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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
10+8+2=青年

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97/130

#4



涼が中学生になって初めて迎えた、夏休みのこと。ある日の夜から、固まっていた歯車は回り出した。


「ごめんください」

「こんばんは。えーっと……木間塚さん」

「こんばんは。久しぶりだねぇ、成哉くん。お父さん、今いるかな?」


夕食が終わった時分、老年の男性が涼の家を訪ねてきた。物腰の柔らかい印象で、屈託の無い笑顔を浮かべている。

彼を知っていた涼は、すぐに父を呼んだ。木間塚と呼んだ彼は、父の上司なのだ。きっとまた、会社の付き合いというやつだろう。

「あぁ、お待ちしておりました。御足労頂いてありがとうございます」

涼が呼ぶと父もすぐ玄関までやって来て、スリッパを用意する。しかし何故か二足分あった為、涼は内心首を傾げた。

「どうも、寛いでる時間に悪いね。今日は連れがいるから」

そう言って、木間塚は少し横へずれた。それまで涼からは全く見えなかったが、後ろにもう一人青年が立っていることに気付いた。


「孫の創さ。東京に住んでるんだけど、久しぶりにこっちに来ててね。今連れ回してるんだ」

「こんばんは。……兼城創けんじょうはじめです」


娘の一人息子だと、木間塚はにこやかに涼に笑いかける。頷くことしかできない涼とは真逆に、父は思い出したように驚いていた。

「あぁ、創君か! 大きくなったねぇ、今いくつだい?」

「十八です。今年から大学生で」

大学生……。

大学が近くにないから、何だかあまり見たことない人種だ。よく知らない生き物、という非常に失礼な印象が生まれた。

会話に入れない、というよりはついていけない。黙ってやりとりを見てると、突然父は話を振ってきた。


「成哉、創君のこと覚えてるか?」

「えっ」

何の話だ?


「創くん、君は確か、まだ小学生だったよね?」

「はい。夏休みとか冬休みに、よく連れて来てもらってたんですけど……中学に上がってからは忙しくて、中々。准も来たがってたんですけど、レポート終わらないらしくて」


准……さん?

何か覚えてるような気がするんだけど、やっぱり思い出せない。そんな思いが顔に出ていたのか、創は涼の前に屈んで微笑んだ。


「久しぶり、成哉君。ずっと昔、一緒に海で遊んだり、……星を見に行ったことがあるんだけど。さすがに覚えてないかな」


言ってから、今度は苦笑した。

「君、確かまだ五歳だったもんね」

「えっと……」

星。

分からなくて、思わず身を引いてしまう。

星なんて……そんなの、ここでは毎晩見てるから分からなかった。少しも特別なものではない。




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