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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
8章 グランドクロス ~踊り子たちの乱舞~
177/485

少年、記憶の混濁

これから、始まる物語

さぁ、どうなるのか必見です。

その前に・・冒涜は・・?

自分がなんで生まれたのか分からない


それは、決定事項かもしれない。


生み出された恐怖は今も消えない


あの嘆き


苦しみ


幸せのために生まれたわけでもなく


祝福されたわけでもない


あの地獄の瞬間は今でもわしは忘れない


身体がなく


そして、自由がない


この苦しみ


悲しみ


怒り


それぞれの感情が邪魔をした


色んな感情がいまのわしを邪魔にする


「・・・。」


いずれにせよ・・わしには目的がある。


進む道は一つ・・。


いずれ、あの娘も追いかけてくるだろう


だが・・・この最期の時が・・絶望ではないことを


祈るしかない


この強烈な嫌な感じが続く


今、この時


この身体から出る前にやらなければならないこと


果たさなければならないこと


それはわしの義


この身体とも”約束を果たせ”ばならぬ


そうって・・ニーヴェはただ・・ただ・・その


あてもない向こう側を一つ・・歩き続けたのだ



                   ****


赤い光が漏れたことに、旬たちはそれぞれ止まる

それは・・あるべき方向に目を向けていた


「赤い・・光だ」


「嘘・・だろ?」


ヤドリはやはり旬が手にしただけ光る指輪


「どういうことなの・・あたしたちの時は

 この赤い光どころか・・無反応だったのに」


ミリカは考えるように、頭を悩ませる


すると・・ヤドリは・・


「案外、旬には・・それができる力を持っているかもな」


「えっ・・・。」


「装飾品は、真の意味で使いこなされない奴らが多い。

 それに、その指輪が旬を主と認めたということだろ?」


「・・・いうわね。ヤドリ・・・これ、あんたの作品なんでしょ?」


「だから、俺っちでも困惑しているだよ・・。」


そう、製作者本人が使えない

それどころか、旬だけしか

反応しないこの指輪に

頭を悩ませる


「・・・。」


旬はその指輪を眺める


俺しか反応しない指輪

そして、反応だけじゃ言い聞かせられない


この妙な、気持ち


この指輪は先ほどから俺にこう呼びかけてくる


”こっち”


と指輪から声が聞こえ赤い一筋の道が開かれながらも

俺に呼びかける声


もちろん、その声は


ヤドリにも・・ミリカにも聞こえない


俺だけしか聞こえない


「とにかく・・この赤い光の指す所まで

 行こう」


「あ・・旬!!待ちなさいよ」


そうミリカが追いかける中で、ヤドリはボソリっと呟く


自分の手を見つめながら呟く


「俺っちも、自分の手が恐ろしい・・もしかして無意識で

 旬専用の装飾品を造ったのか・・?いや、それはないだけど・・

 はあぁ・・。」


それとも、旬自身何か・・秘密があるのか?


ヤドリは旬の後ろを眺める


ヤドリは、頭をふるふると首を横にふりながら

今の考えを否定をする


「・・・いや、よそう。俺っちはそこまでにして

 自分の意思のはずだと信じよう。」


すべては、ランダムなのか

もしくは・・。


「あんたも急ぎなさい」


「・・・あ、はいはい」


自分の力に畏怖を思いながら

そして、かすかな・・希望を持って

ミリカ達の元へと走って行った


旬は、赤い光が続く

向こう側へと歩く


もちろん、隣には、アニマがいる


(キコエルノカ?ソノコエガ・・。)


「えっ・・・?」


(キコエルノカッテキイイテイルダヨ)


「・・・もちろん。多分・・指輪の声だと思う

 精霊とか宿っているじゃなく・・その声が聞こえる

 だけ・・不思議・・だよね。」


(ソウカ・・・。)


それだけ聞いてアニマは黙る


「アニマ・・?」


アニマは俺の言葉を聞いて黙った


何か隠していることでもあるのだろうか

何か考えている様子だったが

やがて・・


(トニカク、アカイヒカリノムコウガワニハ

 ナニカオマエニヨビカケルノガアルノダロウ)


「・・・・真実の鏡だよね」


そういうと、アニマは頷く


(・・・シンジツハウケイレザレナイトキノタメニ

 ソンザイスル・・ダレモナニモ・・・

 トメラレヤシナイ。)


「・・・・。」


俺は黙る。


受け入れる


受け入れられない


その二つの言葉が・・邪魔をする


アニマはそう赤い光の向こうトコトコと歩く


後ろでは、ミリカがヤドリが着いてきている


鏡は大きく俺を映す

もちろん、今は俺の子供姿を映していく


「ここで、赤い光がとぎれている・・でも

 まだ・・赤い光はその向こうを示しているけど

 行き止まりだ」」


ある場所で、止まる・・・つまり行き止まりなのだ

もちろん、そこにも鏡があるが

どこにもドアがない。


「行き止まりね」


その鏡によってその場所は、これ以上進めないのか

行き止まりになっている


「ここなのか?」


ヤドリは呟く


(ここだよ。)


そう声が聞こえた


「・・・ここみたいだね」


「旬・・?」


ミリカが不思議そうな顔をした


「どうしようかな・・ここを」


ここだと指輪は告げている

でも・・・どうやればいいのか分からない


すると、ミリカが旬の前にきて


「じゃぁ、あたしに任せて」


「えっ・・!?」


俺の制止もなくミリカは呪文を詠唱する


「大地よ、我のつら向く大きな力となれ」


そうすると、


「クラック」


すると大きな地の力が発動し

鏡を次々と割って行った


ミリカは今まで、あまり戦う所は見たところはない

でも、目の前にみるのは・・地の力を発動させる

ミリカの姿だった


「ミリカ・・攻撃魔法を使えたんだ・・。」


すると、ミリカはクスリっと笑い


「当たり前よ・・支援魔法だけあたしの得意分野じゃ

 ないってことよ・・・自分の無能を知っていれば

 強くなろうとするわ」


「・・・。」


ミリカは絶望を知っている

悲しみを知っている

苦しみを分かっている


それ以上に強くなろうとしている


自分自身にも

それ以上に・・!!


