旬の想い
今回は旬の気持ち編です
ではどうぞ・・。
一筋の涙が旬の頬を濡らした
それに慌てたのはラミアたちだった
「し、旬・・あんさん泣いているんか・・。」
(ドコカ、イタイ?)
ラミアとアニマが俺の傍に来て
心配そうな顔をする
すると、俺は胸を抑える
「ああ・・なんでかな・・分らない・・。」
一筋の涙は・・止まらない
どうして、こんなに涙が溢れるのか
俺には分らない
「幼馴染に会えたんやろ・・?
なんで旬・・泣いているんや」
「そうだぞ・・そういう時はうれしいじゃないのか?」
ジンが俺に問う
嬉しいのだろうか・・?この涙
でも、俺が流している涙は何なのか理解できそうもない
俺は自分の手を握った
「本当に分らない・・なんでだろう・・
どうして涙を流すのか分らない。
俺は、アイツに何があったのか・・
会って話したいこともあるのに・・。」
どうして涙があふれるのか分らない
俺には何か忘れていることがあるだろうか?
「だけども・・あいつは・・もしかして
俺との敵対な関係になったのかもしれない」
「旬・・。」
ラミアは困惑するのだ
なにせ、あの出来事からラミアですら、忘れそうもない
なにせ、誰も動くことができなかったからだ・・。
旬はあの出来事見ていないとはいえ、混乱しているのだ
幼馴染がこの世界にきていること
その幼地味が、敵同士になることを・・。
ノエルはそんな俺に布を渡す
多分、ハンカチの代わりだろう
俺はぼやけた顔でノエルを見た
ノエルの瞳は・・とても慈愛があったのだ
「旬・・千里さんは・・とても優しかった。
いつも君の話ばかりだったよ。時折、それで嫉妬
したこともあった・・でも、君自身に出会えて
ボクは・・なんとなく千里さんの言う君に・・
酷く感謝しているんだ」
「・・ノエル。」
それはきっと、ノエルにとって忘れられない出来事になっただろう
だからこそ、今のノエルもきっと・・混乱しているはずだ
「どうして、千里さんは、旬の傍にいることなく
消えたのか分らない。もしかしたら、敵かもしれない
味方かもしれない・・分かりそうもないすべてに
ボクも混乱している・・だけども、君は・・
混乱より先に・・逃げようとしている。」
「・・・。」
図星だった・・。
混乱と苦悩
それがせめぎあっていて
忘れたくなる・・。
そんな不安な俺にラミアはなんとかしようとするが
「ノエル・・けど・・」「ダメだよ・・ラミア」
ラミアは何かを言おうとするがそれを遮るノエル
首を横に振って静止する
「旬がいつかぶっかる壁なんだ。今・・聞いておいた方が
一番いいかもしれない」
「ノエル・・そやな・・。」
ラミアは仕方なさそうに引いた
険しい顔で俺を見つめる瞳
試されているみたいで居心地が悪い
視線だってかなり強くて・・痛い。
今の俺は・・答えを出せそうになかった・・。
だから・・今の気持ちを言おう。
「・・・わからないんだ。
どうしたらいいのか・・俺には分らない
俺は・・信じていいのだろうか・・。」
どうして、俺に会ってくれずに終わっただろう
迷いばかりで・・考えがまとまらない。
そんな、俺に、ノエルはフゥっと溜息を吐いて
ポスっと頭を撫でるのだ
「君は今、とても長い悩みを抱いている・・きっと
これからもその悩みは続くと思う・・でも
でも・・あの人は・・旬、君のことを心配していたからこそ・・。
信じてほしいんだ」
しっかりとした瞳でノエルは俺の肩を強く掴む
俺は・・混乱よりも動揺が招いた
「ノエル・・。」
だけども、ノエルは、ほがらかに笑い
「君の涙はきっと・・千里さんのために流した涙だ。
心の中ではきっと・・千里さんを信じている。
そうでしょ?」
その言葉で・・俺はなんとなく心にけりがついた
そして気づけば涙は止まっていた
おれは、布で涙を拭った
まだ、答えは出ない
でも・・分ることはたくさんある。
「今は・・分らない。俺の中でも考えがまとまらない
でも・・・一つだけ・・俺は・・あいつが何か意味が
あって俺の前に来て・・俺を守ろうとしてくれた。」
あの時の声は・・千里の声だった
(大丈夫・・旬・・・が・・いるから)
(・・・が・・・って・・・やるから・・)
聞き取れなかった言葉もあったけど
今は・・それで十分だ。
「そっか・・。」
ノエルはそれ以上は何も言わなかった
きっとノエル自身も迷っている部分もあるだろう
アイツの優しさを知っているからこそ
「・・これ以上、この話をするのをやめよう」
「旬・・。」
「なんか・・頭がグチャグチャで・・駄目だね・・俺」
「・・・。」
もう、頭の中はグラグラする
辛いとか・・そんな言葉以上に
どこか・・痛かった。
そんな旬の様子に誰も何も言えなくなった
誰もが静寂する
それは、どこまでも・・。
そして、ラミアはそんな沈んだ俺に
「ほな。ここで終いや・・ええな」
「・・ラミア」
ラミアはニコっと笑う
それは、どこまでも優しかった
「この話は終わりや。今は考えても一緒や?
