外務部、悪夢の一日
…飴を舐めた時のあたしの仕事量はハンパない…らしい。自分ではあんまり自覚した事がないし、仕事中は一心不乱だから目の前の仕事以外に気を取られる事もない。ただ今みたいにふぅっと息を吐き出した時に今までうずたかく積まれていた書類が減ったなぁ〜って思うから皆の言う事がそうなのかも?程度に認識はしてる
…何だか視線を感じるんですけど…。
屍一号がキラキラした瞳でこっちを見てるし…
…いつの間にか孝謙がらみ書類が多いから彼の仕事もなんかこなしてたみたい。
「相変わらず閔鈴の増強剤はすげ〜なぁ」
「あぁ?涀成なんか文句あるの?」
「いやぁ〜すげ〜仕事っぷりに惚れそうになってるだけ…」
びゅん!
げ…なんか儀晶様の席から飛んできましたけど…
しかも涀成もそちらに目もくれずに左手の指で挟むって…どこの隠密?まぁ家柄的にも武道派なんでしょうけど…そう!何を隠そう…隠してないけど…彼、星 涀成は私の母方の家、星家の一族だったりします。
…でも彼も挟んだそれが小苦無だとわかるとさすがにぎょっとした顔してる…
…ってか何で文官?武官になれば超スピード出世出来そうなのにねぇ〜
「儀晶様…さすがに死んじゃいますよ」
って一応あたしが言ってみるけど…
投げた本人笑ってるし。目は笑ってないから超怖いし…
「殺すなら魔術使うし」
「………」
なるほど……って危ないっ!!!
一瞬、納得しそうになった。
で…涀成君…何で小苦無を懐にしまってるのかな?
「涀成、それ備品だから」
「ちっ」
ちって何!備品だったら備品横領になるしっ!?
……って何で備品で苦無!?
普通外務部の備品って筆とか紙とか辞書とか……
あ……また頭にエマージェンシーが流れ始めた。よしっ!スルーしようっ!
「…喉渇いた…」
さっきから梅飴ばっか食べてたから口の中が塩分いっぱいで喉がカラカラ…書類仕事の目処も立ったし…ちょっと休憩にするか…
「あのぉ〜あたしお茶入れますけど…いる人います?入れるなら一緒に入れちゃった方が楽なんで手上げて下さい」
何で空気が凍るんでしょう…あたし変な事言った?
いつも入れてるメンバーも手を挙げないんだけど……
「孝謙、今日はいらないの?」
屍一号は机に突っ伏してまた魂が出てるし…
「閔鈴。…皆に入れてくれる?」
「あっ!儀晶様以外でお願いします!儀晶様にはきちんと食堂から運ばせますから」
「………何で?」
…あたしは一段と部屋の温度が下がった理由が知りたいですけど…
「あたしが入れる適当なお茶より儀晶様には食堂の美味しいお茶のが似合います。あの食堂の高級な磁器でお茶を飲まれてる姿は絵巻物みたいで、写真が高く売れます」
「………」
「あっ!じゃあ皆も今日はちょっと贅沢に食堂のお茶にしちゃう?そうしよう!」
「………閔鈴言いたい事はたくさんあるけど、今日の所は食堂に僕が愛飲のお茶があるからそれを皆の分頼んできて…」
きゃ〜!儀晶様がいつも飲んでるお茶って確か幻の特等級茶葉だった筈!!
なんてナイスタイミングでお茶しようって言ったんだろう!!
いっぱい仕事したし自分で自分を褒めて上げるよ!
「じゃ!いってきま〜す!!」
待っててね〜特等級茶葉ちゃ〜〜〜ん!!
活報で続きの小話有りです