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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第2章 ~シーフ、ラミア登場~
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少年、逃亡した泥棒の行方

さぁ、ここからはラミアの心情です。

ラミアはどう思っているのか

それがわかります。

では、どうぞ、

俺は、旬

謎の老人に会った後の俺たちは

もう夜だから宿に泊まることになっただよね。

そこでは、気前のいい女将さんが俺を子供扱いしたり・・。

まぁ、そんなことはもう気にしていないけどさ

とにかく、その時お腹がすいたんだよね・・。

だから、俺たちは食堂に行くと、そこにはラミアという

俺たちと同じ旅人に出会ったんだ

まぁ、一緒に酒を飲んでいたんだよね・・ジンとラミアは

それで、帰る時、意味深な台詞を残したまま

次の日・・なんと、俺の皮袋にいれたルナや大事なモノ

本が盗まれてしまったんだ!!

俺はもう、頭が痛くなるよ

なんでこう、次から次へと問題が起こるだよぉぉぉ



               *********


重苦しい雰囲気が漂う

ジンは目を細めて


「で、結局どうするんだ?」

「決まっているよ」

「決まっている?」


「・・・探すよ。」


もう、これ以上もこれ以下もない

託されたものは盗まれるままで終わるなんて嫌だ

それに、せっかくの手掛かりだ

探さないと自分たちの今後がどうなるか分からない。

赤い月に関する大事なものなんだ

そのままにしておけない


ジンは神妙な顔をして旬に問う

いきなり、探すとしても当てがあるかどうか分からない

なにせ、初対面の人間だからだ

でも、旬には、それが可能だと思っていた

なぜなら・・。


「探すってどうやって」


ジンが聞くとニッと笑う旬。


「ジン、君は確か人狼だろう?狼になれないの?」

「ああ、もちろん。なろうと思えばなれるが・・!!」


そして旬は、笑みをますます深める

その糸にジンは気づいたのか


「ま、まさか・・お前」


ハッとしたのかどうやら旬の思惑に気づいているようだ

狼にも当然嗅覚が存在する

それは、人間とは違う。

そう、だからこそ、今が使う時だ


「うん、臭いで追うよ、あれだけラミアと接したジンのことだ

 覚えているだろう?臭いに対して。」

「ああ、もちろんな。俺は人狼。一度会った人間の臭いは

 忘れはしないさ・・分かった。今から狼になるから離れてろ」

「うん。」


俺は、離れることにした

もちろん、術の邪魔をしないことだ

ジンが詠唱を開始すると、光に包まれる

その途端、人間の姿から狼に変化する

燐とした姿をみると轟々しく見える


(いつでも行けるぞ。旬)

そういって、背中に乗れるようにもう準備が出来ているようだ


「じゃぁ、行こう、ジン乗せてくれ」


希望は見えて来た

臭いがあればこっちのもん

俺は行くしかない

部屋を出て、宿屋に向けて瞬足で走る

それは、まるで風を切るように

そう、姿を見ることは誰もできないような

速さだったのだ


「うわぁ、な・・なんだい。風がいきなり吹いてきた!!」


女将さんは驚いているようだ

何かが横切ったことを

当然、その何かは風のように消えたのだから

風と勘違いしているようだ


ジンは疾走する。

それは、風のように

自分たちの大事なものを盗んだあの少女を追うために

急ぐのだった



                ******


宿を後にした少女は一人、草原を歩いていた

当然、街はすでに小さくなっている。



「ふぅ、もうけたなぁ。」


ラミアはパンパンになった皮袋や、ジンのルナも持っている

しかも、手には旬の大事な本まで持っている

どうやら、自分の収穫にご満悦のようだ


「これだけあれば、なんとかなるな。」


うちは、ラミア。

一見は、流れ者旅人やけど実際は違う

シーフや。

もちろん、隙あれば人の物を盗む泥棒や。

行き当たりばったりな人間を好む泥棒でもあるな。

今日のカモももちろん初対面。

たまたま出会った青年と子供

うちは、しめたと考えた。

それはもう、いいカモやった

なぜなら、簡単なこと。

青年の方は身なりがよくてな、子供の方も服が新品やったし

隣に座ったのが運の尽きや。


子供の方は、酒は飲めんと言った。

それは、残念やった。眠り薬でも飲ませようと思ったやけど

えらく疲れているようやったし、これはいけるなと感じたんや。

だから、眠り薬を飲ませることはしなかったんや。

まぁ、甘いと思われるかもしれへんけど。

これでも、子供には優しいんよ?

