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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
First and last

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89/130

#4



少年時代の記憶と言えば夏休みに冬休み、海にプール、クリスマスにお正月……大抵決まってそんなものだ。ビッグイベントは楽しかったことを基調としている。

特に印象に残っているのは、家族で出掛けた旅行や行事。家族との繋がりが大きかった。


一番奥底に仕舞っている記憶は、昔はよく帰っていた父の実家。優しい祖父母が軒先に見えた、山と海に挟まれた何もない町。夕暮れ時には稲穂がオレンジ色に染まって、夜はカエルの鳴き声がよく聞こえた。

そして夜には……あの満天の星空が。


「さぁ准さん! いよいよお待ちかね、ジェットコースターに乗りましょう」

「あ、あぁ。行くか」


涼に手を引かれ、ハッとした。目の前には見上げないとどれだけ高いか分からないジェットコースターがあり、乗ってる人達の叫び声が聞こえる。


あれ……?

不安じゃないといえば嘘になるが、隣で眼を輝かせている涼の手前、「怖いから無理」とは言えない。准は深呼吸し、意を決して乗り場に向かった。


その、約三十分後。

「うえぇぇぇぇ……気持ち悪っ!!」

ジェットコースターから降り、トイレに直行して吐いていた。涼が。

「大丈夫か? お前、俺より絶叫系だめだったんだな。なのに何であんな意気揚々と乗ったんだよ」

今もリバース中の涼に、准はドア越しで尋ねる。

水の流れる音がした後、鈍い音を立ててドアが開いた。

「せっかく准さんと来たから、どうしても乗ってみたかったんです……」

涼の顔は生気がない。死人のように真っ青だ。

「しょうがないなぁ」

子どもみたいで呆れるけど、実際子どもと変わらない。

だけど彼の言葉に嬉しく感じてる自分も、大概子どもだ。


ようやく涼が落ち着いた為、准は彼を連れて近くのベンチに座った。……これはデートになってるんだろうか。現時点で、めちゃくちゃ疲れた。涼を介抱することに。

「ほら、水飲みな」

「ありがとうございます。ちょっとハメ外し過ぎましたね。すみません」

涼はハンカチで口元を押さえながら、大きなため息をついた。


「准さんと来てるんだと思ったら尚さら……楽しくって、舞い上がっちゃって」

「……」


だから今にも吐きそうな顔で、そういう嬉しいことを言わないでほしいんだけど。……まぁしょうがないか。


今日の俺達に、デートらしい雰囲気なんてあったもんじゃない。




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