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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
味方の見方

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123/130

#2



からかう様に言うと、霧山は「悲しいよ!」と一喝した。思わず吹き出してしまう。こんなやり取りすら可笑しくて楽しい。軽快な足取りで通路を進む。

しかしふと、彼女の声がワントーン下がった。

[っていうかやだ、大事なこと忘れてた。この為に准君に電話したのに]

「ん? 何?」

[私と創君、結婚しないことにした]

その一言を聞いた瞬間、思考が停止して僅かな段差に躓いた。そして壁に激突する。

「いって!!」

[えっ? 大丈夫?]

彼女の心配そうな声を聞き、慌ててまた歩き出す。結婚しない、って。それはつまり、婚約破棄か……?


「だ、大丈夫。それより何で! 創のやつ、そんなこと一言も……!」

[一昨日ね……創君と会ったときに言われてたの。……やっぱり、お互いにもう一回考えてみようって。私はもう諦めてたから、すっかりこのまま結婚する気でいたんだけどね。だって結納もしてるし、式の予約もしちゃってるし!? 有り得ないでしょ! キャンセル料は心配しなくていいって言われたけどそういう問題じゃないわ!]

「あ、あぁ。そうだな。分かる」

分かる……だけだ。ずっと準備していた彼女の苦労を想像できるだけ。それ以上の言葉は出てこない。

どう声を掛けたらいい。

そもそも……俺がなにか言う資格もないように思う。


[最悪でしょ!? ほんっ……とうにびっくりよ! 今さら? って思った。わー、長い付き合いだと思ってたけど騙された。もう信じられないぐらい最低な人だって確信した……。でも、冷静に一晩考えたの。……今だから、そんなことが言えたんだろうな、って。結婚したら、もう後戻りできないもの]


スマホを持つ手がわずかに震える。息を飲んだ。

[どこへ行っても“やりやすい”人生を手に入れられるはずだったのにね。でも彼がああ言ってるのに……既に、嫌がってるのにさ。私も、そこまでして彼といたいと思えなくなっちゃった]

もう決めた、とハッキリ言う彼女の声からは、一切の迷いを感じられなかった。

[だからまた皆にその報告をしなきゃいけないの! 婚約祝いの品をくれた人達にもお詫びをして回って……すっごい嫌! もう准君が代わりにしてよ]

「落ち着けって……てか何で俺が……」

[何があったか知らないけど、どうせ准君が原因じゃないの? 創君を見てれば分かるよ]

また、心臓が止まるようなことを彼女は告げた。これでいて結構鋭いから油断できない。


[昔から君達を見てたんだもん。さすがに分かるよ]


その言葉には色々痛い意味が含まれている気がした。本当に、自分が思ってるよりも見抜かれてるもんだ。

「……その、すまない。確かに、俺が原因……かも」

[あはは! 准君って本当素直だよね、簡単に認めちゃって。でも良いんだよ。最初から、これで良かったのかも]

「……そう思う?」

[分かんない。何となく、ね]

彼女の言葉が心の深いところまで染み渡っていく。

自分から言っといてなんてザマだ。若者二人の人生を狂わせてしまったような重圧がのしかかってくる。

[話はそれだけ。私は好きな子と一緒にいられたらそれで幸せだからさ]




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