少年、救世主の賛美
さぁ、始まりましたね
今回は、ある人物との邂逅から始まります。
では、どうぞ。
やけに高慢すぎる女が来訪してきた。
その女は、どこまでも変わっていて
やることすべてが奇抜だった。
普通のヒトとはまるで違う姿をした存在
(・・・!!)
(メノリ・カルディアだ。よろしく
アンタはここの責任者?)
その女はメノリと名乗った
キトウは警戒をしながら問う
(・・・貴殿は何者だ?)
新手な、刺客か!?
と身構える・・すると、アデルが傍にきて
(キトウ、大丈夫ですよ)
(・・・なぜ?)
アデルは、キトウにその人物に害がないことを告げる
(彼女は、私たちに知恵を授けに来てくださったのです。)
(知恵・・?)
すると、メノリは頷く
(学者だよ、そう・・ただの・・歴史を知ために存在する
ただの人間さ。でも、困っているようだから・・知恵を授けにきたのも
ある意味・・正解かもね。)
その人物は学者だと名乗り
そして・・寂しそうに笑ったのだ
メノリ・カルディア・・本名不明
本籍不明・・何もかも謎に包まれた彼女との時間は
どこまでも懐かしくて
そしてすべてを知っているかのような彼女は
誠に・・不思議で不可思議な存在でもあったのだ。
***
キトウは腕を組み当時を思う
「メノリは不思議な人物だった。だが、不思議な人物だったが
的確な判断ができる人物だった・・」
「・・・メノリ・・。」
ジンはポッリっと呟いた
「結局、彼女・・何者だったの?
旬の一言にキトウはう~むと頭をかきしむしり
「彼女は、何者だったか?それはおいでも分らない。
だが、奴は、王族の側室に入るとき、言ったのだ」
気がつけば仲が良くなり
気がつけば周りに溶け込み
気がつけば・・・信頼できる仲間になっていたのだ
なんとも言えない程・・不思議な人物だった。
だが、最後の警告か・・もしくは、忠告は忘れられない
それは、メノリがここを離れるときのことだ
(キトウ、お願いだ。私はこれからここを離れないといけない
離れる・・また来るというわけではない
なぜか・・もう会えない気がしたのだ・・その時は
(・・・そうか。お願いとは・・?)
だからこそ・・メノリのお願いを聞こうと・・無意識で
思ったのだろう
(ここに、恐らく、”救世主”がくる。)
(救世主?)
(ああ・・恐らく子供だ。だが、普通の子供じゃない。
”加護持ち”だ)
(・・・加護持ち!?)
(なんの加護かは明かすことはできないが、かなり
重要な人物であることが間違いない)
(何時・・来るのだ・・?)
(・・・分らない。)
(何!?お主・・ふざけているのか?)
眉をピクっと反応するキトウ
(その子が来るのは明日か・・明後日か、一年後か、十年後か
百年後か分らない。でも・・来ることはわかっているんだ)
そう断然するメノリ・・そして、その目は、嘘をついていない瞳だった
それを見たキトウは黙る
(・・・。)
(何年後来るか分らない・・その子供こそがこの世界を正しき世に戻す
最大な存在。キトウ・・頼んだぞ)
(お・・おい、突然言われてもおいは困るぞ?せめて、その子供が
どんな子供か・・教えてくれ)
すると、メノリはクスっと口元を歪める
そして、また自信満々の顔になって笑うのだ。
(なぁに、会えばわかるさ。きっと、そいつはお前の息子も救う)
そう、彼女は言った
キトウの息子を救う・・それが、分ることも
(わかるのか?)
(・・・さぁな。ただか、歴史の欠片しか存在できない私には
分るものは限られていくのさ・・)
歴史の欠片・・どういうことなのか
その時も気づくことはできなかった
なぜなら、彼女は時よりよく分らない
意味不明なことをたまに言うからだ
だからこそ、不可思議な存在とも言えた
まるで、物事を知っているかのような素振り
そして、何かが起こることをすでにわかっているようだ
キトウはメノリに問いかけた
彼女は何だろうか・・と
(・・・お主は・・結局何者なのだ?)
(私?)
自分に指をさすメノリ・・それに頷くキトウ
(ああ)
すると、メノリは笑って・・。
(さぁ、自分は何者だったのかたまにわからなくなる
本当に、私は”何”でなぜ・・”存在”しているのか
自分は、何者なのか分かりもしない。キトウ・・
お前は、私が何者なのか考えてみなよ。それが
私が君に送れる・・・最後の問題さ。)
(最期の問題・・大げさすぎるな・・お主
最初の問題もえげつなかったくせにな・・もう・・最期か。)
(・・・ああ、そうだね・・最初の問題は・・なんだっけ
私にも忘れそうになるさ」
他愛のない話でも・・これが最期の会話
そして、別れの合図だったのだ
それから、キトウに向けて・・
(キトウ、私は、これから・・未来に賭けるよ)
(未来?)
