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執務室ふたたび

 なぁんで今あたしは昼に必死に逃げ出した麗稀様の執務室にいるんでしょうかねぇ

 …しかも目の前に夕餉?

 しかもこんな時間にありえないぐらい美味しそうなオムライスが…


 「あのぉぉ麗稀様?」


 ちなみに声は執務室に入った途端に喋れる様になったんですけどね…


 「ん?どうしたの?食べて?」


 いや…お腹はすごくすいてるんですけどね…

 「帰っても夕餉ないでしょ?食べて帰ろう」って気持ちはとぉっても嬉しいんですよ?

 でもね…でもね…


 「何なら食べさせてあげようか?」


 顔の…真横で美声が響くのっておかしくない?おかしいよね!


 「ち、ち、ち…ちかぁぁぁぁい!!!近すぎる!!!」


 っていうか何で既にスプーン持って食べさせる気満々なの!?

 しかも『近い』っていうあたしの叫びがスルーってどういう事!?

 まずい!すでにオムライスにスプーンが刺さってます!!はやく奪い返さないと…ありえない羞恥プレイをさせられてしまう!!!


 「じ、じ、じ!自分でた、食べますからぁ!!」

 「そう?残念…」

 「はぁ、はぁ、はぁ」


 一人で食事出来ないって人として間違ってるよね?それはあたし間違ってないよね?

 とにかく…隙をみせちゃいけない。さっさとこれを食して家に帰ろう!

 そうと決まれば向かう敵は目の前のオムライス!

 

 パクッ!!!


 っぅんま!!

 このとろふわ感最強!?しかも今のやり取りで結構時間がたってる筈なのに…固まらずにちゃんとトロトロ…

 これはもぅがっつくしかない…けども…


 もぐもぐもぐ…ごっくん…


 じぃぃぃ


 もきゅもきゅ…ごっくん…


 じぃぃぃぃ


 もきゅ…も…

 あのぉぉぉ、凄い視線痛いんですけど…しかも真横だし…


 「麗稀様…食べにくいです」

 「え?美味しくない?」

 「美味しいです…けど、み、み、見られてると非常に食べにくいんです」

 「どうして?こんなに可愛いのに…」


 さぶっ!!!食事してるのにさぶいですっ!!!鳥肌ゾワゾワです!!

 どぉして麗稀様ってこうなの?紳士なんでしょうけど…それって相手が淑女であればこそでしょう!一家来にそんな事するから周り女性がハートマークの視線を送るんでしょうが!それをいつも迷惑だなんて…


 「酷い!!乙女の敵!!」

 「?どうして可愛いっていうのが乙女の敵なの?まぁ…別に乙女の敵でもいいよ。閔鈴さえ傍にいてくれれば」

 

 …それって…あたしが乙女では無いって事でしょうか…?

 そりゃ23にもなって嫁にも行ってない『いかず後家』ですけど、そんなにはっきり言わなくたって…こうなりゃ見合いでもして…


 「結婚してやる…」

 「え?僕と結婚してくれるの?」

 「は?何トチ狂った事言っちゃってるんですか?麗稀様と結婚なんてあるわけないじゃないですか!!」


 あたしは一般ピーポーですのに…嫁ぎ先に王家なんてとんでもない!貴族の家だって無理!町のお菓子屋さんと結婚できたら幸せかもなぁ…ってあたしには大好きな仕事があるっての!

 あれ?横から冷気が…


 「へぇ…閔鈴は、僕と結婚なんて《・・・・・》ありえないんだ…」

 「え…そりゃ…麗稀様…次期国王候補でいらっしゃいますし…」

 「じゃあ、国王じゃなかったら結婚してくれるの?」


 …国王になってない麗稀様を想像してみた。

 無い無い!こんな顔の整った人の傍に24時間いるなんて色んな意味で耐えられない!

 じゃあ…貴族でさえなかったら…無理!貴族じゃない麗稀様とか想像出来ない


 「しません」

 「………」

 「…麗稀様?」


 ?それにしても何で結婚できる?とか聞くんだろ?

 一般の方に恋でもされてるのかしら?…でもやっぱり結婚は難しいと思うけどなぁ…

 一般は一夫一婦制の中、王族だけは一夫多妻制だし。万が一結婚出来たとしても一般人はよくて妾妃が限界だろうし……


 「閔鈴…」

 「やっぱりお勧めしません。諦めた方が両方にとっていいと思います」

 「諦めるつもりはないですよ…」

 「…そうですか」


 まぁ…恋心は理屈じゃないもんね。閔鈴は影ながら麗稀兄様の恋を応援いたしますよ

 あ、『影』ここが重要ね!

 表だってなんて他の王宮勤めの女性が恐ろしくて出来ませんから!

 「こうなれば…実力行使で…」とか横で恐ろしい事を言ってるのも聞かないフリします。相手の女の人に最大級の哀れ…もとい祝福を…なんせ妹みたいなあたしにでさえこの溺愛っぷりですからね…


 「…合掌」

 「何拝んでるの?」

 「いえ…まだ見ない相手の方に…」


 ゴーン!ゴーン!


 はっ!!あれは日の終わりの鐘!


 「ぎゃー!!帰らないと!!」

 「大丈夫。送るから」

 「え?」

 「おいで…」


 麗稀様の広げられてる手は何でしょうか?

 

 「あの…それは?」

 「転送術で閔鈴の部屋まで送る。身体密着させないとさすがに無理だから」

 「あー…そういう事です…か」


 なら…ま、いっか。ここは素直に…麗稀様の腕の中に…

 すみません!不可抗力ですからっ!!誰にも見られてないけど、一応言い訳


 …ぎゅって…く、苦しいんですけど…しかも今頭に何か当たったんですけど!?


 「あの…麗稀様?」


 いつまで経っても部屋の景色が変わらんのですが…


 「…閔鈴、大きくなったね」


 何でしょうか?このむずがゆい感覚は…

 あ…景色が歪んだ…

 

 …それにしても…眠い。

 そうしてあたしはお腹もいっぱいになって安心して麗稀様の腕の中で眠りこけるという失態を犯してしまったのだった

ふふ…麗稀の恋心に全く気づいてない閔鈴でした

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