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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
8章 グランドクロス ~踊り子たちの乱舞~
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少年、天秤にかけられるもの

これは、アニマの過去からまた現在へ

さぁ、始まりますよ・・ついに、旬とあの人の邂逅です

どちらの命しかかけられないとしたら・・


あなたはどちらを助ける?


両方なんてダメ。


そんなの欲張りすぎるわ


本当に、片方だけしか助けられないとしたら


あなたはどちらにつくの?


命の天秤


かけられるのは・・・一つだけ・・。


             *****



「で、結局どうする?」


ミリカが門を見上げて聞くとアニマは門を見上げて

いたが、やがてニヒルに笑い


(アケルホウホウハアル。)


「あるの?」


俺は、アニマに聞くと・・アニマは・・ジッとヤドリを見つめた

ヤドリは思わず。

自分を指で指した


「俺っち?」


すると、アニマはコクンっと頷く


(オマエノチカラハ・・コノモンヲアケルノニヒツヨウダ。

 ダガ・・ヒトツダケ)


「何?」


(ゴメンナ。アニマノセイデ・・オマエマデコンナコトニナッタ。)


「違うね。そんなの。」


(・・・?)


アニマはヤドリを見上げた

そこには、決意の瞳をした・・・強い意志を持った

ヤドリがいたのだ


「俺っちは、もう自分から逃げないよ。」


それに何かを悟ったのか

アニマは・・昔を思う・・。


(・・・トキイチゾクハ・・アイツイライダナ。

 コンナカンガエヲモッテイルノハ・・・

 ジダイハ・・アタラシイノダナ。)


それは・・ずいぶんと昔の話

思い出すのは・・・空のような・・人物のこと


そのアニマの様子をみたヤドリは・・。


「・・・いずれ、教えてくれるか?時一族のこと」


すると、アニマはコクリっと頷いて


(タタカイガオワレバ・・イズレハッキリスルノハタシカダ)


その言葉にヤドリはうれしそうに笑い


「ありがとな」


わしわしっと、アニマを撫でたのだ。

俺達はその様子を眺めていた


「ヤドリの時一族か・・。」


ミリカは考えているようだ


「何か聞き覚えがあるの?」


俺が聞くとミリカは俺に視線をよこして


「ええ・・ちょっと、思い出そうとしているのよね・・

 確か、昔・・う~ん、だめね。やはり・・記憶に

 蓋をされているのかはっきりしないわ」


やはり、仕方ないか・・・。

俺もミリカもアニマも


それぞれが・・”記憶”に関してあいまいが多い


これは・・どういう意味なんだろうか?


頭で考えてもラチが明かない


それより、ヤドリだ。


ヤドリの方は、門を叩きながら


「門の傍にきたけど?俺っちどうしたらいいの?」「


(ソウダナ。エット・・。)


アニマが何かしようとすると

その時・・・


「うわっ!!」


何かの呪文が・・ヤドリを襲うのだ

拘束されているのか・・身動きができていない!?


「ヤドリ!!皆、何かしたの!?」


当然、俺やミリカも首をふるふると横に振る


「イレーヌさん!?」


「いいえ、違います・・一体・・?」


イレーヌでもない、そうとなれば


「アニマ・・君か?」


(イヤ、アニマハマダ・・イッタイダレガ・・!!)


「それはオイラ達の仕業にゃ」


その場にいたのは・・・。


俺達の後ろにいたのだ・・。


いつの間に!!


全然・・気配がなかった!!


「お前は・・」


クスリっと笑った猫がいる

当然見覚えがない。

そして、その傍にいる人物・・いや集団の中で

分かるのだ・・・俺の直感では。


「千・・・里・・・?」


俺は・・声を出した。


「・・・・。」


フードをかぶっているけど・・間違いない

千里だ!!


でも・・なぜ、喋らない?


「・・・。」


千里の手がヤドリを襲う

そのとたん・・陣がヤドリを取り囲む


「な・・・なに」


俺は・・一瞬、見たのだ。

千里が・・・虚しい顔をしていたのを・・。


なんで・・そんな顔をしているの?


