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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第1章 ~少年、異世界に渡る~
12/485

少年、純粋なる願い・・そして、迷い。

旬の純粋なる願いと迷い。

それが、後に続くのです。

彼にとっての・・ね。

さぁ、続きをどうぞ。


力って、本当に何のためにあるだろうね

俺は、いつも思う

この世界に来てからの力

つくづく考えさせられる

ジンは、俺の力を信じて欲しいと言った

力は、人を幸せにしたり不幸にしたり

そういうことばかりだからだろう

俺、力の意味を知ることが重要なのに・・。

俺には分からない。

たとえ、その力は、果たして人に何をもたらすのかって

この力は、大きく影響をもたらすものなのか

俺が・・俺自身が、その力を有効活用するかによって決まるだから・・。

最強というのはけして公にすることは無いと信じていたい

俺の力は、きっと・・。

ううん、今は考えるのをよそう

俺の前に見えているのは、目の前の敵だよね・・。

敵を倒した後考えればいい

俺の力を。

今は、ただ俺は、自分を信じていたい。

ただ、それだけ・・かな。

                      *********




俺は、目の前にギラギラと光ったナイフと妖怪のような容姿をした

グレムリンの群れの前にきたのはいいんだけど

さて、どうしようか


「俺、魔法しか使えないし・・どうしよう」


俺は悩んだ

どうするかを。

悩みすぎるのも困るものだ


後ろではジンが、俺に対し、助言を言う

悪魔でも俺に加勢する気はないようだ

すこし、恨めしいが仕方がない


「旬、その場合は広範囲で使える術を使え!!」


ジンは後ろで俺に指示をする

広範囲・・。

それを言われてとりあいず、考える

グレムリンはすでに迫っている

時間は無い


「あ~、どうしよう」


俺は、突然のことで頭がすでについてきていない

でも、なんとかしないといけない

このままでは、俺だけでもない・・ジンも・・。


考えて、答えを出すんだ

広範囲で使える魔法を・・。


「旬、お前は使ったことがあるはずだ・・お前が一番良いと思えるものを・・・。使え!!迷うな」


迷うな・・か

そうだ

もう、迷っていられない

俺は、迷うことをやめよう


「もう、ヤケだよ」


そうだ、俺は今までの修行にはたくさんの魔法を試した

中では、使えない魔法もあったし

使ってもまだ制御できない力もあった


「制御・・できない・・。」


そうだ、それだ

制御できないのは手加減ができない力

俺が初めて使って

今まで制御できない魔法だってあった

そして、今でも制御不能なのは


「・・決めた」


バチバチっと手が光だす

そう、俺はジンと初めて会った時

制御すらできない力があった

そう、あの日使った

はじめての技

俺は、その力こそこの場に使うことが一番かもね。

火や水の魔法でも良いけれど

俺が一番馴染みが深い技だ

そして、得意属性だ。

そう、俺が使うのは・・。


「・・俺に力を貸してくれ」



その途端、グレムリンが迫っていく

旬は、もう迷っていられなかった

当たりには、暗雲が漂う

手からバチバチっと光で覆われる



「雷よ、こいつらを倒せ」


「サンダーボルトォォ」



その途端、落雷がグレムリン全体に、響き

バチバチ・・ドカーンっと鋭い音を立てる


「ぐぎゃぁ」

「あぐぁぁ」


ドサドサっと次々と落雷が落とされることで即死になり倒れる

勝負はすべては一瞬だったのだ


「・・・」


もう、倒れてはいないと思った

これで安心。と思ったのが俺の運の尽き

何事もそれで終りでは無いのだ

油断は禁物。

安心をしていけない

そう、その甘さが自分自身に返ってくる

俺は、自分に迫る危険を気づいていなかった


「え・・。」


その時、旬の目の前に迫っていた

当然、気づくはずもない

なぜなら、それは死角だったから。

俺の見えない死角に一匹だけ迫っていた


「ぐがぁぁぁ」


その声で俺はハッとして振り向いた

グレムリンが俺のすぐそばに近づいていたことを


「うわぁぁぁ、いつのまに!!」


一匹のグレムリンが旬の前に、来る

旬は当然、術を唱えた後だから

動くことができない

それが好機だと思ったのか

グレムリンは旬に容赦なく振りかぶる

当然、防御なんてできるはずもなかった

俺は、その時、本当に死を覚悟した

目をつぶり痛みを感じないように


俺・・死ぬの?

そう覚悟をしたとき


ガチンっと、何かが遮る音がした


「・・?」


おかしい。

痛くない・・?

