少年、罪の重み
今回は冒涜・・なしで・・では、どうぞ。
「絶望の・・きっかけ?」
すると、千里はうつむいた。
「旬は知っているだろ?召喚士村の実験」
それだけ言えば・・もう、見当はついた。
「・・・ああ。」
知っているも何も
仲間にもいるんだ・・その実験の被害者
ノエルのことを・・。
千里は・・あの日を思うのか・・。
目には・・あいからず業火が見えるのだ・・。
「・・・大戦が終わった直後・・ニル様は、召喚士村へ行った
そこで見たものは・・なんだったと思う?」
そして、千里は・・口をかみしめ
「・・・?」
そして、憎しみの瞳をしたのだ。
もちろん・・その瞳の奥の苦しみだ。
「血の海だったのさ・・目の前に広がるのは・・その惨劇だった。
大戦が終わった後に・・こんな惨状を見るなんて思わなかった
思いたくもなかった・・!!」
その苦しみを吐露する千里に俺達は息をのんだ
いや・・思いもよらない一言だったからだ
「「「「「・・・!!?」」」」
(・・・・。)
「信じられなかったよ。何せ、とんでもない光景をみせられたからさ
・・・・もっとも、驚いたのは・・・あの人が・・・。」
「あの人・・・?」
「・・・これ、話すの忘れていたけど・・・僕たちがお世話になっていた人がいたんだ
・・名はリシャーナ・・・召喚士だった。リーフルの主だったんだ。」
「・・・な・・?」
「リーフルの元の主・・たしか、俺っちが知っているかぎりは
亡くなったって・・。」
ヤドリは・・あの時感じたことは。
とても痛々しいリーフルの姿が見えたのだ。
千里は・・頷いて
「・・・そうさ、実験のせいでね。もう・・次に会った時は
息を絶えて・・酷いありさまだった。リシャーナさんだけじゃない。
たくさんの召喚士が・・死んだんだよ。あの実験で。」
その時の光景を思い出すと・・恐ろしい
そして・・悲しいのだ。
だけど、そこで大きな矛盾を感じた。
「・・・でも、事件の首謀者は・・村長だったはずだよ・・?
なんで、そこで千里たちが・・待てよ。」
俺は、頭の中でまとめることにした。
俺達が確か、会った時は、ノエルから聞けば村長が首謀者となっていた。
でも、千里の話だとどうもそれが可笑しい・・。
となると・・。
そもそも、なぜ、ニルが・・召喚士村に訪れたことだ
まるで・・そう、知っていたかのようだ。
あの村の・・惨状を・・!?
「もしかして・・千里!?」
「そう、旬が恐らく考えている通りだよ。」
「・・・本当なのか!?」
その二人の会話についていけないのか
「どういうことなのか、説明しなさいよ!!
二人だけで解釈しないでちょうだい!!」
「そうですよ、ワタシたちをおいてけぼりしないでください!!」
「俺っちも・・分からないから・・。」
女性二名からの激しい反発と弱気のヤドリ
女性二人に関して旬はビクっとなりながらも、考えを二人に話す
「俺は今まで、村長がすべての首謀者だと思っていた
だけど、今の千里の言葉には・・ニルがなぜ、この召喚士村に
きたことが・・疑問に思ったんだ」
そう、そもそも、なぜ来たのか。
そこで・・疑問が少しずつ解けるのだ。
「・・・!?」
「「「ま・・まさか」」」
すると、やっと分かったのか・・ミリカ、イレーヌ、ヤドリは青ざめる
千里はどこか吹く顔をして・・。
「・・・・あの事件の黒幕を知らなかったら。きっと、誰だって村長が
首謀者だって思うだろ・・だが、実際は、ニル様が・・首謀者だった」
「・・・!?」
「なななな、なんですって」
「嘘だ・・!!」
「・・・・!!」
上から、旬、ミリカ、ヤドリ、イレーヌがそれぞれ困惑の反応を起こした
「・・・僕は、とにかくその疑問を晴らしたくて・・ニル様に
こう言った”なぜ、このようなことをしたのか!?”とね。」
「・・・・それで、なんて言ったんだ。」
「忘れられないよ。僕には・・あの人のあの笑顔に」
「笑・・顔?」
千里は思い出す。
あのうすら寒い・・その笑顔に
(この世の流れを元に戻すために・・・駒が必要。
それには・・必要なのは、人間の感情なのです。)
そして、その時の表情を忘れない
この惨状を・・ニル様は・・笑っていた
喜んでいたのだ・・。
僕は、その時こそ・・本当に恐ろしかった。
「・・・戦慄したよ。あの人には。
でも、逆らえることはなかった・・」
その後ろ姿を見るしかなかった。
ニル様は・・もう誰にも止められない。
そして、千里は・・ただ、その村でできることをしなければ
