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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
7章 ~守護人のささやき~
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少年、再構築された存在

さぁ、始まりました

この人は・・一体誰なのでしょうか・・?

私には伝えなければならないことがある。

それをどうしても伝えないといけない


あの日言えばよかったこと

言えなかったこと


これから起こることすべて

この少年にすべてを託そう


私が知る限り


この少年は、この世界にとってはイレギュラーな存在であるから

すべてを託すには十分だと・・私にはわかっていたから


                 ***


奇妙な空間に俺は目を覚ました

そう・・そこには、女性が俺の前にたっていたのだ


当然、状況も分らない俺はとにかく・・。


「俺は・・どうしてここに?」


顔をあげた・・頭の中は・・なんとなく、理解はできそうでは

あるが・・状況がつかめないのは確かだ


すると、女性は口を開き


「あなたとキトウがあまりにも離れすぎたからです。

 その結果、意識の底まで落ちる所を私があなたを助けました」


その女性は、炎の瞳と淡い緑色の髪をした穏やかな女性だった

その、炎・・赤い瞳は、とても優しげで・・そして寂しげだ


「とはいえ、離れさせたのは私の責任でもあります

 それは、お詫びをしないといけませんね」


「俺を・・あの場所につれてきたのは・・・君?」


そうなのか?

ヤドリの精神世界に関与ができるのは・・この女性なの?


するとニコっと笑って


「はい。そうなりますね・・でも、私があなたをここに呼び寄せた

 ようなものです」


「・・はぁ。」


俺は思わず気を抜いてしまうほどだ

この人は一体誰なんだろう?

俺は初めてみる女性とそして、気になるのだ。


なにせ、興味が出るのは人間として仕方ないことだ


とりあいず、自分のこと名乗ったほうがいいかもしれない

例え、この人が敵か味方かわからなくても

害はなさそうだから・・自分の判断ではどうかわからないけど


虚しくなるのだ・・言っていて

まぁ・・仕方ない


「えっと・・名乗らない方が変だね・・俺は旬です。

 えっと・・貴方は?」


なんだか、話かけづらいな・・しかも、この人ニコニコ笑って

上機嫌だ・・なんかしたのか?俺


「ああ、すみません。口の締まりが悪くて

 私はアデル・ハードと申します。」


「・・・。」


「・・・・。」


無言の沈黙が持つ

なにせ、今この人はありえないことを言ったのだ


「あなたが・・アデル・・さん?」


数秒間の沈黙の後俺は再度


「はい。」


その返事に俺は呆けてしまう

なにせ、死にんがここにいることに驚くばかりだ


慌てながら我に返り


「・・・いやいやいや、あなた死んだっていうか、この世に

 いないでしょ!?」


そう、ツツコミした。

すると、アデルと名乗った女性は冷静に分析しているのか


「そうですね。ですが、人の精神世界ではそうではないのですよ

 思念体というのをご存知でしょ?」


「はぁ・・思念体・・。」


人の思いが宿った集合体・・。

実物を見るのは初めてだ


「・・・し・・信じられない、これは夢だと思いたい

 夢、夢、夢・・」


思わず俺は自分の頬を強くつねる

しかし、精神世界とはいえ

つねると痛いのだ


「いてぇぇぇ」


旬は涙目になる、頬は赤く腫れるだけだ


「夢・・じゃないの・・?」


そう・・気づいたのだ

すると現実を見定めてほしいのか、アデルは淡々と


「残念ながら事実ですよ。夢も何もありません」


そう・・なのか。


「ですが・・精神世界なので、夢と意識の狭間といいましょうか

 明らかにいえば、私はこの世界でしか存在(いる)ことができない

 気弱な存在・・と言いましょう。」


「この世界でしか・・?」


「そうなりますね。”今”のこの私アデル・ハードは

 この精神世界の主・・”ヤドリ”からの記憶により

 再構築と思念体により・・”私”が存在が可能になるのです

 残念ながら、坊っちゃんは私の存在には気づくことはありません」


哀しそうに微笑むのだ


「・・・でも、あなたはずっと・・傍にいたんだ。事実的では」


そういうと・・アデルは心にソッと手を置いて


「そうですね。寄り添うくらいのことです。

 ですが・・私にはそれ以上のことはできません。なぜなら、

 死者は生者に関与はしてはならない。それこそ混乱のたねになります」


「・・・。」


だが、矛盾している。

なぜなら、俺は生きているのだ。


それだと、すでにこの人は生者である俺に話すことじたい

関与していることになるはず


「・・でも、俺に遭遇しているよ?けして交じりあうことの

 ない・・死者の貴方に。」


そして、彼女はふるふると首を横に振り


「あなたは・・私たちと同じようで違う存在ですから」


「同じようで違う・・?」


どういうことだ?