俺は、まだ痛みがやってこないことに驚いた

そっと目を開けると


「・・危なかったな」


ジンが、ナイフを剣で受け止めていた。

そして、素早い攻撃でグレムリンを斬り倒していたのだ

そのあまりの速さに俺は、本当に自分が危なかったのを知る

危機一髪だったのだ・・。

俺は、良かったと思う同時に、身体の力が抜けた

それは、そうだろう

なにせ、死の覚悟をしていたのだったからだ

そして、その死が訪れなかったことに安心して

身体の力が抜けたのだった


「ありがとう。ジン」


旬はジンにお礼をいうと


「気にするな。術を唱えている時の魔法使いは、無防備だからな。

 万が一と思い。お前のそばで待機をしていた」


その当然のことをいうジン

旬は、その様子をみて気づく

そうか、ジンは心では俺を応援していたけど

どうやら、俺のことを心配していたんだな

俺は、心強い味方に感謝した

ジンがいなければ今頃俺は・・。

いや、考えるのはやめよう

いや。はっきり言う・・考えると怖い。

どこまでも旬は旬だった


ジンは、あっという間に倒れたグレムリンを見る


「しかし、お前の魔法を強くなったな」

「・・そうなの?」

「ああ、前より格段だ。」



そう褒めてくれるジンに俺はうれしかったが

それよりも、俺は自分の力が怖くなった

この無数のグレムリンを倒した自分に


「・・俺。怖いよ」


無数のグレムリンが倒れているのを見る

もうすぐ消滅を迎えるようだ。

俺は、その姿を見て自分の力に恐怖をだく

そして、自分の力に対して畏怖を抱いた。

前々から、感じていた違和感だったのだ


「・・。」

「俺、先程、自分の死を連想したんだ。だけど

 もっと先に、このグレムリンに強い殺意を感じた

 そう、やられる・・だからやりかえした」


そう、俺はグレムリンの殺意と俺自身の恐怖

殺される恐怖と殺す側の複雑な気持ち

それよりも、自分がやらなければやられる

それが混じりあった魔法だったのだ


ジンは、旬の告白にただ


「・・そうか。」


肯定もせず否定もなく

ただ、聞く


「これが、人だったら・・と思うと怖い。」

「・・・。」


そう、俺が恐怖に感じているのはモンスターだったから倒せた

俺はつよい殺気に負けて、倒してしまった

でも、それがもし人だったら・・?

手加減すらできやしない今の俺

人を死なせてしまうという畏怖が心のどこかにあった

それが今、一番恐ろしい

俺がうつむいていると


「大丈夫だ。」


俺は、顔をあげた


「・・ジン?」

「お前は、優しい。自分の力を悪用に使わない正義がある

 お前ならきっと本当の力っていうものに気づく」

「・・・できるかな?」


俺は自身がなく呟く


「できるさ。お前は人を思いやられる心を持っている

 あの時、死にかけた敵の我を救ってくれた。敵なのにな

 俺はお前の優しさとそして強さに救われたんだ」


ポンポンと頭を撫でられる

ジンは、本当に優しいと思う。

俺は、涙が出た

今の自分は、自分に対しての力に恐怖を湧いている

自身がないのは、いつか自分が変わってしまうのではないかと

それ以上に恐ろしいに対してだ

だからこそ、俺にできることだってある


「俺・・強くなるよ」

「そうか」

「うん、正しい魔法を使えるようになる。その力が優しさになるのなら

 俺は、自分自身に強くなりたいよ。」

「・・・そうだな。お前ならできる」


やられる前にやれ

それは、この弱肉強食の世界では当たり前だけど

俺は、そうではないとその時思ったんだ

強い力は、飲み込まれることがある

それで俺はいつかどうにかなってしまう状況へと

陥ってしまうことだってもしかしたらあるかもしれない


RPGの世界でもそうだ。

善人が突然悪人になるのはそうやって

自分の力に苦しみ

そして、どうにもできない状況に悩むことだ

俺も力による畏怖を抱いていた

ルストを倒した時もそうだった

心のどこかで怖かったのだ・・自分の力に

だからこそ、その時決心したんだ


その区別を見極められる魔法使いになることを



その時、キラっと辺りが光る

消滅したグレムリンからはたくさんのルナがキラキラ光る

俺は、そのルナを拾うために、座り込み一つ、一つ。数えながら

袋にいれる。ジンは俺の隣に座り


「一つだけ、旬。覚えておけ」

「え・・。」


ジンは俺に向かってこういった

それはとても嬉しい言葉

おれが一番聞きたかった言葉だった


「一人で抱えこむな。お前は一人ではない。

 俺達は仲間だろ?」

「・・・ありがとう。ジン」


一番聞きたかった言葉だった

俺は涙を拭きジンと俺はもくもくとルナを拾う

俺は、どこか、安心した

仲間がいることに

一人ではないことを

抱えこむ必要性がないことをジンは俺に教えてくれた

俺は、俺自身に勝ちたい

今は弱い俺だけど・・

いつか、強い俺になれることを願いたい

ルナを皮袋にいれた俺は、立ち上がった



「行くか。」

「そうだな。」


街へと向かった俺たち

もう後戻りもできやしない

それは、新たな決意と共に

俺は、その街へと

ジンと共に

足を踏み込んだのだった・・。


旬は、とても優しい性格をした少年です。

優しいからこそ、残酷でもある

同時にそう感じられるからでもあります。

とりあいず、これからも少年~シリーズをよろしくおねがいしますね

では、また次話で。

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