(そう、揺るがない未来のために・・できることをするのさ
そのためには・・私はあがくよ・・最期まで。)
その笑みを見たのが最後だった。
それから・・数年後
次に送られてきたのは・・一つの手紙だったのだ。
それが、メノリの最期の手紙だった・・。
「・・結果的に、メノリは死んだのだ。たった一つの手紙を残してな」
ジンは、キトウに問いかける
「・・・メノリは、何かしたのか・・?」
「分らない。ただ、メノリは、未来のためになんらかの
布石を作っていたのだろう。例えば、ここにいる主たちが
もしかしたら・・・。」
もしかしたら・・メノリさんが俺を知っていたのは・・?
それは・・彼女の意思だったのだろうか・・?
「・・・・俺はメノリさんの意思で?」
すると、キトウは首を振る
「・・・それは違う。あやつは神でもないからな
おそらく、あやつ自身に何か秘密があったのだろう。
神と掛け合うことができる・・なんらかの力が」
ジンはハッとする
「・・もしかして・・それが、メノリの死だと・・言うのか!?
歯車は・・既に・・。」
すると、真剣な顔をして、キトウはジンの肩を掴む
それに、ビクっと震えるジン
「・・・・ジン殿。お主が、王族にあのままいたら・・どうなっていたのか
おいには検討がつかむ」
「な・・!!」
「結果的、貴殿は、王族という世界から外れたことで、最悪なことが
回避されたということになるのだ」
「そんな・・わ・・我は・・メノリに・・
助けられたというのか・・?」
ドサっと脱力するジン
「・・ジン・・。」
そして、再び俺たちを見るキトウさん・・。
「おなじようにもし、旬殿に出会うことがなかったら恐らく
最悪な事態へと陥っていたのだろう・・」
「・・最悪な事態・・。」
ラミアはうんっと頷いて
「うちらも・・考えられることやな」
「そうだね・・ボクも旬に出会えなかったら・・・今頃」
そう、考えられるのは悪い事態
それはどこまでも最悪で
そして、自分たちの頭にあるのは・・死だ
「・・・君たちの運命は変わったことで・・奴らも恐らく
焦っているだろう」
「焦っている・・?」
キトウは、頷いた
俺は、首を傾けた
どういうことなのか・・分らない。
「そうだ、都合の良いことばかりではないが、奴ら自身
旬殿のことが一番危惧しているはずだ」
俺のことを・・危惧している?
「・・・そやろな。”旬”という存在そのものが不可思議な存在
だとすれば・・奴らは、大慌てやな」
俺には・・分らないことだらけだ。
どこまでが筋書き通りなのか・・そして誰の意思でここに来たのか
不明な部分が多すぎる
悩んでいる俺に、キトウさんは、ただ・・
「回避され続けているのは、誰の意思なのかおいは分らない。
そして、君がなんの加護をもっているのか・・おいにも分らない」
「キトウさん・・」:
俺の加護すら分らない
それは、俺の頭を混乱させる一言だ
「けども、旬」
「・・・。」
俺は・・黙ったのだ。
それしか・・なかった
「君は、”救世主”として、ここにきて。ラミアたちの運命を変えたのだ」
「俺が・・ラミアたちの運命を変えた・・?」
ラミアたちの運命を変えたのか・・?俺が?
不可能だとされる未来を・・変えたのか?
自分がそこまでな存在とは認識していない俺は
ひたすら悩む
「だけど・・通常はヒトの運命は簡単には変えられない・・
そうでしょ?キトウさん・・!!」
俺はすがるのだ・・ヒトの運命に俺は・・。
「・・・そうだ。ヒトの運命は簡単に変えられることはできない
だが、君にはそれができた」
「・・・!!」
俺にはそれができた・・というの?
俺は・・・。
「だからこそ、グランドクロスが恐らくお前たちが
真実を知るときだろう・・。」
「「「「「・・・。」」」」」
俺はグランドクロスのことが気になった俺は、キトウさんに問う
「先ほども思うけど・・グランドクロスというのは
なんなの?」
すると、キトウはフムっと
「・・国の名前だ。有名だぞ?あそこはな」
「知っている?ノエル?」
ノエルは首を横に振る
「いや、ボクは田舎モノだから知らないよ?」
お手上げポーズ・・どうやらノエルは知らないようだ
ラミアはニコリっと笑って
「うちは知っているで?あそこは、祭で有名な国や」
「へぇ・・祭」
ふと、懐かしくなる自分の国の祭・・。
感慨深くなるな・・俺
ラミアは、そのグランドクロスの祭りについて説明する
「毎度、お祭さわぎの村や・・そこの主が、大のお祭り好きな
ヒトなんや・・で、月ごとに祭りをしているんや」
「へぇ・・・で、その祭の国がなんで?」
そうだ、なんでその祭の国を・・?
キトウは、溜息を吐く
「今年は、その祭が重大な祭りなのだ。たまにあの王国には
くだらなさすぎる祭ばかりだが・・今回はマシかもしれぬ」
「重大な祭り・・・?」
俺はその一点に気になったのだ
「そうだ、グランドクロス・・女神ニルの誕生祭を祝う
特別なお祭りだ」
メノリ・カルディアについては、まぁ・・ただのサブキャラでいたのですが
実はこの物語全体を揺るがすキーバーソン的な存在です。
そんな彼女ですが・・温かい目でお願いしますね~