「グァァァァ、イタイ・・痛い]


ヤドリは全身に紋章が浮かびあがり

痛みにもだえる


「ヤドリ・・千里!!君は・・一体何を・・!!」


「・・・。」


やはり、無言だ。


「キョーホホホホ。」


集団の一人が笑う・その様子を見て

ミリカは怒りを向ける


「何がおかしいのよ!!あんたたち!!」


フードの集団たちは黙っている


喋っているのは・・あの女だけ


女の高笑いは終わらない・・。


まさに、気味の悪い声だ。


「千里・・どうして・・。」


「・・・。」


千里はもちろん答えない。

傍にいる、猫も黙るばかりだ


あの猫は・・・以前、ジンたちが話していた猫だ


確か・・名前は・・?


いや、今そんなことよりか・・ヤドリだ!!


ヤドリは痛みに悶えながらも・・。


「手が・・・」


ヤドリは手から紋章が・・・


紋章が門に反応した・・


そして、合図するように・・紋章が現れた


「あれは・・・紋章?」


なんだ・・あれは・・?


その紋章と同時に門が開く


ギギギギっと重い音を鳴らして


千里はどうして・・俺達になぜこんなことをするのか分からなかった。

ただ・・ただ・・茫然としたのだ。


「・・・・。」


「旬、何、ボサっとしているの!!奴らを攻撃するのよ!!」


ミリカが俺に戦闘態勢に入ろうとすると・・


「~♪」


すると、フード集団の一人が歌うのだ・・。


先ほどの高笑いしていた女だ


そのとたん、全員が頭の痛みで倒れる


「うわっ・・」


「きゃっ・・。」


(アタマガワレル・・!!)


アニマでさえ耐えきれないのか、頭を抑える


「なんて声だ・・恐らく・・フードの集団の中に

 幽霊歌姫ファントム・プリンセスがいるはずだ」


フードを被っているから顔は分からない

でも・・。

この歌声・・間違いない奴だ・・。


ミリカはもちろん、奴のことを知らないのか

いや、当然かミリカは途中から加わったはずだ。


幽霊歌姫ファントム・プリンセス!?どういうことよ」


「ごめん、ミリカ。俺言うの忘れていた・・この声を聴くと

 ぐぁぁ」


「旬・・きゃぁぁぁ」


俺達が怯んだ姿を見て、フードの集団はすぐに歌うのをやめる

門は当然、開いたままだ。

その様子を見て千里達謎の集団は門に入りすぐ、消えるが

ヤドリはドサリっと倒れ込む


「ヤドリ!!」


俺たちは一刻も早く、奴らを追いたかったが

今、それどころじゃない


俺たちはすぐヤドリの傍による


「ヤドリ、ヤドリ・・!!」


ゆすっても起きない

ハッとしたミリカは、おそる、おそる・・ヤドリの口元に手をやる


「息していない・・!?」


ミリカのが旬を見ながら青ざめる


「でも・・脈はかすかに・・しているわ。

 でも・・どうしよう・・このままだと

 ヤドリは・・ヤドリは・・。」


「嘘・・だ」


ドサっと、脱力する


先ほどまで・・元気だったのに


あんなに・・意思が強かったのに


絶望が・・俺達を襲う

アニマは、ヤドリの傍によって容体を確かめる


(オソラク・・サキホドノジュツノショックデ・・・ダガ

 ゴシュジン、マダ・・オソクナイ!!ヤドリヲ・・ソセイヲ!!)


その言葉に、俺は決心した。


許せない・・

たとえ、千里とはいえ・・ヤドリを危険な目にあわせた。


どんな気持ちで俺達を襲ったのか分からない

むしろ、知りたくない


でも・・。


すぐに、俺は杖を持ち

ヤドリの顔を見て・・。


俺は・・蘇生を始めるのだ。


「いま・・・蘇生呪文をかけるから!!」

「あたしもするわ!!旬」


「でも・・。」

俺がしぶるとミリカはずいっと・・


「いいの!!短い間でも仲間は仲間だわ。

 ヤドリは・・本当に優しい人よ!!こんな人が先に死ぬなんて

 あたしは・・・自分が許せなくなるわ」


ミリカは本気だ。

そうか・・これは危険な蘇生だ。

でも・・やらないといけない・・!!


