少年、変革の眼差し ~中編~
これは中編になる物語です。
ではどうぞ。
「ふわぁぁぁぁ」
俺は、目を醒ました
「ん?」
思わず時計を見て・・
「ぎゃぁぁぁぁぁ、もう10時だぁぁぁぁ」
と騒ぐ俺
「旬~、何騒いでいるの!?」
「母さん、ごめん、俺、俺、千里との約束時間にまにあわなぁぁぁい」
「あらあら、困った子ねぇ」
困った子といわれると、俺は思わずツツコミをする
「困った子じゃないよ!!早くしないと」
反論しながら急いで服を着替える
もちろん、お金を貯金箱ごと持つていく始末だ
「朝ごはんはどうするの?」
母親の声がするが、それよりも急がないといけない!!
「いいよ!!それより、早くいかないと」
髪と服をぐしゃぐしゃにしながら
俺は、急いで外にでる
「いってきます」
「いってらっしゃい」
母親の声を聞きながらも俺は走る
走る
走る・・・!!
急げ
急げ
急げぇぇッぇぇぇ
ものすごいスピードを出しながら
俺は走った
それはもう、千里は時間に厳しいのだ
まぁ、それでも笑って許してくれるけど・・
でも、急がないと・・・後が怖い・・!!
俺はますます、スピードをあげながら走る
走り続けてどれくらいたっただろうか
デパート前が見えてきた
デパートには必ず千里が待ってくれているはずなんだけど・・。
「あれ?千里・・?」
デパート前にいるはずの千里の姿がなかった
「おかしいなぁ~千里のやつここだっていっただけど・・
うん、携帯電話をかけるか」
そういって、携帯電話を出して
電話帳から千里の名前を出し
電話をかけた
「プルルルルル」
「プルルル」
「プルルル」
「変だな?千里のやつがワンコールでもでないなんて」
その時
「ガチャ」っと音がした
「あ、千里か?」
「おかけになった電話は現在電波の遠いところにあるか
電源が入っていません」
その言葉に・・
「??」
俺は、不思議なったのだ
「変だな?」
あの遅刻も許さないし時間にルーズな千里が電話にもでない
ここにもこない。
おかしいことばかりだ
あの千里が電波の届かないところにいるなんて・・?
「千里のやつどうしたんだろう・・?まぁ、いっか
とにかく、ここで待つていよう・・。」
そして、俺はずっと、待つことになった
でも、おかしなことに・・
全然、来なかった
ずっと・・ずっと、待っていたが
千里は・・・来なかったのだ。
ずっと、待っていたから・・外はすでに夕暮れだった
「ヘッション」
ズズっと鼻水が出た
「・・・帰ろう。」
俺は、トボトボ帰ることになった。
いくら、待っていても千里は来ない
俺は、仕方なしに・・家へとトボトボトと歩きながら
いろいろ考えた
「千里の奴・・俺の成績で怒っているのかな?
