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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第9章 未来のために   ~過去と現在を結ぶ・・最後の糸~
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少年、封印されたシステム

ついに・・・謎が明かされていくときがきます。

では、どうぞ。

千里によって案内された先は・・・

不思議な世界だった。


果てしない世界だった


「奥が見えないわね・・。」


ミリカは、その世界の向こうを眺めていても

果てしないので遠くのものは見えないのだ


「・・・ここは?」


「命の通りライフストリートだよ。」


「命の通りライフストリート・・・・。」


ライフストリート・・命の通り道か・・。


確かに、雰囲気が他の世界とは違っている。


果てしない世界やら見てきたが


この世界は・・何かが違っていた。


「・・・他の世界とはまた違うな。」


思わず旬は口にだしていた


なんかこう・・・人の世界ではないような気がした。


これは・・・一体なんなのか・・?


それだけが理解不可能な所だった。


そう、同時に恐ろしい気分になったのも・・気のせいではなかったのだ


その奥にいるニルを思うとますます・・・だ。


「旬も感じているんだな」


「えっ・・・?」


千里は真っすぐにその向こうを眺めながら


「・・・この世界は、他の世界とは違う・・そう思っているだろ?」


「・・・うん。」


こくりっと頷く旬。

すると、千里は目を細めて


「・・・旬は、生きること死ぬことを考えたことぐらいあるだろう?」


突然、何を言っているだろうか?

他の世界のことを話していたのに急に・・?


でも・・俺も考えたことはあった。


この世界にきて・・何度も考えていたことだ。


「・・まぁね、事実この世界にきてからものすごく考えたよ。

 結果、今でも分からないことばかりだけど」


そう、生きること死ぬこと


なんだか、分からないのだ。


正義も悪も・・それと同じようなものだ。


「それでいいと思う。僕もその考えだけはあまり分かりたくない。

 生は身近にあり今も継続するものだけど・・死は、身近にあってほしくない

 むしろ、死は・・別れを意味をする悲しいことなんだ。」


「・・・。」


「別れという概念には・・僕にもこの世界に違和感を抱いたよ。

 でも、僕にはその概念を打ち下させる程の力はないと分かった。」


千里はぎゅっと拳を握りしめた

どうにもできない経験をしているからこそ


千里の中のわだまりは・・・消えないだろうと思う。


「俺も同じだよ。一度、そういうことができても多分ニ度はできないかもしれない

 でも、この世界は・・・なんで造られたのか俺には理解できそもないね」


「・・・そうなのか?俺っちにしたら驚くことはないと思うけどな」


「ヤドリは、分かるの?」


「・・ここは、精神世界に似ているじゃないのか?」


「精神世界・・確かに、現実感がないのが似ているかもしれないね」


現実感か・・この世界もまた精神世界と似た


空想の世界かもしれない・・・。


そういえば・・・アニマは言っていたよね・・?


(ニルハコノセカイヲステタンダ・・。)


このセリフが今・・頭の中に駆け巡る


ん?


だとすれば変じゃないのか?


「どうした旬?」


ヤドリが考えこんでいる旬に話かけると

すると・・旬は、アニマに向き合って


「確か、アニマは言っていたよね・・ニルは一度この世界を

 捨てたことを」


(・・・アア。)


アニマは肯定する・・俺は続きを話をした


「何でまたこの世界に戻ってきたんだろう?

 自分の捨てた世界に・・」


(ソレハ、キット・・・コノセカイニハ・・ニルニトッテ

 ツゴウノヨイモノガアルカラサ)


「都合のよいもの?」


「なんなのそれ?」


(システム・・。)


「えっ・・?」


今、ボソリっとアニマは呟いた


「システム・・?どういうこと?」


(・・・コノセカイニハ・・オオキナシステムガアルンダ。

 ソノシステムをハツドウサセルキナノカモシレナイ)


「だから、なんの・・」「破壊システムさ」


千里は、そう言ったのだ



「セ・・千里?」


「・・・破壊システムとは、どういったものなんですか?

 ワタシ、きいたことがありませんよ」


「・・・文字通り、この世界を破壊するシステムさ。

 ニルはこの破壊システムは・・色んなプログラムがある。

 かなり、危険なシステムだよ。」


「そんなシステムがあったなんて・・!!」


ミリカは驚いているようだ


(シカタナイコトサ。ソノシステムハアマリシラレテイナイ

 インペイサレタジジツダカラダ。)


「隠ぺい・・。」


驚きを隠せなかった。

そんなシステムの存在されていたこと

そして・・それを口にした千里や・・アニマのことを。


でも、アニマはそのまま・・遠い世界を眺めるように

俺達をみて・・あまり、良い顔をしていなかった。


(アンシンシロ。ソノシステムハミカンセイダカラ。)


みかん・・・せい?


「・・・?」


アニマはその時のことを思い出した。


遠い過去のことだけども・・確かにそれは


苦い記憶でもあったのだ。


(ニルガコノセカイヲステルマエニ、コノシステムヲカイハツシテイタンダ

 ニンゲンガハムカッテキタバアイノ・・オウキュウトシテ。)


そこまで・・していたの?