「さぁ、行きましょう。そして、真実の鏡を持っていくことで

 終わらせられるのなら」


そういって、ミリカはその向こうを眺めると・・。

鏡が割れた向うには・・道があった


「道だ・・。」


続く道

果てしなく続く道だ・・・。


「ワープかしら・・?」


(イヤ、ワープハモットベツノトコロニアルハズダ)


「別の所・・か・・。」


旬は、考える


じゃ、この場所は、封印された場所か。

俺は気を取り直して


「とにかく行こう」


そういうと、俺達は、その道へと歩く

限りなく遠くに・・。


そして、俺達がその道の途中に


「ミリカは・・やはり、王女だから強いね。

 ルークさんも強かったし。」


すると、ミリカはうつむいて


「・・旬、あたしね。弱いのよ

 かぎりなく」


「・・・弱い?」


ミリカは、隣で俺にそう言ったのだ

自分が・・弱い存在であることを


「・・・あたしも正直いってこの戦いが何を生むのか

 もう分からない。口では、真実の鏡があれば

 なんとかなるかもしれないと思っているし

 言っている・・でも、正直いって・・分からない」


ミリカは自分の不安を吐露している

今までなかったストレスがでているだろう


無意識に・・弱さを俺に見せてくれている


でも・・それは・・。


「・・・・・俺も分からないよ。」


指輪は道の向こう側を示している中で、俺も同じことを

口にする。


「旬も同じなの・・?」


それは、自分のことだ。


誰よりも何よりも


自分のことを思い出すことが恐ろしい


「俺は・・真実の鏡に映る自分が恐ろしい

 そして、たまに問いかける・・・

 この戦いは本当に・・・正義なのか」


そう・・今まで考え続けた言葉だ

これは・・正義なのか


悪なのかそれはもう答えることを続けることが苦痛だ。


たくさんの人の長い時間には正義とか悪とか区別のつかない

状況に流れ着いていることがおおい


俺は今・・その時が・・あるのではないかと思う。


「俺でも分からないことさ・・今でも自分の記憶の混濁には

 悩まされる。自分の今の姿でもし、元の姿に戻る時

 自分は何も知らないことが・・・一番恐ろしい」


すると、ミリカはポッリっと呟く


「・・・虚しいわね。あたしたち。どちらも記憶がない。

 考えてみれば・・なんで、記憶がないのかしら?」


そう、それが第一ポイントだ。


なんで、そもそも俺達には記憶がないのか?


それが、一番の・・・。


「・・・考えられることは・・やはり、封印された。

 もしくは・・・自分の無意識の中に閉じ込めたか

 それか・・消された」


「消された・・・?」


すると、ミリカはフィっと何かを思い出しかけた


幼い自分


そして、自分は魔法陣の中で


母と・・・悪魔デビルを見た


混濁する眠りの中・・・


母の姿が・・・顔を見えないのに・・・。


「ミリカ・・。」


「・・・悪魔デビル・・・。」


ミリカはボソリっと呟いた言葉に俺は目を疑った


「ミリカ・・・・?」


「・・・・。」


黙るミリカ

もちろん、ミリカはそのままうつむいたのだ

何を話すこともなく


「旬、見てみろよ。ほら、光が見えるぞ」


「光?」


当然、赤い光はその向こう側の光の向こうを示している


そして・・俺たちはその足を向う側に触れると


「・・・白い部屋だ」


「何もない・・白い部屋」


そこには、何もない・・白い部屋だった

窓もない

草花も

本当になにもない


無の空間だった


「ここが・・・鏡がある場所?」


(ソウミタイダナ・・・ン?)


キラリっと何かが光ったのをアニマはそれに興味がわいたのか

近づく


(シュン、アッタゾ・・。)


フンフンっとにおいをかいで

鏡をみることもなくその場所に俺達を呼ぶ


「・・・手鏡だ。」


俺はその鏡に触れる


そのとたん・・・。


「あっ・・・赤い光が消えたわ」


「目的が終わったからか・・?」


その鏡を見たとき皆が顔を見合わせる


俺は・・その鏡に手に取る


「旬・・?」


俺は・・その鏡を手にして

自分の顔を見てみると


子供の顔をした俺がいた・・・


そして・・・まもなくすると・・・。


「・・・!!」


そこには・・・


そこには・・・


16歳の俺が・・・泣いていた。


ただ・・・


ただ・・


とても虚しく


泣いている姿が・・・その鏡に映しだされたのだった。

この物語は、記憶がポイントです。

それは、ミリカの中に眠る記憶

旬の中に眠る記憶

アニマの中に・・とそれぞれの記憶がすべての物語の終着点です。

では、この記憶を思い出すとどうなるのか・・?

旬の場合は・・?

というわけなので、旬自身次回は少し思い出させてもらいます。

これは・・回想という話になりますね~

でも・・・真実が難しく遠きです。

とにかく、また次話でどうぞ~



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