少年、迫りゆく期限
まぁ、どんどん急展開
そして、そろそろ守護人のささやきも終わりになりますね~
では、どうぞ
坊っちゃん
この集落が見える世界を忘れないでくださいね
いつも、笑ってくれたあの人の笑顔は
どこまでも優しかったのは俺は覚えている
あの日みた空はとても美しくて
そして集落を見下ろせる世界は
どこまでも・・懐かしい想いを抱かせてくれるのだ・・。
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コホンっとキトウは咳をして、グランドクロスの祭りのことを話をする
「誕生祭かぁ・・すごいね」
「すごいだけじゃないぞ?その誕生祭は、何年かに一度あるんだが
今年はかなり特殊でな」
「特殊?」
「ああ、なにせ・・その祭りでは、”道”が現れるからな」
「”道”!?」
「詳しいことはしらんが・・何らかの方法を使うことによって
道が開かれる」
俺たちはゴクリっと唾を飲んだ
「その国は、ニルの誕生祭をするために開催される、その日時は・・
2週間後だ」
長いようで短い期間
それですべてが決まる・・。
「2週間・・。」
「まだ、時間はあるんやな・・。」
「そうだね・・どうしようか。」
そう、この2週間どうするべきなんだろうか
闇雲してもどうにもならない
さて・・困ったと・・思っていると
「そこで、おいからの提案だ」
「提案?」
その言葉に全員、ピクリっと反応するのは仕方ないことだろう
キトウは、俺たちを全員見て・・一息をつくこともなく
「2週間もあるのなら・・お主たちを鍛えてあげられるかもしれん
恐らくそれが・・お主たちにとって大きな戦いのはずだから」
大きな・・戦い・・。
「・・・わかっているんだ・・キトウさん」
俺は呟く・・そう、キトウさんも既にわかっている
俺は・・・俺たちはこれから大きな戦いに向かうことになることを
「・・・お主たちは、おいが止めても無駄だとわかっているからだ
ならば、何をするか・・決まっておる」
一言大きく息を吸って・・キトウは
「お主たちを、あやつらと同等・・それ以上な強さにすることが
おいの役目だと思っておる」
そう・・キトウは既に気づいていた
自分が止めても恐らく無駄だ
時は・・待ってくれない
それならば・・自分にできることは彼らを強くすること
「ありがとうございます・・キトウさん」
「旬殿?」
そして、その子供・・もとい旬は強い瞳でキトウを見た
「お願いします。俺は強くなる必要性がある。」
それは、16歳の旬にしては・・すごく大人のようだった
その時のことをキトウは恐らく多分忘れることはないだろう
その強い瞳をした少年には・・。
ラミアたちも同様なのか・・。
「うちらもや・・時間だけは過ぎていくだけや・・それならば
つようならねばあかんし・・」
「そうだよね・・ボクもそうだ・・お願い・・キトウさん」
「おれさまも・・できるだけのことをする」
皆が熱心にする中で・・ジンは何か悩んでいるようだ
「ジン・・どうしたの?」
俺は問いかける・・そう、ジンは脱力したまま
空虚だったのだ・・今まで
そして・・ずっと何か考えごとをしているようだった
無理もない・・。
まさか、守られていたなんて気づきもしない
気づくことすらなかったのだ・・。
だからこそ・・心の中ではたくさんの疑念と後悔
そして・・どこか・・安心した顔つきにもなっていたのだ
心配したキトウはジンに声をかける
「ジン殿・・?」
声をかけると・・ジンはうっすらと顔をあげる
そして・・一言こう言ったのだ
「・・キトウ・・我は、今度こそ強くなりたい」
「・・・ジン・・殿」
そこには・・どこか、哀しみと疑念・・それだけじゃない
多くの感情を持って揺るがない瞳をしているジンの姿だった
だけども・・そこにはもう・・いつもジンがそこにいた
「メノリのこと・・ありがとう。我は・・・一言だけ
それを言えるよ・・後悔で死んだわけではないことを
知ってよかったと思う」
そう・・ジンは、あの日見たのだ
王である父親とそしてメノリの最期を
自分はなんてことをしたのだろうと日々嘆いたこともある
どうして自分は力がないのだろうと後悔したことがある
何度も何度も報われもしないあの日を・・ジンは今までずっと
背負って生きていたのだ
そして、今日この時・・やっと、ジンは少しだけ安心したのだ
どれだけその時のことを苦しんだのかそれはジンだけしか知らない
同じ痛みを共通することはできないのだ
だからこそ・・キトウも思うのだろうか
「・・・あやつはどこまでも強い奴だった。お主たちを
守れてきっとメノリは幸せだったはずだ。けして
自分を恨むな・・苦しむな。」
自分を恨むだけで心はどんどん壊れていく
だけど、ジンは・・今気づいたかのような顔をした
それは・・もう・・。
「・・・キトウ、我は少しだけその答えに安堵している
自分がいるんだ・・我はその一言だけ救われたよ・・。」
そこには晴れやかな顔をしたジンがいた
その時、俺は・・その姿を見ただけで
ああ・・救われるというのはやはり人の言葉なんだなと
改めて感じたのだ・・。
俺は・・・ジンに何も話すことはできない
なぜならば・・俺が言うよりかよく知っている
キトウさんが言うほうがよりよいからだ
何も言えないのは俺がまだそこまでの存在じゃないということ
いつもながら寂しいけどね・・。
俺はそんなことを考えていると
「旬殿」
「あの・・何?」
キトウは、外へと指をさす
「君はヤドリの所に行ってくれ」
ヤドリの所・・?
