表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
8章 グランドクロス ~踊り子たちの乱舞~
160/485

少年、無心の少女 ノエル視点

このお話の冒涜の人物はすでに本編でもでています。

もちろん、誰かというと・・ミリカのお話の冒涜にちょくちょく

出ていますので、気になった方はぜひ、見てくださいね。


血の生臭い・・においがする。


シクシクシクシク


シクシクシクシクシク


ずっと・・・泣いている


「痛い・・・」


雨の中、戦の中


恐怖で震えている


なんだ・・・?


「君は、一人かい・・?危ないよ。こんな戦場の中で」


「あなたは・・?」


そこには、人がいた。


でも、この雨の戦場の中・・たたずんでいる自分の前にいるのだ


そして、男はこういった。


「・・・悪魔デビルさ。この世に存在した悪夢の一環しかない。

 ただの・・・亡霊さ」


悪魔デビルがにっこりと笑ったのだ


悪魔と名乗ったこの男が何者なのか分からない。


警戒すべきなのかも分からない。


そう、何もかも困惑と恐怖で分からないのだ


「・・・・。」


そして差し出されたのは・・手だ。


きれいな白い手なのに・・その手は・・・。


なぜか、赤い手に見えた


血のような赤い手。


「来るかい?生きるためならば・・・。」


言葉なんていらなかった。


他に生きる手はなかった。


他にも方法があっただろうと思うかもしれない


でも、自分は、その手を握ったのだ


血に汚れた美しい手を。


それから始まった


生きるためならば・・なんでもした。


誰かが泣こうか


自分が苦しもうが


ただ、それが悪だろうが


やがて・・気付かずうちに・・。・


世界の崩壊へと始まる道へと・・。


たどっていくのだ・・・。


気付けば自分には目的は無くなっていく


今あるのは・・・ただ、戦いに飢えた自分だけだ。


そう、それは・・。


まやかしに負けた自分の・・姿だったのだ。


                  ****



「地獄にいくのは貴様らだ。それが、この世の理だ!!」


大剣をこちらに向けて好戦的に笑うカズラ


それに、ノエルはため息をついて


「お前、地獄に行くのはボクらとは失礼だな・・・まぁ、お互い地獄に行くのは

 フェアでいいじゃないかな・・・全力で戦えるし」


ニコっと笑ったのだ


そのとたん・・カズラは震えた


「・・・・お前は、なんだ・・?」


「・・・なんなのか?そんなのどうでもいいのさ

 君もそうでしょ?君も何者なのか?

 こちらが問いだしたい気分だよ」


「・・・!!」


無・・。


そう、すべてが無だ。


もう、自分のことなんて関係ない。


明かされることもない・・


あるのは・・獣のような・・人間か定かじゃない存在


自分には大きな秘密がある・・。


旬ですら知っているかどうかわからない秘密


そう・・・そうさ。


たまに、空虚になる時がある


そして、頭がズキっと痛みだして


気付けば自分は、感情が少しずつだが消えていこうとする


誰にも言っていない・・ボクの秘密。


それもまた・・あの忌々しい実剣の副産物だ。


こんなにも・・獣のように戦いに飢えている。

それは・・恐らく、カズラ君も同じだろう。


「さぁ、はじめようよ。ボクもジゼル君も・・こんなにも待ち遠しいんだ」


自分をさらけだすわけではないけども・・。

自分の本性を見せることは・・旬にも見せれなかった


無になって堕ちていく自分の姿を見られたくなかった


でも・・もう、旬も気付いているだろう・・自分がこんな状態であることも


自分の秘密ももうバレテいる・・・恐らく。


旬のあの顔はおそらく、気付いているだろう・・心の奥では。


内面じゃ知らない振りをしているのも・・本当は気付いていた


でも、もういい。


ここで、ボクは・・・最期の対決をするんだから


”ボク”という存在は。


旬のためにあるのだから・・・。


消えて・・なくなっても。大丈夫なんだから・・・。


カズラはそのノエルの好戦的な姿を見て思わず


「面白い・・かかってこい!!我が力をこれまで以上に見せてやる。」


同時に氷と闇が激突するのだ


ドギャっとすごい音がした。


それは相殺の音


でも、そこで緩めない


召喚士は詠唱をすることで獣を呼び出すことできる。

もんだいは、その時に襲われたらアウトなのだ。


「ジゼル君!!」


ボクの声に反応したジゼル君は分かっているようだ


ボクが何かをしようとしているところを


「ああ。そのあいだ、おまえはしょうかんを!!」


「うん」


ボクは長い詠唱に入る

もちろん、邪魔する気満々なのだ・・奴は


だけど、ジゼルが相手してくることで、苦戦しているカズラ


「小癪な、獣ごときが!!」


そう叫ぶ声に


「じゅうでも、できることはおおいのさ・・。」


聖なる光と闇が激突する。


だが、カズラはニィっと笑って

剣をジゼルに向けて


「インベイジョン」


すると、ジゼルの周りに闇の浸食が始まる


「うがぁぁっぁ」


ジゼルはその闇の浸食に耐え切れなくなり倒れるが


すぐ立ち上がり


「おれさまのちからよ・・・せいなるひかり・・・」


すると、その呟きとともに

辺りが聖なる光のようにジゼルに集まる


「ホーリー」


すると、浸食へと進んでいた闇は、光に包まれ

消える


「おれさまをなめるな!!」


「ふっ・・さすが、聖なる獣だ」


その大剣を撫でながら笑う姿は不気味だ。


ジゼルは冷や汗がでる。


なんだ・・こいつ?


