少年、ふたたび座敷牢
旬たちはこれからどうなるか必見です。
遠いどこかの記憶
俺っちはまた一人とぼとぼと歩いている
「・・・。」
後ろを振り返れば
たくさんの人が血を流している
俺っちの瞳から流れる涙は
何の意味がある・・涙だっただろう・・。
昔のことだから、もう思い出す必要性は
ないのかもしれない・・。
でも・・時折・・俺っちはその夢に今もうなされるのだ・・。
****
座敷牢の中で、ラミアとノエルが騒いでいる音が聞こえる
「ちぃぃぃ、あのおっさん、人の話全然聞いてへんし
腹が立つなァァァ」
騒ぐラミア
それに乗るのはもちろん、ノエルだ
「そうだよ、あの悪党顔ぉぉぉ、この恨み孫の孫の孫のそのまた孫までゆる
さないだからぁぁぁぁ」
ノエルも同様に牢屋をガンガンっと叩いてある意味痛々しい
なんだか、女って・・。
とりあいず俺はツツコミさせてもらうのだ
「なに、その孫の孫・・しかも、そこまで続くまで恨み
あるの?!」
すると、ノエルはヴッと怯み
「ヴっ・・。」
ジンは、真面目に言うのだ
「むしろ、その孫までが覚えているかどうかだな」
「大体孫の孫・・と言われてもノエルの子孫がそこまで覚えているか
どうかの話だよ・・と俺は思うよ」
するとノエルは
「大丈夫伝承とかにするから」
「伝承って・・・なんだか嫌な響きだね・・。」
そんなツツコミをしているなか、
ジゼルは地面に寝転がって深いため息を吐く
「はぁ~それにしても・・おれさまたち、みごとにはんにんあつかい
されているな」
そうなのだ、何故か知らないが自分たちが犯罪者になってしまった
そのせいか、座敷牢へ直行真っ直ぐだ。
「そうだな。あれ以上に我たちを犯罪者に仕立てられるとは
面白いことだ。」
ジンはある意味、面白そうに笑っている
なぜか、その笑みは笑っていないように見える
仕方ないこと。
あの男の推理だっけ
まさに、当てずっぽうの答え
俺たちが共犯者ねぇ・・。
なんだか、これって誤認ってやつじゃない?
すると、前から声がする
どうやらジゼルとジンが何か話しているようだ
「で、こわせそう?このろうや」
すると、ジンは首を横に振る
「・・無理だな。我の剣でも貫通はできそうもない
だが、剣はないから事実上は分らない」
「・・そう、ね、しゅんは?」
「・・どうだろう。多分、かなり高位魔法を使わないといけない
みたい・・けど」
ヴ~ンっと考え込む旬に
「・・杖が・・ないんだ?」
そう実は、俺たち全員の武器がやつらに取られてしまったようだ
話では、昔武器を取らないまま牢屋に押し込んだ結果
逃げられたようだと聞いた
だから今度こそは・・というわけ
「そういうこと。でも、杖がなくても魔法は使えるけど
高位魔法は難しいかな。別に高位魔法使えるは使えるけどね・・。」
ジゼルは落胆してゴロゴロと転がる
「あ~あ、おれさまたちどーなるだろう。
いっしょうこのままか!?」
「それはないよ・・・多分」
「随分曖昧だな。旬」
「俺だって、曖昧じゃないと・・色々困惑ばかりだからね」
そして旬は目を伏せる
まぁ、いずれにしろ
それは、すぐだろうと思う。
釈放はおそらくないとおもうけどね・・。
そういえば・・。
いつのまにか、ラミアが叫ばなくなっていた
「もう、叫ばなくていいの?」
そこにはへばっている座り込んでいるラミアたち
「・・・ああ、疲れたんや。さすがに聞いてくれる相手おらんしな」
「ボクも・・少し休もう」
そういって二人共、脱力している
どうやら叫びすぎて疲れてしまったようだ
ラミアは俺を見るなり
「・・・旬、どないするんや?」
「ん・・どうしようか。」
俺は考えこむ・・なにも思い浮かばない
「プランなしやな・・。」
そう、突然のことだから俺には策がなかった
しかも、武器まで取られるし
どうしようかな・・本当に
すると・・
「ごめん・・皆、俺っちのせいで」
そこには、ふさぎこんでいるヤドリがいた
落ち込んでいるのか、辺りが暗く見える
やはり、先ほどの人物とは全然違う
