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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
これからも

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127/130

#2



創のことを指しているのだろう。涼は視線を下に向け、慎重に尋ねた。


「もし、そうなったとして……准さん、大丈夫ですか?」

「大丈夫でもそうじゃなくても、ここに引っ越すって決めたんだ。サラリーマンを辞めても、持ってるもん全て売っぱらってもここにいるよ。ここで、お前と生きてく」


准は成哉の頬に触れた。その目は夕焼けに染められ、どこか懐かしくも思えた。

「……ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。俺がまた一から稼いで、准さんを養いますから!」

「そいつは頼もしいなぁ。あっ」

「どうしました?」

「やばい、大事なこと忘れてた。まだ時間大丈夫かな……? 成哉、急いで車に戻るぞ」

来た道を戻っていく准を、成哉は慌てて追い掛ける。そしてどこへ行くつもりなのか尋ねた。


「それは、俺は分かんないな。お前に案内してもらわないと」


……。

寂しそうな表情。だけど、いつもと同じ優しい声。


懐かしい匂いはどんどん濃くなっていく。

時が移り、場所が移り、人が移っていく。


降り立った駐車場で、成哉は寂しそうに帰っていく人達の後ろ姿を見送った。

手に持った菊の花を愛でる傍ら、綺麗に咲き誇る水仙の花を眺める。高い夕焼け空に目を細めると、目の前の彼の姿までぼやけて見えた。

長い長い階段を上り、息を切らす。

体力が落ちたかもしれない、と内心ぞっとした。もう一年以上前になるが、最後にここに来た時はここまで疲れなかったはずだ。


「准さんすごいですね、ガンガン先に行って……俺、どうも老体みたいです、もう足が上がらない」

「アホ、二十歳だろ。そんな情けないこと言ってたら、きっと悲しむぞ」

「うぅ……いや、適度に休めって言ってくれます。俺の、父さんと母さんなら……」


最後の階段を上り、成哉は俯いていた顔を上げた。そこには多くの墓石が連なり、参拝者を迎えていた。

一年ぶりに訪れた、成哉の両親が眠る霊園。

二人はそこに来ていた。


「准さん、ありがとうございます。一緒に来てくれて」

「当前。むしろ、俺がお願いする方だよ。どうしてもお前のご両親に挨拶したかったから」


それを聞き届け、成哉は微笑む。

両親の墓参りはずっと行きたいと思っていた。だが今日ここに来るつもりはなかった。

─────彼まで暗い気持ちにさせてしまうと畏れたからだ。




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