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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
8章 グランドクロス ~踊り子たちの乱舞~
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少年、鴉の瞳

さぁ、クレーエが登場しました~

さて・・冒涜は?


正しい世界だと信じて

今まで歩いてきた


何が正義で何が悪か


そんなことすら考える必要性がない。


なぜなら、考える必要性はあるのか?


そう思うようになったのだ。


我ながら思う・・・。


自分はもはや手遅れではないかと・・考えるのだ。

それもそうかもしれない


つまり、手遅れなのは・・最初からというわけなのさ・・。


                ****


「あんさん、やはりそうやったやな」


姿を現したクレーエにラミアは皮肉気味だ。

もちろん、ふるふると震えていたのは・・・。


「あんたね!!お兄様だけじゃない!!たくさんの人を不幸にしたのは!!」


ミリカだ。

この世で一番大事な家族や自分達の王国をメチャクチャにした人物


それは、一生忘れない話になる。


「・・・」


黙っているクレーエ

その沈黙が重たい


「あんたは・・絶対許さないわ!!」


そういうと・・クレーエは、ニコっと笑い


「だから?」


「えっ」


ニコニコっと笑っているがその目は無表情


むしろ、何も感じていないのだ。


これぞまさに”狂”という言葉を感じさせられる瞬間だ。


そして、ミリカは思わずのぞける

この瞳にゾクっとしたのだ


「僕はお前たちに、言っているだよ”だからどうした?”」


それが、こいつの言い草

そして・・・本性だ。


「・・・!!」


ミリカは絶句し言葉をなくす


「なんていう奴・・!!」


ヤドリはその危険人物だと反応したのか

ミリカの腕を引いて旬の所に連れていく


そのクレーエの前に姿を現したのは・・


「お前・・・罪悪感のかけらがないのか!?」


ジンが敵意むき出しだ。

クレーエはハッと笑い


「僕は、それが正しいと思ったからこそだ。

 まぁ、君たちの正しさと僕の正しさには相違はない。

 つまり、僕のしたことは結果的は正しいことでもあったんだ」


「・・・どういうことや?」


ラミアは不審がるようにクレーエに問いかける


「こういうこと、王も王弟も、あいつもまた愚かだった。

 だから、破滅の道案内をしたのさ。そして、奴らは

 その道に行って・・消えたのさ。」


まるで軽快という風に笑う奴の姿にジンは怒りで


「・・・貴様・・・父のことも・・!!」


「そんなに怒らないでよ。僕は、ただ手を貸しただけ。アイツは、自分で堕ちたのだ。

 だから、関係ないのだよ・・僕は。相手が勝手に自滅したのじゃ

 どうにもなりはしない・・僕のせいにできるわけがないよ。」


その言葉にギリっと歯ぎしりをするジン


「お前、我たちの国を巻き込ませたことも”正しい”ことだったというのか!?

 そして・・お前は・・!!」


「ははっ。そんな怖い顔をしないでよ・・元王太子サマ

 怖いねぇ。そんな君には、花をあげようか?

 君には似合いそうもないけど。」


クレーエがポンっと花を出す

さすがと言いたいくらいだが


ジンは怒りでワナワナとふるえている


「貴様・・!!」


その白熱する会話の中で、ミリカはボソっと旬に呟く


「あいつは・・許さない」


ミリカは悔しそうにしている

残念ながら自分ではアイツには適わないそう判断したのだ


「・・・お父様の死も結果的では当たり前だといったわ。

 そして、お兄様のことも・・すべてあいつが・・。」


ボロボロっと涙を流すミリカ

それは悔し涙だ

ヤドリは奴の危険性を理解して上での判断なのか


「・・・俺っちも同じだよ。でも・・。」



旬に目を向ける


「・・・俺はこいつに構っている時間はない」


「旬・・。」


それぞれの意見を出していた。

そう、こいつに時間をかけている暇がないのだ。


「でも・・」


チラリっとラミアを見たもちろん、ラミアはその視線を見て


「・・・あんさんら。」


ラミアは怒りにまかせながらも旬たちに語りかける

旬達がこれからどうするべきなことなのか

知っているのだ・・ラミアは


だからこそ・・。

安心させるように笑って


「・・・旬、うちらのことは大丈夫や

 ジンとうちでなんとかするわ。」


「・・・。」


白熱しあう牽制に対して

ラミアは、前を向いて

旬たちに遺跡を出ることを話す


「・・こいつは、うちやジンに対して因縁があるんや・・

 あんさんは・・会いたい人物がいるんやろ・・行けや」


「それなら・・あたしも」「だめや」


「どうして!?」


「・・・あんさんはとても大事なコトが待っているんや

 うちらと違って・・。」


大事なコト・・という言葉にミリカはピクっと反応した。

そして・・うつむきながら黙りこむ


旬はラミアの覚悟に対して


「・・・じゃぁ・・大丈夫なんだね?」

「・・・もちろんや。」


チラリっとみるクレーエの姿に俺達は各自頷く


ミリカは・・何かを考えてうつむいていたが

やがて・・顔をあげて


「あたしの父や兄の仇・・・頼むわね」


「ああ、任せとけや」


ニコっと笑う

再度旬は聞くのだ・・ラミアとジンのことも


「・・・大丈夫なんだよね?」


そう呟くと・・ラミアは旬の頭をポンっと軽く叩いて


「・・・・死ぬ気はないさかい。安心せぇ。」


そこには、慈愛のこもった瞳だった。


この手は。


優しい手


でも、同時に戦いをする手だ。


俺はジンやラミアに何度も助けられた。


今度はもう・・自分の足で歩くのだ・・!!


