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ファナティック・フレンド  作者: 七賀ごふん
10+8+2=青年

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105/130

#12



それは涼が二十歳を迎えてから目に見えて酷くなった。


夜になると特に、穏やかな創は豹変する。

親に結婚の話を持ちかけられて参っている事も理由の一つ。そして准に自分の気持ちを伝えられない苛立ち、准の気持ちが自分に向かない苛立ちをぶちまける。それが物で済むならいいが、段々と明確な狂気を帯びていった。


「痛……っ!!」


耳を劈く音が聞こえた瞬間、涼の足元に割れた陶器の破片が散らばった。今日も彼の愚痴を真面目に聴いていたつもりだったのだが、どうやらおさまらなかったらしい。コップが飛んできた。

「ご……ごめん、成哉。俺……!」

「だ、大丈夫です。……片付けるので、危ないからこっちに来ないでください」

言いながら額に手を当てると、生温い液体がベッタリついていた。


切れてる……。

床に赤い雫が落ちるのを無視しながら、破片を片付ける。

痛い。痛くてたまらないのは切れた部分か、ぽっかり空いたこの胸の穴か……涼は分からなかった。

少しすれば泣きそうな顔で謝ってくる彼を、本気で責めることができない。


手当てしようと立ち上がり、ガーゼと包帯を使い切ったことを思い出す。丁度いいので外へ出ることにした。


准さんが大事だからこそ、自分の気持ちを押し殺してるんだ。創さんも苦しんでる。で、その憂さ晴らしが俺にくる。

家を出て彼から離れると心の底から安堵した。

けど、後ろめたい。どんなに酷く扱われても、彼は本当の自分を知っている唯一の人物。東京にいる唯一の味方だから。

「寒……っ」

実はその頃、准さんに会いに行こうか迷っていた。創さんは自分と彼が会うことを快く思ってないようだから、内密に。彼の真意を確かめたかった。


従兄弟で幼なじみで、今は同じ会社に勤めてるらしい。取り沙汰噂されることもない、品行方正を絵にかいたような人だという。


創さんの強すぎる愛情……。よっぽど鈍感な人間じゃなければ、さすがに気付いてるんじゃないだろうか、と皮肉っぽく考えた。

あわよくば、実は相思相愛でしたとか言って、めでたくくっついてくれないかと。……でも。


変な気分だ。釈然としない。それが果たして、彼の……彼らの為になるんだろうか?


自分は今の准さんを知らない。創さんから耳にたこができるほど、彼の人間性については聞かされていたが、あくまで人伝だ。実際に会ってみないとそれは分からない。


十五年前に自分に星を見せてくれた。

木間塚准。彼は、どういう人物なんだろう。




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