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朝餉

 う~~~~~ん、困った。とりあえず…台所に下りてきたのはいいのだけれど…


 「何作ればいいのよ…」


 うちの朝餉なんていつも手作りのパンと牛乳だけなのに?

 …さすがにそれを麗稀様に出すのはどうなんだろう?王宮の朝餉なんて知らないし…


 「だからって…ご飯を今から炊いてる暇もないし…とりあえず、卵はあるから…目玉焼きは…付けるか…」


 …確か執務室には紅茶が置いてあったから、牛乳は紅茶に変えるとして…

 あっという間に出来たけれど…ほんとにいいのこれで?

 テーブルに並ぶ…とまでいかないちんまりとした朝餉に思わず


 「王宮に戻って食べて貰ったほうがよっぽど失礼にならないんじゃないかって気がしてきたんですけど…」

 

 って言ってる間に階段を下りる音が聞こえてきたし……


 ガチャ


 とりあえず先に入ってきた父様に小さな声で現状を報告してみる 


 「と、父様…いつもの朝餉しか用意出来ないですけど…」

 「構わないよ。こういうのは気持ちが重要だろう」


 …父様…何か違うと思います。

 王族に対しては気持ちよりも礼儀と作法だと思います!

 麗稀様がテーブルを見ても驚いてないのが唯一の救いだけど…


 「麗稀様の口に合うかわからないですが…どうぞお席に…」

 「ありがとう閔鈴」


 んぎゃあ!

 それでなくても立っているだけでも絵になるのに、そんな満面の笑みは危険です!!気持ちは無くともくらっとします!!


 「…い、い、い、いぇ…」

 「席ってここ?」


 もちろん上座に席はご用意しましたよっ!その隣に父様で…


 「閔鈴」

 「はぃ?」

 「食事が二人分しか用意されてないけど…」

 

 …それが何か?…えぇ!!まさかもっと食べる人ですか!?麗稀様は朝餉から五人前とかいっちゃう人ですか?


 「あの…足りなければ途中でお持ちしますので…」

 「いや…そうじゃなくて、将星とこれは閔鈴の分?」

 

 …あたし?何でそうなる…


 「いえ…麗稀様の分です」

 「…では閔鈴の朝餉は?」

 「後で頂きます」


 時間ぎりですし、頂く時間があるとは思えないですけど…ね


 「どうして?一緒に食べればいいでしょう?」

 「…それは、給仕する者も必要ですから…」

 「必要ないよ。これ以上に何か出てくるのであれば今運んでしまいなさい。そして一緒に食べよう…」

 

 …何も出ませんけどね。紅茶のお代わりとか…しなくちゃいけないかなって思ってたんだけど


 「女人が王族と食卓を共に出来るのは王宮の宴に招待された人だけだど、王宮勤めの初日に習いました…」

 「そんな事は今は気にしなくていい」

 「でも…」

 

 こういうけじめをしっかり付けなくては…と思ったのですよ…

 って…


 「きゃあ!!!」


 何で突然抱き上げる!?

 

 「れ、麗稀様!?」

 「くだらない事ばかり言うからだ」

 「…く、くだらない事って…」


 しかも座ったと思ったら…なぜ膝の上!?


 「閔鈴。麗稀様もこう言って下さってるのだから、いつもの様に一緒に食べよう」

 

 何でそうなる!?っていうかこの状況みて!おかしいでしょ!?


 「と、と、父様!?」


 お願い!この人どうにかして!!

 

 「そうして麗稀様の膝に乗ってる閔鈴を見ると、昔を思い出すね~」


 ちっが~~~~~う!!

 駄目だ…父様は頼りにならない…。自分の身は自分で守らなきゃ…


 「れ、麗稀様。わかりました。ご一緒にたべま…パクッ!」


 なぜパンを口に入れる?


 「もごもご…」


 何の羞恥プレイですか?これ?

 父様も笑ってないでほんとに何とかする気ないの?

 あぁ…昨夜のオムライスと一緒…顔が近い…近すぎる…。

 うぅ…いっそ一思いに誰かあたしを抹殺して!!


 「…ごくん」

 「…美味しかった?」


 美味しいってあたしが焼いたパンですけどっ!!

 その笑顔に騙されないぞ!!ここは強く!!



 ………



 ………



 「…美味しいです」



 うぅ…白旗掲げて全面降伏です。

 

例え自分が作った物でも、麗稀様の餌付け材料になります(笑)

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