欲の代償
…きつかった。
ほんとに今朝はヘビー過ぎた…。おかげで仕事に来ても、もう瀕死状態…仕事なんか出来るかっ!!って叫びたいぐらい…
同僚で席があたしの前の涀成が出勤して来ていきなり言った言葉が
「閔鈴、昨日はお疲れさ…ってやつれてすぎだろ!」
そんなにげっそりしてますかねぇ〜。
へへって笑って見せたらがドン引きしてる…
「孝謙といい…儀晶様…恐るべし…だな…」
「涀成、僕がどうしたって?」
ひぃぃぃ〜儀晶様いつの間にあたしの後に?
しかも完璧聞こえてるのに、「ん?言ってごらん?」みたいな雰囲気が恐ろしすぎます
でもさすが涀成、あたしなんて事切れた様に固まってるのににっこり笑って
「儀晶様の『ド』S具合についての検証です」
「それは面白い。今度レポート提出」
「何なら被害者一覧も添付しますけど?」
会話が恐ろし過ぎますぅぅぅ!!!
もっと普通の同僚と上司が欲しい…
「ところで閔鈴。話があるんだけど?」
肩をがっしり掴まれてるのは何故だろう?
まるで逃がさないみたいに………これは嫌な予感がする
「…賃金UP以外……遠慮します」
「それも関係あるかもね〜」
何?賃金UP?
途端にあたしの頭の算盤がカチカチなってる。ふっ金の亡者と呼ばれようと何と呼ばれようとあたしはお金と甘い物に弱いのだ。今年こそ屋根瓦も何とかしたいし…出費が嵩むのだから賃金UPは絶対に見逃せない!!
「何です?話って?」
「黒曜国で輸出入の国際会議が開かれるんだけどさ…」
…やばい。どんどん嫌な気配が濃くなってる。
これは話を聞くべきじゃなかったかも…
「通訳として参加して欲しいんだよね?あ…つまり出張?もちろん出張手当でるから」
やっぱりぃぃ…無理、絶対出張なんてやだ!って言えたらいいんですけどね…
ここ外務部ですし…外交も当然仕事の内なのですから………
「…何時からですか?」
「来週」
「はぁ!?ら、ら、来週って!突然すぎるでしょ?普通2ヶ月ぐらい前に予定出てるんじゃないんですか!?」
ありえない。問題解決の出張なら突然でもわかるけど、国際会議の出張が1週間前に予定されるってありえないでしょ!!
「ほんとは孝謙が行く筈だったんだけど…」
儀晶様の視線を辿るとあたし以上にやつれた屍が…あれに鞭をさらに打つの?みたいな視線で見るなぁぁぁ!
「…って原因は儀晶様じゃないですかっ!!!儀晶様が行けばいいんじゃ…」
「じゃあ閔鈴僕の代わりにうちで開催される国王会談に出席してくれる?」
…ぐふっ!国王会談…そんなVIP仕事…
「あ…ちなみにその後の晩餐会も他国の貴族も含めた1000人規模の物だから忙しいけど、変わってくれるなら僕は喜んで黒曜国に行くよ!」
「無理です」
そりゃ即答でしょ。無理でしょ?1000人参加って何カ国語が飛び交うのさ!
そんなの対応出来るのは…儀晶様しか…
って事はやっぱり…孝謙に鞭打って……あ…屍から何か魂みたいなのが飛んでる…
「黒曜国行きます…」
さすがに魂飛ばしてる人に鞭は打てない
「じゃ!宜しくね!麗稀様のお供だから」
「え?」
「代表者、麗稀様だからね。孝謙、資料閔鈴に渡しといてね」
屍が手を挙げてる…。魂戻ってるじゃないかぁ!!!
っていうか…っていうか!!!
れ、れ、れ、麗稀様のお供ぉ!?
このあたしの今の状況で!?
もちろんその後あたしが屍2号と化したのは言うまでもない