「分かった。」


杖を持った旬とミリカがヤドリの前で呪文を詠唱の準備をする


「いくよ・・ミリカ」


「ええ。準備はOKよ」


旬とミリカは互いに頷きあう

旬とミリカは同時に呪文を詠唱する


「天にのぼる我らが神よ・・その力を持ち、我らに力を与えよ」


「その者に幸と光を・・!!」


「「リザレクション」」


大きな光がヤドリに向けて放たれる


実にいえば、俺は蘇生はそれほど得意ではない


だが、二人でも難しいのか光は薄まろうとする


「お願い!!ヤドリを助けて」


「お願い。あたしはこれ以上・・・仲間の死ぬ所をみたくないのよ!!」


だが、光はどんどん小さなくなる


もう無理か・・と思う時


その時・・!!


光が大きくなった


「な・・何が起こったの?」


「ワタシも力を貸すわ」


そこには、イレーヌがニコっと笑っていた


「イレーヌ・・・さん?」


「さぁ、もう一度・・。やりましょう。」


その手には、杖を握っていたのだ・・。


今はそんな考えを持っているわけじゃない


俺たちは再度、呪文詠唱を始めた


「天にのぼる我らが神よ・・その力を持ち、我らに力を与えよ」


「その者に幸と光を・・!!」


「「「リザレクション 」」」


そのとたん、強い光がヤドリを包み込む

そして・・。


「うぐ・・。」


うっすらと瞳を開けるヤドリ


「どうしたんだ?俺っち・・?」


「「「ヤドリ・・」」」


ハァ~っと安堵の息を吐いた


「なんとか危機一髪を乗り越えたわね」

「うん・・」


(アブナカッタナ・・)


それぞれが、安堵をしたのだ


「良かった。ワタシ、安心しました。」


ニコっとイレーヌが笑ったのだ。

今・・この人は・・ワタシと呟いた。


h一体・・この人は何者なんだ・・?


「貴女は・・一体?」


「そんなことより・・この方に身体がついきていませんよ」


その言葉に、旬はハッとして


「心と身体に休息を・・”キュア”」


すると、ヤドリの頬は赤くなり

ニコっと笑うのだ・・。


「ありがとな・・旬。」


「いいんだよ・・ヤドリ・・ごめんね。」

「いいんだ・・旬。」


その様子を見て・・ミリカはキッとイレーヌを見る


「結局、あなたは・・何者なのよ?」


すると、イレーヌはニコっと笑って


目の前に天秤を見せる

それは・・幻覚なのか分かりもしない


「あなたは、命の天秤をどちらにかけますか?

 それとも、その運命の天秤ともいえましょうか。」


「な・・・!?」


何を言っているんだ・・?

イレーヌさんは・・。


「友と仲間・・今の貴方は・・かぎりなく

 友ではなく仲間を取った・・。」


その天秤は、仲間の方に傾いている


「何よ・・それが・・悪いってことなの?」


すると、イレーヌは首を横に振る


「いいえ、それは悪いことでないのです。

 ワタシ自身は黙っておこうと思いましたが

 あなたの選択は間違いではなかった。」


その言葉に俺は、立ち上がり

イレーヌへと目を向けた。


肝心のイレーヌはニコっと笑うばかりだ


「・・・・どういう意味ですか?」


「人は・・結局は、一つしか選べない。

 それもワタシに・・言えることですよ」


「イレーヌさん・・?」


そのまま・・独り言を言うのだ


「・・・かくゆう、ワタシも天秤に運命を愚弄された身

 結局は、あの人の影を追うしかない。ただの人間という所・・。」


「・・・?」


イレーヌの鮮やかな笑みは・・さみしげで

とても・・苦しそうだった


「たった一人のために・・今まで生きたただの屍・・同然なんですよ

 ワタシは。」


そう笑う姿はズキっとして

そして・・揺れた瞳は見逃すことはなかったのだった・・。


そして、思い出すのは・・。


千里の虚しい・・絶望した顔だったのだ・・・。



千里はなぜ・・?

さて、これからどうなるのか必見ですね~

では、またどうぞ

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