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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
7章 ~守護人のささやき~
116/485

少年、呪われた一族

さぁ、116話めです

そういえば、私現在、昨日から連載中のラミアの物語をしていますので

ぜひ、そちらにも目を通してくれたらうれしいです。

では、どうぞ。

開けて、開けて


ドンドンっと幼子が泣き叫びながらドアへと助けを求める


「お前は、厄災の子だから」


「ここは開けないよ」


「だって出たら・・厄災が起こるから」


「可哀想に呪われた一族なんかに生まれていかなければ

 幸せだっただろうに」


「哀れな・・。」


そんな、くだらない理由で・・俺っちを・・。


俺っちは涙を流した


開けて・・開けてよぉぉ


幼子は泣きながら苦しみ続ける

その時、ドガっと音がした


何かの音だ


「大丈夫ですかい?ぼっちゃん」


「・・・きてくれたの」


すると、ニコっと笑って


「はい坊っちゃん。私は坊っちゃんを信じていますから

 さぁ、帰りましょ。」


「ありがとう」


どんなに厄災の子だって言われていても

あいつだけは俺っちを信じてくれた


だけども・・それは遠い昔の話だ・・・。



            *****



「なに・・呪われた一族って」


不吉な言い方だ。


「キトウはんでもそないなこと聞いたことはないしな」


ラミアでも聞いたことのない言葉に少し疑問と疑惑が交わう


ヤドリは得意そうに笑い


「ふふん・・当たり前さ・・だって、そのことを口にだす

 ことは守護人としてルール違反。俺っちの集落の外では

 気味悪く俺っちたちを・・そう呼ぶのさ」


ふふっとただ笑うだけだ。

でも、どこか冷たいのはきっと気のせいではないのだ


「ルール違反・・ってあったんだ」


「当然さ。なにせ・・守護人は人の上に立つものだから

 だから、そんなくだらないこといちいち気にしていられないのさ

 まぁ・・俺っちは、それより遥か上にいく・・存在だけど」


孤独・・。

哀しみ


ヤドリは、どんな少年時代を送っていたのだろうか

この軽そうな性格をしているけど

本当はとても優しくて

そして、臆病だ。


だからこそ、どちらが本当のヤドリか分らない


人は表裏一体・・どちらにせよ

同じような存在


表と裏の存在があっても丸め込んで”自分”となる


だからこそ、その存在こそが・・。



「俺っちたちは、徳は神の恩恵・・そう、だからこそ、争いが起こる

 力は力により・・ねじれる。その結果、厄災だけが

 俺っちたちを襲い続け・・やがて悲劇は続く。

 それが、知らぬ人はいない。」


「そんな・・。」


悲痛の声が聞こえるのだ

ジンはその考えに一理あると思っているのか


「・・まぁ、確かにな。無意味な武力も所詮は力

 権力・・その力に逆らえない人間は星程いる。

 それは、当たり前だな」


上と下・・それは、どこまでもしがみつき

どこまでも、それに苦しまされる。


「まぁ、呪われた一族に生まれた俺っちも結局は

 ”呪われた子ども”カエルの子はカエルなのさ」


そういってカラカラと平気そうに笑うヤドリ


「・・・だから、嫌悪対象の俺っちには存在なんてない。」


そう・・呟いた声は悲痛よりも苦しみだった。


「・・・でも、結局は会いにいったでしょ?父親に。

 どれほど、嫌悪があろうがね。例え呪われていても。」


ノエルが聞くとははっ・・と笑いやがて

俺たちを見つめる瞳はいつものヤドリに戻る


「・・・・やはり、あんたらは俺っちの心をかき乱すさ

 本当・・あんたらのこと嫌いになれない・・なりそうもないね」


どこか、笑いを耐えている

でも・・キトウさんに会わせてあげたいのが本当の俺たちの気持ち


「呪われた一族から追い出された俺っちは清々しているさ

 だってさ、母親も呪われた一族の嫁入りしたんだから

 母親も清々しているのさ。」


そういっているが、どこか寂しげだ。

ラミアもわかるのかしょげた顔をして


「でも・・あんさん寂しそうや」


「そうだよ・・なきそうなかおをしている」


ラミアとジゼルの指摘に頬に手を当てるヤドリ


「俺っちが泣きそうな・・顔をしているのかい?」


本人は気づいていないようだ

でも、涙が溢れているように見える

きっと、錯覚だと思う。


「会いにいったほうが後悔しないはずだよ・・」


「ノエル・・?」


「・・(あね)さん・・?」


すると、ノエルは苦笑して


「だから、(あね)さんと呼ばないでよボクは

 ノエル・・そう、名乗ったはずだよ?」


「・・。」


かぎりなく、訂正し、そして・・。


「君は君自身が遅いといったよね・・でも、まだ・・

 遅くないのだよ・・ヤドリ」


「えっ・・。」


「そうだな・・お前、悩んでいるより行ったほうがいい

 それこそ・・本当に、いいはずだからな。まぁ、我は

 遅かったけどな・・でも、お前はまだ遅くないのだから」


思い浮かべるのは、最後は死んでいった王の・・父の背中

一人になった・・自分とヤドリを重ねているジン


そして、見つめる瞳の中・・


「そうだろうか・・俺っちは遅くない?」


「まだ、引き返せるよ・・・遅いとか本当は俺でもどうでもいいんだ」


「・・旬・・?」


「・・本当に伝えたいことを言わないときっと後悔する」


そうだ、伝えたいことがあるなら言わないといけない

その時後回しにして結局は伝えられずに終わってしまう


そこで、終われば・・もう、その時間は戻らない


「本当は、キトウさんに薬を渡そうとしたのでしょ?」


そう、もしそうなのなら

ヤドリは、父親のために薬を渡そうとした

でも・・。


結局は渡せずに終わった

追い出されて・・俺たちに出会ったのだ


「ありがとう・・。」


そして、俺たちはただその手を差し出すのだ


「さぁ、キトウさんところに行こう」


まだ遅くないと信じたい

それは、俺たちの願いだからだ


ラミア、ジン、ノエルは家族はいない

ジゼルは、人から捨てられたことがある

それでも・・今を信じようとしている


だからこそ、心身になれるどこまでも・・。


俺たちはすぐ下山して

まっさっきに屋敷へと向かった


「もうすぐやな。」


「ドキドキするなぁ。」


なぜか俺たちの方がドキドキしていた

胸が高鳴るってやつだろうか・・?