「じゃぁ・・後でな。」


ラミアは俺にそう笑いかけてくれた俺はコクンっと頷き


「・・・皆、行こう」


他のミリカ、ヤドリ、イレーヌを見た


「うん」

「ああ」

「そうですね」


そういって遺跡の外まで走ろうとすると


一羽の鴉が旬に威嚇する


「逃がさないよ?」


どうやらクレーエはジンと牽制をしながらでも

俺達の様子を監視していたようだ。


そんなことは・・今はどうでもいいか。


「・・・俺はお前と相手している暇なんてないよ・・

 アニマ!!」


旬が呼びかけると・・

そこには、旬の傍にいつの間にかいるアニマが勢いよく息を吸って


(イクゾ!!ウィンドウブレス!!)


すると風によって鴉に直撃し鴉は消える


「さぁ、早く」


ミリカ達は走り込む


「面白い・・!!」


クレーエは旬達を追いかけようとするクレーエに


「あんさんの相手はこっちや!!」


ラミアがうなりだす


「・・・へぇ・・僕はこいつらの相手しないといけないだぁ・・」


いかに見下したように笑うクレーエにラミアはヘッと笑い


「うちらで不満とでもいうのかいな?」


チャキっと武器の準備をしているラミアがいた


「不満も何も僕は、旬という少年と戦いたかっただよ

 まぁ、足どめというのも正しいけども・・はぁ。」


本当に、残念そうにしながらもラミアたちに異様な雰囲気を与える存在だ。


ただでは済まないような気がする。

こいつは・・。


「でも、まぁ・・お前らを倒せばすぐってことだよねぇ・・。」


その時、クレーエがニコリっと笑うと・・・突然

鴉の群れがラミアたちを襲う


「なんや・・こいつら!!」


無数の鴉がラミアとジンを襲う


「ははっ。僕の力さ・・。分かるかな・・それがなんなのか」


クスクスっと笑うのは本物の残虐性を明らかにしている


ラミアは、それがなんなのかすでに分かっているのか。


「・・・ジン。」


そう声をかけると、ジンは頷き


「ああつ。そうだな」


ジンは剣を持ち、そして鴉の群れに向ける


「へぇ、何をするんだか・・。」


それも楽しそうに笑うクレーエだ。


「我にその炎の力を与えよ!!」


「”朱雀”」


火の鳥が鴉へと飛んでいく


「火の鳥か・・うまくいくかねぇ~」


そう言っていると・・ジンはニヤリと笑い


「それはどうかな・・?」


「・・!!?」


そのとたん大量の鴉たちは焼け

そして、消えていく


もちろん、それは本物の鴉じゃない


幻なのだ。


「へぇ・・分かったんだ。こいつらが。

 幻の鴉だってことを」


クレーエは自分の鴉が消えたことに驚くこともなく

手を出すと、鴉が姿を現す


だが、クレーエは平然としていたが

やがて、ククっと笑う


「さすが・・あの時と違うねぇ。

 見違えてしまったよぉ。」


そういいながら、その辺にある草を花に変え

鳥を飛ばす


さすが、道化師という所か。

余裕な表情が見える


「でも・・もう、僕の洗脳も効かないようだね~

 幻もたやすく消してしまったし」


そう悩むように笑うすがた

まさに余裕だ。


これが、道化師という存在か。


だから、我は、そこで挑発させるのだ。


こいつを本気にさせてしまう一言を。


「そうだな。我達は・・もうお前の言いなりにもならないし

 お前の幻の術に対抗するためにここまできたんだ」


そして、ラミアも同意する


「そうやな。あんさんも潮時や。

 うちらはもう・・あんさんに負けるわけにはいかん」


その言葉にその時・・グシャっと花が崩れる音がした。

クレーエが自分の奇術で出した花をつぶしていたのだ。


「・・・倒す?はっ。この僕を倒す?

 面白いことをいうねぇ・・」


そこには、大量の鴉を従えた

クレーエの姿だ。


もう、こいつの瞳は先ほどの道化師の目ではなかった。


鋭い獣の瞳・・。


まるで、鴉のようだ・・。


鋭い目は・・何をみているのか分からない。


ラミアはボソっと呟く


「大変なことをしてしもたな。」


ラミアは他人事のように言う

その瞳は・・・好戦的なのだ。


かくゆう自分も同じなのかもしれない。

自分の顔を見ることができたら


きっと、今のラミアのような

鋭い獣の顔になっているはずなのだ。


「・・・ああ、そうだな」


「でも・・うちは負けへんで。」


ジャキンっと大きなナイフを両手に持ち

戦闘態勢に入る


「我もそうだな。負けはしない」


剣を持ちながらクレーエに向ける

奴は笑いながらも・・目は・・笑ってはいないが


「かかってきなよ。僕もこれ以上に楽しみなことはない」


始まる戦い。

それは、どちらも負けられない戦いと化していったのだった。


彼は何を思って行動しているのか?

それは、彼しか分からないこと。


では、また次話でどうぞ~

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