「ヤドリ?でも、どこに行ったのか」
そう、ヤドリがどこに行ったのか俺は知らない
すると、キトウはわかっているのか
「・・恐らく、ヤドリはあそこにいる」
「あそこ?」
俺は首を傾けて考え込む
「主はきっとヤドリに言われたはずだぞ」
ヤドリは言ったことを少し思い出す
(そう、とても大事な所さ、もし、話が終わったら
立ち寄ってくれたら嬉しい場所だよ・・・)
謎かけのような言葉だったけど
今なら・・少し分かったような気がする
きっと、とても大事な場所だからこそ
俺をそこで待っているだろうと思う
さて、そこに行くにはどうすればいいのか検討は全然つかないけど
あれ?と俺は思った・・。
「キトウさんはいかないの?」
そう俺が聞くと難しい顔をしているキトウは・・淡々と
「・・・旬殿が一番だろう。主なら息子を託せる気がするのだ。
おいにはまだ・・無理だからな」
まだ・・時間がかかるか・・
その時がきたら・・きっと今の状況も変わるだろう
かってあるべきの家族の姿はとても難しいだと俺は思う
「・・・そう。じゃぁ、俺は行くよ」
「うちらも行こうか?」
ラミア達が心配して聞いてくるが
「いいよ。なんだか俺が行かなければならないような
気がしたんだ」
そう・・そんな気がしたのだ
すると、キトウは笑って
「そうか、なら行きなさい。ヤドリはここから東にある・・
丘の上だ。そこに行けばいいだろう。」
東にある丘の上か・・。
「・・・そう。じゃぁ、俺は行くよ」
すると、ノエルが立ち上がって
「旬・・健闘を祈るよ!!」
そういってビッと親指を見せてニッコリと笑うノエルを見て
俺は・・口元を緩めて
「任せて!!」
そして、俺が立ち去ったあと
ポソリっと呟いた
「ヤドリのことは・・頼んだよ」
そう・・キトウさんがそう呟いてを
もちろん、俺は知らない
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「東の丘の上・・」
俺は東へと歩いていくと
どんどん、緩やかな道へと進んでいく
険しくもないし・・俺の体力でもそんなにきつくはなかった
「はぁ・・ついた」
そこには集落が見下ろせる
素晴らしい景色の丘だった
そして・・そこには・・。
「お墓・・・?」
集落を見下ろせるその場所には
ポッンっと一つだけお墓があったのだ
ご丁寧に花でうもれているが・・。
その墓を眺めようとすると
「旬、来てくれたんだな。俺っちは感激するよ」
そこで、待っていたかのように穏やかに笑って
そばには、花束を持っているヤドリの姿だった
俺は、ただ笑みを浮かべて
「・・・ああ、きたよ。当たり前だろ?友達なんだから」
すると、”友達”という言葉にヤドリは嬉しそうにして
「ありがとう。」
そう礼を言ってヤドリは、恥ずかしそうに
頬をかいたのだった・・。
さて、そのお墓はだれのでしょうか?
ここまでくれば大体の人は分るはずです。
それではまた次話で!!




