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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
ひび割れ

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72/130

#9



ただ、創の様子は……やはり変だ。

息苦しい車内で、少しでも光を探している。

「玲那には恋人がいるよ。心配しなくても、ちゃんと知ってる。それは別にいいんだ」

創は腕を組んで、至極落ち着いて返した。

「玲那は何て言ってた?」

「あ……お前のことは、好きだって言ってたけど」

ただ、それは“友達”として。

「そうか。俺もあいつが好きだよ」

窓の外の夜景を眺め、創は自嘲気味に笑った。


「そもそも嫌いになる要素がないんだよな。玲那に限らず、みんな俺に媚売ってくるから。このままいけば出世街道まっしぐらだし」

「……創、お前」

「怒んなよ。お前も同じだろ、准。……腹の底ではさ」


違うと言いたかった。けど今の彼を窺うと言葉を選んでしまう。

考えてるうちに前が動き出した為、運転に集中した。


「ゆくゆくはこの会社を担ってくんだ。期待されて当然だよな。でも玲那は違う。あいつは俺がどんな人間でも一緒になってくれる。結婚自体に興味がないから。だから、俺はあいつを選んだ」


……え?


「何? 何の話かさっぱり分からないんだけど」

「はは、准には分かんないよな。俺のことも、玲那のことも……分かんないから、平気で口出ししちゃうんだって」


それは挑発ともとれる台詞だったが、准は首を横に振って打ち明けた。

「そうだな。その通り、全然わかってない。だから教えろよ」

「断る」

「創……!」

だが、これでは一向に話が進まない。できる限り冷静を保ちたいが、彼の一辺倒な態度は准の気を逆撫でした。

「話してくれないと分かんないだろ。どうして話してくれないんだよ」

涼の存在が頭をよぎる。どうして皆、自分の苦しみを隠そうとするんだ。

「俺はお前が悩んでることにちっとも気付けなかった。悩みがあっても、必ず相談してくれるって自惚れてたから」

段々と声が小さくなる。

信じていたのは自分だけだったのかって思うと自然と。

「話せない事情があるならそうだと言ってくれ」

だけどもし、そういう訳じゃなかったとしたら。

創、お前は……、


「俺のこと……そんなに信じられなかった?」

「……!」


出来ればもっと早くに頼って欲しかった。

従兄弟として、友人として、それこそ兄として。

「准」

どんな事情があっても、彼の味方でいたのに。

「勘違いすんなよ。信じる、信じないっていうより……」

静まり返った車内で嫌に声が響く。


「准が大事だからさ」


ただただ、鼓膜と心に突き刺さる。




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