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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
答え合わせ

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114/130

#5



准は涼の抵抗を押さえ込んだ後、彼の袖を捲り上げた。それにより、涼の予感は確信に変わる。准が見ていたのは、ずっと隠していたかった弱さだった。


「この顔以外にあるたくさんの傷。これは創がやったんじゃないのか?」

「……っ!!」


しまった、と涼は臍を噛む。腕に刻まれた傷がシャツの下から見えてしまっていた。すぐにでも隠したいが、彼にしっかり握られてるせいで振り払えない。

「いえ……違います」

ここで彼の従兄弟を非難し、被害者ヅラしたところで何も変わらない。むしろ今までの経験から、悪い方に転ぶ気がする。


彼は優しいから、まずは俺を慰めることを選ぶかもしれない。でもそんなことは別に望んでない。

同情を買いたいわけじゃない。両親のことを創に話した時も、そんなつもりじゃなかった。だけど彼は涙を流した。その優しさに甘えたことで全てが始まった。


嫌なんだ。今はもう、何もできない子どもの時とは違う。「可哀想」だって思われても、惨めになるだけだと分かった。二十歳って、多分そういう歳。

「……ここまでされて、大丈夫とか本気で思ってんのか? ドMにも程があるだろ!」

口喧嘩なのか力勝負なのか、最早分からなくなってくる。喧嘩自体好きじゃないし、人と衝突したことが少ないから、彼の怒声にまた怯んだ。

直接の暴力よりずっとマシなはずなのに、彼が放つ言葉の方がちょっと痛い。

そんな覚悟もしてたはずなのに。

「……そうだよ! 俺はドMだし、救いようのない馬鹿なんだ! だからもういいだろ!?」

張り裂けそうな声で叫んだ。それでも離してもらえない。どうして、と思って見上げた際に、彼の苦しそうな顔が視界に入る。

もう本当に嫌だ。こんな優しい人に、なんて顔をさせてるんだろう。申し訳なくてまた涙が溢れる。


でも強引なところが苦手だ。逃げたいのに逃がしてもらえないなんて……どうしたらいいのか。

涙が止まらない。


「お願いだから……離して……」

「だめだ。もう絶対、お前を創の元には帰さない」


耳元でそっと囁かれる。後になって、抱き締められたんだと気付いた。

「今も全部は分かってないよ。でもお前が苦しんでたことは分かる。……今も」

准の腕の中に、涼はちょうど収まってしまった。毛布に包まれてるかのように暖かい。目を瞑ってしまいたくなる。


「遅いかもしれないけど、今からでも助けさせてくれよ、涼。また笑って、傍にいてくれ」




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