見えんかもしれへんけど・・。

うちには、子供に眠り薬を飲ませることはできんかった

今はその理由を話す時ではないかもしれんな。

まぁ、あの青年たちが絶好のカモやと思ったのもあるけど

もう一つ、盗みの決意をしたことがあった。

それは・・。

飲み続けていい感じで、酔った青年を介抱する少年に、皮袋をみたんや

それはもうパンパンのな。


少年は、青年が金の管理が下手やと言っていたけど

どうも、あれは変やった。

うちが、盗みに行った時もうちの気配を消したのに

気づいていたようやけどすぐ寝たけどな。

今、考えればかなりできる人間や。

このプロのうちを気づいたくらいやただの子供ではないようやな・・。

まるで、子供の振りをした・・いや、考えるのはよした方がええな。

もう会うことはないかもな。


しかし、まぁ。

この本は何や。

見たことも無い本やな。

こんな読めないように封じられた本

人生初めて目をしたわ。


他の本は、鍵穴がついてある本は

いままでたくさん見てきたけど

この本は、鍵穴がない。

しかも、何故だろう・・?

こんな意味わからん本を持っている

人間は初めてや



でも、意外とこういうのって高いかもしれへんな

案外、希少価値もあるかもしれないし

お宝ってことはそうかもしれへんな


少し、あの青年達に悪気が出たが

いいことがあるように願うことにしようと思う。

とにかく、この調子で行けるはずや


そういえば、言ってへんかったな

うちがシーフをしている理由は

うちには、どうしても村を助けたいだけなんや。

金銭的なだけでもないけれども

それでも守りたい奴のために

盗みを働く・・これしかうちが残された道はない


これからこの本を売って

少しでも生活の足しに・・な。

そして、少しでもあの子らを幸せすることがうちの夢や。

そう、未来へと様々な空想をしていると。


ん・・?


ガサゴソっと何かが音がした


「な・・なに・・。」


それは何かおおきな気配を感じたのだ

尋常ではない気配を。

ラミアはごくりと息を飲んで

一歩下がる


そして・・・。


「ガァァァァアァ」


と大きな唸り声をあげ

モンスターが草場から姿を現した


「なんや!!?」


いきなりモンスターが姿を現した

それは、ラミアを匹敵する

ゴプリンの群れだった

そして斧をもっていて恐怖感を煽らせているように見える


「ひ、ひぃ」


い、一体どうなっているんや

うち、これまでモンスターを相手するなんて日常茶番やったけど

こんな群でみたことない!!

ゴブリンはかなり怒っている

そ、そういえば

話を聞いたことがあったな

この街のそばにグレムリンが大量に倒されたという話を。

あれのせいかい。


もしかして・・そのグレムリンを倒した奴を

うちと誰かを勘違いしとるみたいやな


ナイフ・・いや、歯がたたないな。

うちのナイフはそんなに役に立つもんやないはず

盗む・・いや、これも無理や

隙がなさすぎる

強力な魔法がなければ・・。


ラミアは、冷や汗がくる

なんで、うちだけ

こんな目にあうんや?

たしかに、盗んだ物は悪かったと思っとる

でもな、うちはこのお金は奴に渡す金や

うちだけが幸せになるわけではないんやで!!


その時、ラミアは何かを思い出したのだ

クッと口を噛み締める


あの子らのためにうちは金を集めているんや

絶対、死にとうない

で・・でも。


もうダメかもしれへんな。

うちは死の覚悟をしたんや

ゴブリンは斧を振り上げて

うちをおそいかかる


もう、死ぬんやな・・うちは。


その時、ゴォォォっと何かが音がした


「俺に力を貸して」


「アイス!!」


そして、氷の塊ドスンっと音を立て、落ちてくる

そして、ゴブリン達に命中する


「ギャォォォオ」


何体かが倒れる

効果抜群のようだ

な、なんや

これは、高位魔法である氷系の魔法なはずや

だ、だれがこんな事を・・。



「間に合って良かった。」


鶴の一声が響く

思わずラミアは、振り返る


そこには、少年と狼が姿を現していた


ハッとしたラミア

そして、気づいたのか目を細める


その時うちは、見えたんや

安心なんかの先に見えたもの

それは、あの時の光景だ

子供のような・・でもどこかが違う

違和感を抱いた理由だ

なぜ、その少年が、子供に見えなかったのか

あの時から変だと思ったことがようやく見えたのだ


そうか、うちが変だと思ったのはこの瞳なんやな。

うち以上に何かを背負う瞳をしていたからなんや・・。


少年は、ただ前をむいていた

まだ、戦いは終わっていない・・。


ラミアの前に現れた旬。

あいからずある意味、タイミングがいいですね。

まぁ、彼が主人公だからでしょうね。

では、いよいよ、どうなるのか楽しみになりましたね

では、次話で。

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