表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
10+8+2=青年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

108/130

#15



俺にはもうお前しかいないんだから。


そんな言葉が降り掛かったけど、咄嗟に耳を塞いだ。


気付けば着の身着のまま、創の家から追い出されていた。いや、逃げたと言ってもいい。


後ろがじくじくする。寝違えた時のように首が痛む。寒い。熱い。気持ち悪い。

まるで迷子のよう。自分が今立たされてる状況が分からなくて、夜空を見上げた。


星。星が……ない。

しかし創の“お願い”は、何とか鼓膜に張り付いていた。


准さんが恋人を作らないように見張ってろ……って……。

無理だろ。普通に考えて。


准は自分を知らない。家に行っても門前払いか、下手したら警察沙汰だ。笑うしかない。

「……はぁ」

……笑えない。ため息しか零れなかった。無理なんだ。彼が自分のことを覚えてる可能性はゼロに近いんだから、「誰だお前」で終了だ。

予定よりも先に追い出されるとは思わなかった。尻ポケットに財布だけはあるものの、荷物を取りに戻るのも怖い。これからどうしたら良いんだろう。


身体も心も痛い。気持ち悪い。それなのに頼れる人もいない、味方がいない。俺はやばい。

夜の繁華街は歩くのが億劫になるほど人で溢れかえっているのに、俺が住んでた町より狭く、寂しく感じる。

正直泣きたい。……泣かないけど。

とりあえず一刻も早く身体を何とかしたくて、適当にネットカフェに行ってシャワーだけ浴びた。

そしてあてもなく街を歩き、時間を潰す為にひとり店で飲んで……そこからは記憶が曖昧だ。


フラフラ、フラフラと馬鹿みたいに。今の俺を両親が見たら何て言うだろう。「ほんと、馬鹿みたいだ」って叱ってくれるだろうか。

でも、もう叱ってすらくれない。どうしようもなく独りだった。


「…………」


分かっていた。本当は会うべきじゃないと。

それでも、脚はある人の場所に向かっていた。


創さんの為にも自分の為にも、……何より、“彼”の為にも。俺なんかがこれ以上関わった所で何かが変わるとは思えないし、誰も彼も傷つける結果になるかもしれない。

それに何より、嫌いなんだ。もう皆。自分も、創さんも、こんなこと知りもせずに暮らしてる准さんも。

見事な逆恨みだ。それでも嫌い。

嫌い……だけど。


会いたい。


一度でいい。その僅かな想いが、あの人のマンションまで突き動かした。廊下でひたすら待って……でも眠くなって寝てしまって。


『おーい。こんなとこで寝たら凍死するよ?』


光と共に視界を覆う。目覚めたと同時に、彼と顔を合わせた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