ならなくなったのだ・・。
もちろん、それは・・。
多くのことでもない
小さなことだった。
「僕にできることは、ただ一つだけ。
懺悔だった。何もできない自分とそして、村の人の無念を
僕が背負う必要があった。」
「千里が・・!?」
「・・・あなたは、関係ないじゃない!?」
すると、千里は勢いよく首を横に振り否定する。
「違う。僕は傍観者だったんだ。この村のことを何も気づいてあげられなかった。
確かに、僕は大戦に巻き込まれた・・でも、それでも・・召喚士村は
・・僕にとって、第2の故郷だったんだ。」
気付けない悔しさ
何もできない苦しさ
千里は・・この村が第2の故郷といった。
それほど・・思いれがある村なんだろう。
そこまで、必死になる千里を・・俺は知らない。
多分、この世界に来て・・千里は俺より多くのことを経験したんだろう。
「それに、ノエルの姿を見たら・・もっと、そう思えてしまったんだ。」
その時・・千里はそう言ったのだ。
「・・ノエルのことも知っているだね?」
コクリっと頷いた
ノエルのことも知っていたようだ・・。
「・・・あの子も、実験の被害者なんだ。僕は・・何も知らずに
ニル様についたことが恐ろしかった。でも、罪を背負うには
それ以上のことをしないといけなくなった・・僕としては
せめての罪滅ぼしのために・・リーフルを連れていったんだ」
「・・・リーフルを?」
「・・・そうだよ。その時は・・僕はもう・・絶望と苦痛で
声はでなくなっていた。でも、それでも・・・
罪は・・償いたかった」
「・・・千里・・・。」
それは・・・罪となり
千里の心の傷にもなったのだろう。
どれほど・・俺よりか多くのことに傷ついていったのだろう・・?
「・・・それから、僕は何もできないまま・・村を去り
ニル様についていった・・・でも、そこで見たものは
ニル様によって狂ったもの・・狂わされたもの
様々な要因によって多くの闇を背負う場面を僕は見ていった
気付けば・・僕は・・止めようと思うようになった
それが無謀であっても・・。」
命をかけて止めたかった
なぜなら、救われただけじゃない
きっと、千里自身の想いもあるんだ・・。
「・・・・。」
「でも、止められる前に僕は・・どんどん、知らずうちにニル様によって
・・おかしくなったんだ。」
千里は自分の顔を覆う。
とても、恐れるように旬を見る
「・・・おかしくなっていく感覚は・・自分でも判断はできなくなった
やがて・・旬、君に会った後から・・記憶がないんだ」
「・・・そう・・なんだ。」
「うれしかったと同時に・・感情が抜けるような・・そんな
恐ろしい気分になったんだ」
千里は・・恐らく、俺が会う前までは・・記憶はあっただろう。
でも・・それからは・・ヤドリの命を狙ったり奪ったりで
あんまり言いたくない気がする
それにヤドリも・・。
「・・俺っち、お前を尊敬するよ」
「えっ・・。」
「・・・俺っちは、きっと何もできないのに・・罪なんてきっと
逃げ出すはずなのに・・。逃げなかった・・それだけでもすごい。」
すると、千里は自虐的に笑い
「・・・君は、僕がしたことを許さないはずだろう?
この様子だと僕は暴走して・・君を傷つけた・・。
気付かないと思うのかい?」
「千里・・!?」
すると・・ヤドリは・・顔をうつむかせ
「・・・俺っちは、許す・許さないは・・ないと思う。
多分、君の気持ちを知ったから。大きな罪を背負う千里
を見て・・俺っちは、そう思う。」
「・・・ははっ。おかしな人だ。いや、可笑しいからこそ
旬の仲間なんだろうな」
「どういう意味だよ、千里」
あはははっと笑いながら千里は、俺を見て・・そして、寂しそうに笑い
「・・・僕は、多分・・これからもこの罪を背負うだろう。
でも・・なんとしてもニル様だけは止めないといけない。」
これからも・・か。
そして、千里はある場所に立ち止った。
「さぁ、どうやら見えたね・・あれが次のワープだ」
「あれが・・か。」
「・・・あれを通れば、恐らくニル様のいる場所に着くはずだ
さぁ・・・行こう。」
罪を背負うために生きる千里は・・俺には・・とても悲しくなった。
これが、世界なのか・・。
本当に・・絶望というのは・・こういう取り返しつかないことなのかもしれない
と・・・思ったのだった。
補足として千里は、自分が何もできなったことに苦悩を抱いています。
ですが・・これから、どうなるのか・・まぁ、展開次第ということで。




