表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第9章 未来のために   ~過去と現在を結ぶ・・最後の糸~
196/485

少年、戦う道標

この話は、千里の話を中心にしました

では、どうぞ

僕にとっては、これほどよくわからない世界が嫌いではなかった


落とされたことは最初は恐ろしかった


でも、それはそれでいい経験だと思っている


確かに、友である旬にも迷惑をかけた

そして、旬は大きな傷を持たせてしまったことに対する

後悔だってある。


でも、それ以上に、僕はこの世界に対して感謝もしている。


だって、僕にとって、この世界は故郷であり


そして、色んなことを学ぶ機会をくれた


特別な世界でもあるんだから・・。


                   ****



僕は、まず相手を見極めることにした

もちろん、皇帝もだが・・一番気になる重要な人物


そして、後ろに控えている少女のことだ。

明らかに戦闘員ではないのになぜか嫌な予感がするのだ


とにかく、イレーヌさんに聞いてみることにした


「皇帝の後ろに控えている人物は?」


千里は見覚えがないのか、イレーヌに聞くと


「彼女はルインです。踊り子ですね」


「踊り子って職業だったっけ、あまり見たことがなかったから」


「当然ですね・・でも、踊り子も馬鹿にしてはいけませんよ

 あれは、間違いなく・・援護型ですので」


「・・・援護型?」


「援護は、様々な補助をしてくれます。皇帝は攻撃型なので

 とにかく、千里さん、ワタシもあなたの援護に入ります」


「・・・あなたも援護型?」


「ワタシは、ドチラもできます。ただ、そこまで強くはないのですが

 あなたの力になります」


「・・・。」


「~♪」


歌い始めたイレーヌ


そして、精霊がイレーヌの傍でしたがってきたのだ


そして、イレーヌは笑う・・もちろん、その笑みを向けたのは

同僚であるルインに対してだ。


「ルイン、あなたとワタシが戦うとは思いませんでした

 でも・・あなたの悲しみも辛さも分かります」


ワタシは知らなかったことがたくさんある

お姉さんのことも


お姉さんを尊敬していた人のことも。


もちろん、ルインはワタシたちの方をみても

何も思っていない


「本当、僕のようだ・・。」


ポッリっと千里は言うのだ。


「えっ・・?」


何もしゃべりはしない

感情もない


「絶望というキーワードだよ。この二人にあるのは」


「千里・・さん?」


イレーヌは目をぱちぱちとしている。


「・・さて、先方はどうでるだが」


すると、今まで黙っていたルインが突然踊り出す


「えっ・・・!?」


そのとたん、世界がどんどん暗くなる


一体・・何をしたんだ?


すると・・・ザァァァっと雨が降り出した。


「雨!?」


なんと、奇抜なことにルインはまだ踊っている


「濡れるの・・嫌いなんだけど」


タンっと杖を自分とイレーヌに向けると

淡い光に包まれる


千里とイレーヌはこれで雨にぬれることはない


「これは?」


イレーヌは千里の魔法に興味津々だ。


千里は、にこやかに笑って


「濡れないためだよ・・・あの踊り子油断できない。

 雨によってさえぎられたら・・力が思うように使えなくなる

 視界は、最悪だな。」


ルインという少女は、少しどころか・・かなり怖い。

これほどの力を隠していたのか・・。


「ええ。油断・・できませんね」


とにかく、雨の中どう戦っていこうか


杖をトーンっと叩きながら考える

もちろん、考えが必要のため


時間を少し送らせている。


その時、イレーヌがあらっとみて


「この装飾すごいですね。旬の杖より明らかに豪華ですね。」


イレーヌの指摘に、ああっと自分の装飾を眺める


「ああ、すごいかもしれないけど・・この装飾はね

 召喚獣用なんだよ」


「召喚獣用?」


そう、僕の杖は・・確かに装飾はすごいかもしれない

でも、これには様々な用途がある。


「・・・召喚獣の中には、石によって呼び出される獣もいる。

 中には、僕の言うことを聞かずに勝手に行動する獣だっているからね

 抑制のためや、主の僕に怪我を負わせないためだよ・・一度

 失敗して・・ほら」


千里は、自分の肩を見せる

目立つ傷が見える、もちろん、イレーヌは驚愕だった


「な・・なんです!?この傷。あきらかに獣によって

 傷を負った・・跡じゃないですか!?」


旬は知らないかもしれないけど

肩にかけての傷があるこれは、召喚獣と戦った証でもある。


「まぁね、召喚士というのは高位の獣ほど・・いうこともきかないし

 そして、知恵があるから主を怪我をさせる獣だってある。

 だから、召喚士というのは・・高位召喚するに苦労をするんだよ」


僕は、初めて召喚に成功させた時

まぁ・・思い知った


ゲームで見る召喚士は、すごいな・・と。

従わせることができるのは驚くものだ。


仕方なかったかもしれない

僕はこの世界のモノでもなかった


「決めた。」


「えっ?」


千里は何をするのか・・どうやら決めたのだ。


「これから召喚するモノは・・僕に傷を負わせた獣さ」


千里は杖を振る


面白くなりそうだ。

そう・・思ったのだ。


「貴方に・・!?そんな危険なモノを召喚するなんて」


人間だれしも恐ろしいことには口にだしたくないし

恐ろしいことには手をだしたくない


当たり前か・・。


「大丈夫さ・・僕は、僕自身に言い聞かせることができる”認められた”

 それならば何を恐怖する必要があるのか?」


そう、恐怖なんて必要ない。


「・・・あなたは、そこまで覚悟をしているのですか?」


イレーヌにそう聞かれると、千里は少し笑みを浮かべる


「・・・そこまで面白いものではないさ。異世界者が召喚士になるなんて

 普通はありえない。でも、認められたから慣れた。」


千里は、あの日を思い浮かべる

初めて召喚士として認められた日を


(千里、我ら召喚士は、かっては閉じられた一族であり

 そして、異世界者が召喚士になることは普通はない。)


(でも、僕はなってしまいましたけど?)


(ははっ。君は、召喚士の素質があった。そして、もう

 あたくしが教えることはない。)


(師匠。)


(大丈夫さ、召喚士村の連中は秘術を守ろうとするが

 あたくしは違う。秘術は、いずれは誰かに

 伝えていかないと途絶えていくことを知っているからだ

 だから、召喚士としてもっと強くあれ。)


僕の師であり恩人だった

でも、あんな早く亡くなったのだ。


優しい・・優しい僕の師


「あながち、旬のこと馬鹿にできないだよな・・これが」


あの時は僕は、旬が魔法使いを選ぶことに不満ばかりだっだが

意外と自分も旬ことを馬鹿にできないかもしれない。


「さてと、いくかな」


相手は一国の主であり・・そして皇帝

本来なら、怪我とか負わせたりすれば死刑・・かな?


でも、まぁ・・こんなに面白いことはない。


死刑になる気はないが、皇帝の腕は見てみたい


これこそ、好奇心ってやつじゃないか?


「汝は千里・・この契約により・・召喚を命じる。」


すると、大きな陣が浮かび上がる


「月の力を持つ獣よ、我の声に従いその姿を現し

 我の力となれ!!」


「”フェンリル”」


すると、大きな光に包まれ


獣が、姿を現した


「グォォォォォォ」


その鳴き声とともに


姿を現したのは・・。


とてつもない力を秘めた獣

かって、僕を怪我を負わせる


獣・・。


フェンリルが、僕の声とともに


姿を現したのだった・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