だけど・・思いがけない方向へと事態は進む


「ヤドリ・・大丈夫か?」


「お・・俺・・っち」


口ベタなのか顔を真っ赤にして緊張しているのが分る


「あかん、緊張しているなぁ・・でも」


ヤドリの様子に俺たちは嬉しかった。


なんだろう・・報われない気持ちに昇華できそうな気がしたのだ

それは、皆同じなのだ


そして、また屋敷につくのだ


「・・ん?」


「どうした・・ジン?」


「・・風が変わった・・。なんだ・・この異様な風は」


その呟きは何か嫌な予感の合図だ

次に様子に気づいたのはラミアだ


「なんやろう・・屋敷がえらくバタバタしとるわ」


ラミアは首を傾けている


「まぁ、ええな」


「だね、ヤドリ、早く」


「あ・・ああ」


屋敷の中に入った途端


上から何から降ってきたのだ

しかも、それは・・。


「うわぁ・・な・・なんやこれ網や!!」


「違う、罠用の網だ!!」


どうやら俺たちは罠用の網に引っかかったようだ


「ええっ、おれさまたちなにかしたっけ!!」


あわあわそれぞれが抜け出そうと必死だ

だが、動くことができない


その時・・


「こやつらだ!!ひっとらえろ!!」


その声に旬たち全員が反応する


「な・・誰?」


「あいつだよ、俺っちを追い出したのは」


「じゃ・・あの人が・・シドウ?」


「そうさ・・。」


そこには、拳法着を着た、若い男だ

だが、異様に目つきが鋭く

そして、なんだか話が通じなさそうな人だ


「な・・なにするんやあんさん!!」


「そーだよ、ボクたちはただキトウさんに会いにきただけなのに」


すると、黙っていた男が一口話す


「今、重大な危険物を見つかったのだ・・だから捕獲したのだ」


「「「「「「危険物?」」」」」


見せたのは・・。


爆弾だ・・しかも、それはこの屋敷より集落一つを爆発させる

ことが十分な量だ


「ば・・爆弾・・だね」


俺たちは冷や汗がでてきた

いや、なぜ冷や汗がでくるのか分らない


けど、なんだか嫌な予感がするのだ


「ま・・まさか」


俺はかなり嫌な予感がした。

ニヤリっとシドウは笑い


高々に宣伝するのだ


ビシィっと指を俺たち・・特にヤドリに向け


「この爆弾を持っているのは、ヤドリ・・貴様の

 アイテム合成よりできるものだ!!よって

 守護人を殺害しようとしている・・犯人だ!!」


「はぁ・・俺っちが!?いやいや、俺っち

 アイテム合成はお手のものだけど

 爆弾なんて造った覚えないよ!!」


ヤドリは自分自身に指を指し、戸惑っている


「いや、お前しかできんことだ!!」


そう断然するのをみてラミアがムカムカしてきたのか


「だから、なんやねん!!爆弾とはいやヤドリが

 そないなことをするわけないやろがぁ!!」


「そうだよ!!なんか理由とかあるなら分るけど!!」


「ふん、簡単だ。このモノは、守護人や我らを恨んでいた

 なので、爆弾を使い我々を殺そうと考えた

 恐ろしい犯罪者よ」


「な、あてもない推理やないかぁぁぁ」


ラミアが叫ぶ

自身満々で推理しているが、一つも当てはまっていないようにみえる


「・・・思い込み激しいね・・あの人」


そう呟く俺・・しかし、コソっと話ているのだ


「うん・・そうだな、はずれすぎるぞ・・あれ。」


ジゼルと俺はコソコソっと話す


尚も自身満々に推理を続ける男シドウ


「そして、極めつけはお前たちだ」


「はぁ!!ボクらが!?」


当てもなく犯人扱いされる俺たち

しかも極悪人にされている


「お前たちはヤドリの共犯者だ

 だから、犯人は現場に戻ってくる

 この推理小説に書いてある!!」


バンっと出されたのは・・推理小説だ。

しかも、何気に俺たちも犯罪者になっているのだ


「・・・なんだろう、あんなにドヤ顔されても困るよね」

「ああ・・恥ずかしいな、推理メチャクチャだしな」

「的外れもいいことだよね・・ボク、気が滅入るよ」


上から、旬、ジン、ノエルの順でコソコソと話している

だが、ラミアはどうなのか

かなりキレているのがわかる


そしてチッと舌打ちして