じくじくっと・・ジゼルの体を蝕む闇が迫っていることを

気付いていないジゼル


やがて・・。


「そろそろ、効いてくるころだ」


「!!?」


ジゼルは自分の身体が少しずつ闇に浸食されていくのを

見て・・驚愕した


ノエルは、その光景を横目にしながら呪文を呟く


急がないとジゼル君が危ない


・・もう、詠唱は・・できているんだ!!


こいつはカズラはボクらでも深手を負わせることができるか

どうかさえ分からない恐怖の相手


あの大剣からはまがまがしい力を感じる


急がないと・・。


そして、ノエルは詠唱呪文を早める


そして・・・


「いでよ!!」


その声とともに魔法陣が現れる


「我が聖なる力よ我とともにその姿を現せ」


すると、魔法陣が光る


「地の力を持つ・・”コカトリス”」


すると、地面からヒビが割れるように現れたのは・・。


コカトリスであるトアリスだ


「ガァァァァ」


と獣のうなり声がひどい


バサバサっと鳥の羽根が辺りに散らばる


そして、ボクはこれで終わるつもりもない


「主・・・呼んだんだな」


その声とともにトアリスはバササっと羽根を広げる


もちろん、ボクは詠唱の手を緩めない


「もう一発行くよ・・雷の獣よその姿を我の姿に現せ

 契約より命じる”サンダーバート”」


すると、雷がダーン、ダーンっと鋭い音とともに


でてくるのは・・雷のつかい手・・・。


”サンダーバード”のシュリだ。


「お久しぶりね。」


鮮やかに笑うサンダーバードは笑う


「久しぶりだ。まさかの展開だな・・。」


トアリスの声に、ボクは応じる。


彼らとももちろん、契約をしているからだ


「うん、あの日以来だ・・ねぇ、お願いしてくれる?」


すると、トアリスとシュリは顔を見合わせ


「「もちろん。主のためならば」」


その声とともに、ボクは・・・ボソっと呟く


「ありがとう」


なぜか、うれしくなった。

おかしいな・・?


おかしいな・・?


自分にはこんな感情を知らないはずなのに・・。


なぜか・・とてもうれしい。


ノエルがそれがどんな感情なのか分からなかった。


でも、不思議と温かくなったのは・・・確かだったのだ。


                ****


一方、ジゼルは、光で闇と対抗している

だが・・


「ぐっ・・・」


思うような、力がでない。


先ほどの奴の・・浸食が・・効いている


ホーリーで打ち消したと思ったが

俄然、奴の方が力が強かったのか


身体が・・・どんどん重くなっていく


まるで、自分の身体じゃないような・・・。


奴の大剣からは・・・なんだろうか

闇が溢れている。

その闇に少しでも対抗するために

ジゼルはそれでも光を強くしようとするが


「ぐっ・・・。」


闇の浸食は・・聖なる獣であるユニコーンの自分には効果バッグンだった。


「ここまでか?」


その声に、ジゼルはググググっと後ろへと下がっていく


「お・・おれさまは・・。」


もう・・無理なのか?


奴の力は・・。


ジゼルはそう感じた瞬間


その時


「プラズマ!!」


「ペトロブレス!!」


すると、闇を相殺する二つの姿


「うぐ・・き・・きさま」


その声に、カズラは後ろへと下がる


そこには・・もちろん、二匹の獣と・・・ノエルだ


「ボクのこと忘れないでよね。カズラ君」


「あら?あたくしのことも忘れないでくださいませよ」

「そうそう、我ら召喚獣の存在を。」


対照的な二匹の登場に、驚くのはカズラだ


「ノエル・・おまえ・・。できていたのか?

 どうじしょうかんを・・。」


すると、ノエルはジゼルの傍により

”パージ”を唱える

すると、闇の浸食が消える


「ああ・・ボクはね・・話していなかったけど・・・

 実は、高位獣の召喚は今までできなかっただよ。」


そして、ジゼルは驚いて


「じゃ・・なぜ!?」


すると、ノエルはニコっと笑って


「修行さ・・こういうのは精神の集中によってできるものなのさ。

 さぁ、ジゼル君。奴を倒そう」


「それだけなのか・・?」


「違うかもね・・・ボクは、それがなんでなのか分からない。

 でも・・・旬のおかげかもしれない」


そして、ジゼルはその時・・ノエルの顔を見た

そこには・・・誰かと重なったのだ


自分が昔・・守ってくれた人間に・・似ている・・?


昔・・傷だらけの自分を・・守ってくれた


「お前・・・もしかして・・?」


そのまま、ノエルは立ち上がり


「カズラ君。ボクは、負けないよ。落ちこぼれと思われていたボクだって

 君には負けない」


ノエルは杖をカズラに向ける


「剣で適うものはいないのさ」


「いんや・・いるよ。」


そこには、圧倒的に笑うノエルがいた


「ボクはね。そういう無謀なことが好きなんだ。

 本来は、そういうのは・・ジンとかの方が強そうだけど。

 ボクはボクでしかない戦いかたで戦う」


そう、ボクのスタイル。

それは、誰にも真似すらできない


ボクのやり方だ・・!!


「お前の・・戦い方・・。」


カズラは呟いたノエルは、愉快に笑う


「さぁ、最期だ。君に勝ってボクは・・旬たちの所に行く」


「・・・・。」


互いの最期が始まる。


ジゼルは、ノエルの後ろ姿を見た。


それは・・もう、あの頃の彼ではないほどに

強くなっている・・頼もしい・・ノエルの姿だったのだ。


悪魔デビルは、一体どんな人物なのか?

冒涜の人物とそして、その子供は誰だったのか

皆さんもぜひ、推理もしくは、考えてみてくださいね~

まぁ、いずれも本編に出ている人物なので・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