俺はこの世界では違う存在

でも・・同じ・・?


意味がまったく分らない。

いきなりそんな話をされても困る・・。


アデルはそんな俺の瞳を向けた

その赤い瞳を・・。


「・・・貴方は、この世界では”イレギュラー”な存在なのです。

 だから、私たちと同じで違う。この考え・・わかりますか?」


そう謎かけをされる・・でも、俺は一つだけ思うのだ。


「・・・俺が異世界人だというのを・・知っている?」


すると、彼女はパチパチと軽く拍手して


「はい、そのとおり。あなたが私と遭遇できるのは

 この世界では、貴方は住人ではないから。」


俺が異世界人だから彼女のような死者と会話ができるの?

嫌、それだけじゃないような気がする


それだけでは・・可笑しいのだ。

何を・・隠しているの?この人・・。


言い知れない畏怖を俺は感じた。

だからこそ・・聞こうと思った


「あの・・・。」「坊ちゃんのこと」


アデルは遮ったのだ・・俺はハッとする。


「えっ・・。」


「・・・坊っちゃんのこと、ありがとうございます」


「・・・えっ・・。」


それは、優しい母のようで姉のようで慈愛の含んだ瞳


「あなたが坊ちゃんを救ってくれた。

 まさしく、この世界でイレギュラーでありながらも

 加護を持つモノ。だから、貴方は私の呼びかけに

 きてくれた。」


俺は慌てながら手を振り、否定する


「・・・加護!?いやいや、知らないよ。俺。」


加護なんて初めて聞いただけど・・!!

むしろ、加護なんてあったんだ!!


しかも、その加護って何!?


戸惑う俺に、アデルは困った顔をして


「・・・ご自分ではお気づいていないのですね。無理もないかもしれません

 私からはあなたがどのような状態なのか瞳でわかります」


何か・・見えるだろうか。

その・・赤い瞳から。


「・・・。」


「・・人とは違う力が見えるのは確かです。

 あなたはご自分のことこと考えたことありますか?」


そういえば・・ここにきてから自分の魔法以外に考えたことは

あるかな・・でも、そこまで深くは・・ないね。


加護も初めて聞いたし

むしろ、自分は今更だけど脇役程度な存在だと思っていた


「・・・だからこそ、私は貴方に伝えたいことがあります。

 坊ちゃんのことも含めて・・あなたは、信頼できる人

 であることを・・信じて」


信頼されるのはとても嬉しいことだ

でも・・。


「・・・それは嬉しいけど。俺にペラペラ話ていいの?」


すると、心底哀しそうな顔をして


「私にはもう無理なんですよ。思念体があっても

 見えないし聞こえない。動くことができない。

 これから起きることはわかっているのに

 もう手出しはできない。だから、託すことしか

 できないのです」


そう・・この人は、もう・・。

自分で話すことも・・。


俺はなぜか感傷的になった


「・・・。」


「自分でもどういう状況であるともわかっています

 でも、限りなく最悪な展開は・・すでにそこまで来ているのです」


心痛めているアデル

最悪な展開と聞いて俺はピクリっと反応する


「聞かせて・・最悪な展開というのを」


「もう、その歯車はかぎりなく動いています。誰も止められません

 あなたにはその歯車に・・既に巻き込まれていることを・・。

 だから・・私が・・あなたに忠告しようと思ったのです」


「・・・。」


なんだか、自分でも嫌な予感がした

最悪な歯車


どこかで何かが・・始まろうとする音が聞こえてくるのだ。

自分としては気のせいだと思いたい・・旬だった。



作者が考えた内容なので深く考えないでくださいね。

お気軽にそんなものなんだ・・とか思ってください

では、次話で。

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