「・・・またかい。本当に吐き気がするわ。おっさん

 まだここにおったことか、うちを暗殺者に仕立ておりながら

 のうのうと・・!!」


それを見たシドウは、ほぉっとまじまじとラミアを見て


「ほぉ、その声は3年前のあの小娘か・・!!」


すると、ラミアを思い出したのか、鼻で笑う

ラミアの怒りは燃える


「14のうちとはちゃうで・・また”誤認”と”誤解”を繰り広げる気か

 おっさん!!」


「おっさん!?お兄さんと呼べ!!」


その言葉にラミアはさらなる怒りを持ち


「あんたなんか、おっさんで十分やぁぁぁ!!」

「なんだとぉ、小娘がぁぁぁ連れてゆけ!!」


その声に、後ろからキトウが重い身体のまま


「シドウ、この人らは・・おいの客人だ!!」


「・・キトウさん!!一体・・!?」


「守護人、このものたちはあなたさまのお命を狙った悪童らで

 しかも、なんと犯罪の片棒を・・。」


「そ・・そんな・・・ヤドリ・・お前・・まさか」


「・・。」


ヤドリは、傷ついた顔になるそれを見たジンが


「キトウ!!お前・・我たちを犯罪者としてみるのか!!

 そして・・ヤドリをお前は・・!!」


「それは・・。」


どこかうろたえた顔だ


「ふん、この者は、犯罪者だ、守護人口を出したらいけません!!」


「嘘やで、あんたの口からでまかせやねん。この悪党がぁ」


「そうだよ!!ボクらはそんな悪党じゃないって・・おじさん

 あんたの方が悪党な顔をしているよ!!」


ラミアとノエルは、ヤドリを守ろうと必死だ。


「いじわるがお!!」


「悪党!!」


ノエルとジゼルが交互にそれぞれがギャイギャイと騒ぐ


「そやそや、もっと言ったれやぁぁ]


ブチブチっと怒りの忍耐の尾がシドウから切れる


「きさまらぁぁぁぁぁ」


すると、ノエルの前にきて平手うちしようとしたのを


「うわっ。」


「ノエル・・!!」


「ダメだよ。シドウさん。女の子に手をあげちゃぁ・・。」


「き、貴様ぁぁぁ」


ヤドリが止める、ニヤリっと笑うのは悪徳に見える


「シドウさん。俺っちを捕まえて何するきか知らないけど

 俺っちは、けしてしていないよ・・それだけは断言するさ」


「パラサイトのくせに生意気な!!」


睨みつけるのをみてクスリっと笑う


「ふっ・・俺っちのアダ名を言うとは・・俺っちは少なくとも

 名を残せそうだね・・ふっ。」


怪しげに微笑むヤドリ

その笑み酷く冷たくて・・冷酷だ。


「昔は・・優しかったのにさ・・シドウ。

 残念だよ・・。」


その声と共にシドウはやがて


「連れていけぇぇぇぇ」


その時、見えたのは・・。


「親父・・。」


なにもいえない・・キトウの姿だった


俺たちはまた・・同様に連行されていくのだった


その途中に・・激しい罵倒が続く

まさに、犯人のような言葉を使う二人組がいた


「くそっ、覚えておけぇぇぇ、おっさんがぁぁぁ」

「ちぃ!!ボクたちを敵に回したこと後悔しとくがいい!!」


そう叫ぶのはラミアとノエル

どこまでも、怒り狂う二人だ


「ごめん、旬。」


「いいんだよ・・俺としては気にしてなんかいないさ

 でも・・。」


連行される前にみたのは動けない・・キトウの姿だ


「・・。」


どこか傷ついた顔

どこか情けない顔


ジゼルはおろおろと心配そうにしている


「おれさまたちどうなるんだ!?」


「・・・大丈夫だよ・・多分」


向こうではラミアとノエルがギャァギャァと叫んでいるのが見える

女はやはり強いと感じられる一瞬を俺は見たのだ


そんな、中、ジンだけは酷く空を気にしている


「・・ジン?」


「・・風が変わったな・・また・・変革がくる。」


「変革・・。」


すべては・・また始まるのだ

変革はもうすぐにそこまできているのかもしれないのだ・・。



え~旬たちは座敷牢に連行されましたね~

冒とくのセリフといい

旬たちはまだまだ何か陰謀へと核心に入りますね~

では、また次話で

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