歴史の中に存在するニルは・・だんだん・・黒く沈んでいくような

気がした。


とても、薄暗い闇へと堕ちていくような・・。


俺は、震えた。


「・・・そんな・・人間をそこまで怨んでいたの?」


アニマはたそがれるように・・。


(・・・イロイロアッタンダヨ。ニルニモ。ダケド、システムハ 

 ミカンセイナノハ、キョウセイテキニフウインサレタカラダ。)


「封印・・・!?」


(ソレハ・・。)


アニマは・・思い出したくなかった。


その風景を・・。


ある神と神々が・・争っていた恐ろしい光景を


千里は、そんなアニマの様子をみて代弁をしたのだ。


「危険なシステムとして認識されていた・・それだけ

 ニルの造ったシステムの完成度はとんでもなかったということ

 危険視するのは、当り前だろ?」


千里の言葉に何も言えなくなる旬たち・・。


それでも、旬は口に出す。


「・・・それなら・・そのシステムは永久につかえないでしょ・・?」


旬が言うと・・千里とアニマは・・。


「・・・。」


(・・・。)


同時に黙りこんだのだ。

あまり、話したくもないらしい。


そうなると・・一つの事実が浮かびあがった

とんでもない事実が・・。


「嫌な予感がするわ。」


その黙りこんだ二人を見てミリカは冷や汗を出す


そう・・俺も同じ嫌な予感をだいていた。



やはり、ここは、俺が口にだすしかなかったのだ。


「もしかしてこの危険なシステムは・・封印が解かれて・・いるとか?」


すると・・全員が、冷や汗を垂らす


なんだか、とんでもない状況へときたような気がした。

ミリカは青白くなっていた。


「ま・・まさか、そんな訳ないわよねぇ?」

「そうだな、お、俺っちも、そう思う・・いや、思いたい」


「そ・・そうですね。ワタシも同じ気持ちです」


上からミリカ、ヤドリ、イレーヌの順で、この考えが

誤りであればいいと思っているようだ。


でも、時は残酷に・・その言葉が事実となるのだ。


今まで黙っていたアニマが・・


(ソノトオリダ・・・スデニ、フウインハトケテイル。)


そのまま、旬の言葉が的中したのだ。


もちろん、その言葉に全員が絶句する。


千里を除いて・・。


「「「「「・・・!!?」」」」


「・・・嘘・・だろ?」


ヤドリはもう冷や汗タラタラだ。


他のものは、困惑顔になっている。


その中でも冷静な千里はこの状況の中なのに


ふぅ~っとため息を吐く


「あの・・千里?」


いまいち、千里の様子が気になったのを旬が

おそるおそる聞くと・・。



「・・・封印というのはいつか解かれるもの

 僕は、その言葉に納得はするよ。それが

 その時であった・・というわけだよ

 でも、今でもそれは未完成にしか過ぎない

 ただの・・システムなんだよ。」


ニコっと千里が笑ったのだ。

そのとたん・・旬はその笑みを知っているのか


「・・・。」


旬は思わず帰りたくなったのだ。


大体、昔から知っている千里の笑顔はどこかうさんくさい時がある。


でも、たいていこの笑みの時は・・ああ、俺も巻き込まれるだなって

予感はしている・・いや、していた。


「お前のその笑みは怖いな。」


「ははっ。分かる?」


「・・・ああ。お前がこの笑みをした時は・・何か確信があるから

 でしょ?」


旬のその一言に、ますます千里の笑みが深まっていった。


大体、千里がこの笑顔の場合は何らかの意図と確信という

のが決まっているのだ。


大体・・コイツの考えていることは親友だから分かる。


「どういうことだよ?俺っちにも説明してくれよ。」


ヤドリはあいからずちんぷんかんぷんだ


千里は、こほんっと咳をして。

ヤドリに分かりやすく説明する。



「つまり、封印が解かれたからとはいえ、すぐには発動

 しないということさ・・ある条件がそろわなければ・・ね。」


「ある条件・・?」


なんだ・・その条件とは?


「そのある条件がそろえば・・この世界も僕たちも

 危ない・・そのくらい、必要な条件なのさ」


「だから、その条件っていうのは何よ?」


ミリカがうんざりして聞くが・・その時みた

千里の瞳が・・とても真っすぐな瞳をしていたのを見ていたのだ


「・・・君たちだよ。その条件は・・・正確にはだった・・かな?」


過去形だ・・だった?


どういうことなんだ?


ヤドリ達が・・その条件にあてはまっているというのか・・?


「えっ・・?」


ミリカは目をパチパチしたのだ。


「まさか・・・俺っちたちが・・・?」


「・・・・。」



千里の笑みがますます深まれていく。

俺は・・なぜか、とても嫌な予感が続いたが

同時に・・・それは、恐怖ではないことに気付いたのだった。


気のせいにしたかった・・いや、しようと思ったが。


やはり、無理だろ・・とその時・・気付いたのだった。


ある条件・・絶望的なのになぜ、千里は笑っていられるのか

それが次回明らかになります。

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