本当にどちらがヤドリなのか・・ね。
とりあいず、俺は慰めることにした
「いや、俺たちは対して気にしていないよ。
ところで、爆弾を造りあげたのは君じゃないんだよね?」
すると、ヤドリは真面目な顔になり
「・・当たり前さ、俺っちはそこまでしないよ。
だけど、俺っちではないとしたら一体誰が・・?」
そう、ヤドリではないとしたら別の誰かとなる
それが、誰なのか
「ヤドリの他にもアイテム合成できる人いるの?」
「ああ・・どうだろう。わからないな。」
「分らない?」
「・・そう、色々と・・ね」
どうやら、何か訳があるようだ
「・・・。」
「・・まぁ、俺っちもアイテム合成ができるけど
まぁ・・たまたまその才能に恵まれていただけのこと」
「たまたま・・。」
「・・俺っちはただそれだけの存在なのさ
才能があっても誰からも見向きされもしない」
「ヤドリ・・」
「けど・・。」
ヤドリの頭に一瞬、見えたのは笑った人物が見えた
「ただ一人だけ俺っちを認めてくれたよ
どんなに厄介な存在だと分かっていても
俺っちを俺っちだとみてくれた」
幼いあの日、確かにいた
俺っちを信じてくれた
「・・・まぁ、所詮、昔の話だけど・・。」
それが過去と言ったヤドリ
どこか、痛々しい姿だった
その時、俺の前にいたノエルがニコっと笑い
「ねぇ、ヤドリちょっといいかな?」
「なに、姉さん・・いや、ノエルさん」
慌てて訂正するヤドリ
ノエルはあいからずほえほえしている
「君自身のことでボク気になったことがあるよ」
「なになに、惚れたとか?」
「・・・そんな話じゃないよ」
ぶすっと頬を膨らませる
「どうしたんや?」
「ん、皆これみてよ」
ちょっとした回想を話を始めるノエル
いや、映像だ。
(パラサイトのくせに生意気な!!)
とシドウの台詞
そして、対するヤドリの台詞
(ふっ・・俺っちのアダ名を言うとは・・俺っちは少なくとも
名を残せそうだね・・ふっ。)
ノエルがどこから出したのか映像を見せるのだ
ってか、これ何?
「という、君とのやり取りのなかで気になった言葉
”パラサイト”」
「ってか、どうやったのそれ」
「そうだぞ!!ノエル」
俺たちがその謎を聞こうとすると
ノエルはにっこりとほわほわほわと笑い
「まぁ、こまかいことは気にしないで
で、結局どういう意味なの?」
こまかいところ・・って
色々気になるですけど・・!!
しかも、俺たちを黙らせるような笑顔
なんだか、なぜか恐怖を感じるのだ
ヤドリは、ただ黙るばかりだ
「パラサイト・・寄生虫って意味やな」
「そう、寄生虫。だね・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
黙る俺たちすると、ヤドリがハハッと笑うのだ
「どうやら、俺っちの名は、皆までは知られていなくて
よかったようだ・・。」
「ヤドリ・・?」
「俺っちは、生まれてきてはいけない
厄災そのものだった。」
「普通だろう・・お前は?」
「・・・まぁね、普通だよ。でも、体質がそうじゃなかった」
自分の身体に触れるヤドリ
それは恐れ
震え
知られたくない何か
それは、どこまでも謎が深い
「・・・どういう意味?」
ヤドリはなにも教えてくれない
むしろ、教える気はないようだ
ただ、笑うだけだ
「・・いずれ・・わかるさ。俺っちは普通じゃない
けど、普通でありたい」
「・・・。」
それは、何かの願望だった
「ヤドリ・・?」
「・・・。」
その時、ガタンっと何かが音がした
「ん?なんの音だ?」
ジンがその物音に反応する
「な、なに」
ジゼルは思わず俺の裾を掴む
「誰や・・。」
すると、フォフォフォと声がした
その声は、どこかで聞いたことがあった
「・・・フロウ・・さん」
そこにいたのは、相談役である
フロウの姿だったのだ・・。
ノエルは動かしやすいですが、暴走キャラになります
当初はそうじゃなかったですけど・・。
まぁ、こちらも温かい目でお願いしますね・・。




