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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
嘘吐き

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81/130

#6



胸の奥がズキズキと痛んだ。

……でもこれで良かったんだ。


創は弾かれた指が痛むのか、ポケットに手を突っ込んでため息をついた。

「いないんだ。じゃあやっぱり、男なら誰でも良かったってこと?」

「そんなわけないだろ。何でそういう方に考えんだ」

自分が救いようのない鈍感だってことは認める。

知らないところで、様々な思惑が行き交っていたことも……自分が歯がゆいけど、申し訳ない気持ちもある。


彼に好意を寄せられていたこと、それに気付かなかったこと。

彼に恋愛を邪魔されていたこと。

自分の為に霧山と結婚しようとしていたこと。

その一つ一つに対する想いが、爆発しそうだ。

これは口で言って伝わるのか、意味があるのか。分からないが、黙ってるのは逆効果だ。……言おう。

例えこれが、俺達の関係を隔てるものになったとしても。


「創。悪いけど、はっきり言う。お前は俺の従兄弟で、親友で……恋愛でいう好きって気持ちは一切持ってない。俺の為に霧山と結婚するなら、それもやめてほしい。お前らの一生を背負うなんて俺にはできないから……!」


これもかなりの告白。……だと思った。

分かってもらえるかどうかは後回しだ。まずは自分の気持ちを誤魔化さず、ちゃんと伝える。

創の場合は、伝えなかったせいでこんな事になったんだから。


「……」


彼は暫く何も言わなかったけど、やがて可笑しそうに口元を手で隠して笑った。

「はははっ。そこまで言われるとは思わなかったよ。……優柔不断のお前に」

揶揄されても反論できない。確かに、自分がどれだけ意気地無しかは……最も長い付き合いの彼が一番知っている。

自分は“選択”から逃げ続けた人間だ。同じ同性愛者でも、未来の選択をした彼とは覚悟の重さが違う。

創は踵を返して手を振った。


「……お前の気持ちは、分かった。でもこれからどうするかは、俺と玲那の勝手だ。そうだろ?」

「創……」

「はぁ。もういいや。……疲れたしな」


彼は思い出したように俺の家の鍵を投げ渡した。何の未練もなさそうに、エレベーターの方へ戻っていく。


「お前の望み通り、全部諦めるよ。じゃあな」


ヤケになった感じでも、悲しんでる感じでもない。とても淡々とした、事務的な声。これが演技だとしたら、本当にすごいと思った。


意図的でないにしても、自分が彼を苦しめていたことは確かだ。

でも彼はまだ大事なことを隠してる気がする。

それがなにか考えていたけど、無理やり思考を遮って涼を見た。


ひたすら押し黙って、一切会話に入ろうとしなかった彼を。




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