンは、なぜ止めるだという顔をしている
俺には訳があった
それは、奴の手に持っているカードだ。
「奴は、ジンが襲いかかった途端、カードを使う気だ!!」
「な、何!?」
「恐らく、そのカードは破かれたらおしまいになる」
「・・ッ!!」
ジンは、慌てて下がる
もう少しであのカードを男と共に斬ってしまいそうだったからだ
悔しそうなジンと対照的にラミアは、ユラリと起き上がる
「命そのものって奴やな」
ラミアの顔はすでに絶望という顔をしている
もう成す術がないという絶望
そして、どうしようもないことにもう・・。
「ラミア・・。」
フルフルと震えているラミアはうつむいて
「もう、お前は人ではない。悪魔や」
その言葉にクレーエは痛くもかゆくもないという顔をして
「フフッ。いい、褒め言葉だねぇ。悪魔だから何?
何かができるとでも言うのかい?」
「くっ・・」
顔をあげる男をにらみつける
それでも男は動じることもなくむしろ平然としている
その姿にラミアのサバイバルナイフを持っているのに動かない
いや、動けなかった
男はそれが好機だと思ったのか
「ふっ、君たちもカードにしてあげるよ。永久に出られない
紙の中にね」
その紙吹雪が出てくる
もうどうすれば・・
俺、今度こそピンチ
一生、あのカードの中に閉じ込められて終わるだろうか
それは嫌だ・・嫌だけど
人質が取られている今、何もできない
それが一番、悔しい
俺は、ギュっと血が出る程、拳を握りしめる
「・・これで終わりだよ」
その途端、紙に包まれる
俺もジンも
もう、これまでか・・?
目をつぶると同時に本を強く握り締めた
俺・・ここで終わりたくない!!
その思いが届いたのか
ダイジョウブダヨ
「え・・。」
オテツダイシテアゲル
どこからか声がした
ピカァァァァっと輝きだす俺の手持ちに持っていた本
その本は共鳴を続ける
「な・・なんだ!!」
その本は、俺に共鳴を続けて本がパラパラと光だす
この本は、開かない本
それに、鍵が必要なのに
なぜ、いきなり・・?
俺、何かをしたのか
もしかしたら俺は・・。
その鍵に必要な何かをしたのか。
俺が考えているよそにその本から声がする
サァ、ヨンデ
イマイチド・・キミノチカラニナルカラ
ヨンデ
ナヲヨエバ、チカラニナルヨ
パラパラと勝手にその本はめくられる
それは、共鳴と共に
始まるのだ・・反撃への力に。
サァ・・ヨンデ・・ゴシュジンサマ
そのモノは本の中で笑っていたのだった・・。
旬がよんだ声とはなんでしょうか
それは、次回分かることです。
今日は2話更新予定なので
もう一話は昼頃に更新します。
お見逃しなく