それとも、また何か・・いや、昨日はあんなに
笑っていたから・・それはないよな」
トボトボっと歩く距離は・・どこまでも一人だ
俺は自分の家に帰ると、そこには母親が晩御飯の支度をしていた
「お帰り、旬、早かったね。」
「・・・うん。」
俺はうつむいたままだ。
母親は心配そうに旬に顔を見せる
「どうしたの?旬」
「・・千里が、待ち合わせ場所にこなかったんだ。」
「千里君が?変ねぇ?あの子はいつも、時間にルーズなのに」
「・・そうなんだ。だから、ちょっと・・。」
「とにかく、晩御飯があと少しでできるから、もう一度
千里君に電話をかけなさい」
「・・・うん。」
トボトボと途方にくれながら
俺は、自宅の電話で千里のウチに電話した
「はい、九条です。」
柔らかい女の人の声がした。
俺はもちろん、その人の声を知っている・・。
「あ、俺、日生旬です。こんにちは」
「はい、こんにちは、この声は、旬君ね。いつも、千里がお世話になっています。」
そう、相手は千里の母親の千草さんだ。
おしとやかな人である・・母親の友人でもあるだけど
「俺のほうこそ・・それより、千里は帰っていますか?」
本題にきりかえると、千草は、あらっと声をだし
「千里・・?いいえ、帰っていないわよ。」
その言葉を聞いた途端
「ええっ・・千里が・・帰っていない・・?」
「そうなの。旬君は何か知っているかしら」
すると、俺は・・・
「俺、今日・・千里と買い物の約束していたんです・・
でも、千里のやつ・・来なかったです」
「そう。千里が・・?今日は、旬君とのお買いものに
とても、楽しそうにしていたのに」
「・・・。」
「大丈夫よ。千里のことだから、貴方が心配することはないわよ
じゃぁ、帰ってきたら折り返し電話をかけるからね」
「・・・はい。」
ツー、ツー、っと音を立て
電話が切れた
台所から母親が出てきた
「どうだった?」
俺は首を横に振る
「・・・千里のやつまだ帰っていないって」
「そう、ほら・・元気だしなさい」
「・・・うん。」
その日は、何度か・・千里の携帯に電話をかけたけど
繋がることはなかった
そして、何度もかけることで
俺は不安を軽減したかったのだ。
次の日の早朝・・。
「旬!!起きなさい」
「母さん・・・・?」
「千里君のご両親が・・。」
俺はバタバタっと走って玄関の前にきた
「おはよう。旬くん」
「おじさん・・おばさん・・。」
そこには悲痛な顔をした二人の姿を見たのだ
俺は嫌な予感がして・・。
「まさか・・千里のやつ・・まだ帰っていないですか!!」
「ええ。千里・・・あれから電話をしても繋がらなくて
帰ってこなくなってしまって・・。」
その時・・・・俺は脱力したのだ
「旬君・・しっかり・・!!」
「・・・おばさん・・ごめんなさい!!俺の・・俺のせいで
俺が遅刻なんかしなければ・・ごめんなさい・・・
ごめんなさい・・。」
俺は土手座をする勢いで必死に、千里の両親に謝る
「違うわ。旬君・・あなたのせいじゃない。あなたは優しいから
そんなに落ち込まないで・・。」
「そうだよ、旬君」
おじさんとおばさんの優しい声で俺を慰めてくれる
でも・・でも・・。
「でも・・でも・・俺が・・もう少し早く行っていれば・・
警察は・・警察はなんて?」
「事件にまきこまれた可能性があると認識しているみたい・・ヴっ・・」
千里の母親の涙に俺は・・どうすればいいのか分からなくなった
俺の頭には・・絶望のフレーズが残ったのだ
音をたてながら・・俺の中に何かが崩れた
「だけど、旬君のせいじゃないわ。千里、だって旬君のお話をするとき
とても・・本当に楽しそうにしていたのよ・・
だから・・だから」
「ヴァァァァァァッァ」
俺は・・涙でボロボロになった。
「旬君・・謝らないで・・あなたのせいじゃないのよ・・
だから・・お願い、千里のために・・泣かないでほしいわ」
「おばさん・・。」
俺は・・どうにもできない気持ちがでてきた
どうすればいいのか
どうしたらいいのか
分からなかった
分かりたくなかった
それから、事件発生から一週間たっても
千里の行方は依然・・不明だった。
俺は・・もう、何もする気はなかった。
何もする気はおきなかった
俺があの時・・もう少し早く行っていれば・・。
後悔は押し寄せてくるばかりだ・・。
「・・・・。」
そして・・・。
その時間だけがとても重い
重くて痛くて
そして
そして
俺は、一つの出会いをしたのだ。
「・・・忘れなさい。」
突如の出会い
変革への導き
その言葉を戒めつけるように・・女の人との出会い
それは、一つの必然の出会いによってすべてが・・・始まった
そして
「アハハハハ」
と笑う
愚者の声も聞こえたのだ
これからどうなるのか・・・出会いはすべてをもたらします。
悲しみも憎しみも・・すべて
さぁ・・・またどうぞ。