そうやろ?」
「・・・ありがとうラミア」
この話は一端、お預けになりそうだ。
色んな思惑があって
俺の頭を混乱させる
今はまだ・・きっと、早いかもしれないのだ・・。
この話題は・・いずれ。
また・・。
パンパンっとラミアが手を叩く
ラミアなりにこの沈んだ空気を元に戻そうとしているのだ
優しいね・・。
「さて、話は変わって、村の状況やけど」
ラミアが切り出す
そして、俺たちは、別の話題へと入る
強制的だけどね・・。
そうしないと、お互い辛いのは分かっているから・・。
そういえば・・あの後、どうなっただろう
村から追い出されなくなった・・って
「そういえば・・。俺が寝ていてあんまり知らないだけど・・
あれからどうなったの?それに、ノエル」
「え・・あ、それはね・・。」
ノエルが話そうとすると
「ん?」
俺は思わずノエルの顔を凝視した
あるものに目がいったのだ
「どうしたの?ボクの顔に何かついている?」
「ノエル・・顔のあざ・・なくなったね」
何故なら、ノエルの頬にあるべきものがなかったのだ
すると、ノエルは左頬を触り
「あ・・そうだね。ボクの呪い・・あいつが消えたから
もうないんだよ・・それは、村も同じように・・。」
そういってあざをさすり続けるノエル
「村も?」
俺もコテリっと首を傾けると、ジンが代弁する
「不思議なことだが・・あの、村長がいなくなった途端
皆・・洗脳されていたみたいに酷くおとなしくなったんだ」
それに、同意するようにジゼルが言葉を放つ
「おれさまもおどろいた。あんなに、しょうかんじゅうをどれい
あつかいしていたのに・・きゅうにやさしくなったのが
いちばんおそれた」
ジゼルですら、驚いているようだ
「ほんまにそうや・・まるで、悪夢が見ていたような気分や
反逆的なやつらも随分大人しくなってうちも驚いたわ
気味が悪いほどな」
ラミア達は悪夢を見ていたと言った
果たして・・あの村長と名乗った人物は何者なんだろう
強い魔法を使って
尚、支配できる人間・・。
どこまでも獰猛で恐ろしい人だった・・。
ノエルは、そんな俺の様子を見て
「あの人は召喚士ではない・・と旬君は思っただよね?」
ああ、と俺は肯定する
あの人は、どこか違う
そう、異質だったのだ
「どうして分かったの?」
「・・・勘?」
「勘って・・お前」
ジンが溜息を吐く
「でも・・なんとなく、違う気がした。
俺に魔法返しを使うくらい強い力を持っている
俺の術倍返しも可能で無効化もできる。
しかも、君たち村を洗脳できるくらいだから・・
おそらく”呪術師”あたりじゃない?それも高度
魔法が使える・・ね。」
俺が言うとジンたちは関心したように
「たしかにな。考えてみれば・・そうやな」
「まぁな・・。」
ラミアはノエルを見るなり悪態つく
「大体、ソイツ、いつからここにいたんや?」
とラミアがノエルに聞くと
「分らない。いつからなんか・・ボクには
覚えていないんだよ」
「覚えていない・・?」
ノエルは腕を組んで思い出そうとする
だが・・思い出すことは無かった
「多分・・ボクの子供の頃だと思うだよね・・。」
「多分ねぇ・・。」
その多分が曖昧すぎて俺には理解できそうもない
ノエルは、あの日を思い出す
笑っていた村長の顔がいつしか
歪んだ顔を見せるようになったのは
一体・・何時からだろう・・?
何分、子供だったものだから・・曖昧だ。
「それか変わってしまったのはいつからとは思い出せない
でも、今更真相は謎にしておいたほうがいいかもしれない」
「・・そやな。野暮や野暮
あれは悪い夢の一つやったや」
ヒラヒラっとラミアは手で扇ぐ
悪い夢・・本当にそうだっただろうか
恐らく・・その謎は永久に謎のままになるだろうか
それは・・誰も知らないことだ・・。
ノエルはさてと・・っと口にだし
「ボクは用事があるし、森に帰ろうかな」
「もう行くの?」
「まぁね・・後で森にきなよ。
君たちに言いたいことがあるから。
聞いて欲しいこともあるしね・・。」
「あ・・・うん・・ここでもいいのに」
「ははっ。女の子の気持ち知らないといけないよ?
旬。」
茶色の髪をなびかせてノエルは笑うのだ
思わず俺は、謝った
「あ・・ご、ごめん」
すると、ノエルはクスっと笑う
「いいんだよ。じゃ、ジゼル君行こうか」
「ああ」
そういってジゼルと共に去ろうとすると
何かを思い出したように
「それと、伝言だよ。リンドが君を待っているようだ
どうやら、彼もまた召喚獣。君の知りたい情報を教えてくれ
そうだよ。準備ができたら森にきなよ。
まぁ、その前にボクの家にくるのが先だけどね。」
今度こそ、去っていったノエルたちに俺は・・。
「なんだっただろうね・・あれ?」
「さぁな・・。」
とにかく、これからまた動かなければならなさそうだ・・。
でも・・一歩ずつ・・確実に・・運命の歯車は
動こうとする・・。
歯車が動き出そうとしています。
少しずつ・・。
これからどうなるのか?
では次話で。




