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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第63話

 カンジエスのシステム部に戻ると雰囲気が暗かった。試合で負けたことが分かっているからだと思う。皆さん濃山高校出身だから思い入れは強いはず。


「おかえり。濃山負けちまったな……」


「でも全国大会初出場で3回戦まで行けたんですからよく頑張った!って迎えてあげないと可哀想ですよ」


 サッカー部の話題をしながら作業を行い、僕は速読術の教室へ。そして今日がレッスンの最後だということを告げられた。


「今日で7月も終わりですし、速水君の能力は速読だけじゃなく色々向上したと思います。これで卒業ということにしましょう」


 これで僕の速読術教室は終了した。今後はこの時間もカンジエスで作業ができるから皆さんに貢献できる。


 家に帰ると父さんと母さんがバタバタしていた。


「ただいまー!どうしたの?何か慌ててる感じがするけど」


「おかえり!濃山高校が今日負けただろ?それでもうバスに乗って帰ってるらしいんだ。それで中西さんと狭山さんがお疲れ会をしたいから家を会場にしてくれないか?って頼まれて今準備に取りかかっているんだ!」


「えーっ!泊まらずに帰ってくるの!?慌ただしいなあ。しかも急遽お疲れ会だなんてどうしたんだろう?」


 と言った瞬間、告白のことが頭に過った。もしかしてこのお疲れ会で瞬は薫に告白をするんじゃ……。


「20時頃に学校に到着するみたいだから、20時半から始まる感じだろうな。ランニングとジムはどうするんだ?」


「ランニングは日課だから今からすぐにやってくるよ。ジムに関しては鉄平さんに断りを入れておくよ」


 すぐに着替えて鉄平さんに断りのメッセージを送った。そのまますぐにランニングをしながらこの後の展開を一人予想していた。


 本来であれば負けた後にお疲れ会をするってことを前もって言っているはずなんだ。そうしたらあんなに父さんと母さんが慌てることはなかった。ということは急遽そのイベントを捻じ込んだというわけだから、それは何かあるからだとしか考えられない。


 これまで三家族で何かをするなんてことは夏休みにキャンプに行くか年末のクリスマス会しかなかった。しかもそれは小学生まで。約4年ぶりにこうやって集まるってことは何かしらの強い想いがあるからだと僕は思う。


 そうなるとやっぱり告白だよなあ。家族の前ではできないと思うから、お疲れ会終わりに二人きりになったところで告白することになるんだろうか?


 頭の中で色々考えながらランニングをしている時にメッセージがきた。


『もうすぐ学校に着く。家まで晃弘と話しながら帰りたいから時間を作れるか?』


 瞬からだった。これはもう確実に告白だよね。よし!僕も自分の気持ちに決着をつけるために覚悟を決めよう!


 パンッと自分の頬を叩いて気合いを入れた。まだランニングの途中だからそのまま学校まで走っていった。


 学校に着くとバスが停まっていて生徒たちがぞろぞろと降りてきていた。多分サッカー部の人達が乗っていたであろうバスの周りに人が集まって「ありがとうございました!」という声が聞こえ、拍手に包まれた。応援に対するお礼だったんだろう。


 そのまま解散となったみたいで校門を出て行く人達を見送り、しばらくして瞬がやってきた。


「すまん晃弘!来てもらって悪いな!」


「いや、大丈夫だよ。それにしても試合お疲れ様。移動も含めて結構ハードだったんじゃない?」


「むしろ一日休みになったのが良くなかったって感じだな。勢いが殺された感じがあった」


「なるほどね。サッカー部の打ち上げとかないの?」


「それなんだけどさ、今日は夜も遅いからって明日急遽打ち上げすることになったんだよ。俺の予定では明日薫に告白しようと思ってたわけ。明後日からはまた練習が始まるし、この勢いで冬の選手権大会も出場しよう!ってなってて合宿が始まるんだ。そうなると告白できるタイミングがなくなっちまう。それで急遽お疲れ会をやることにしたんだよ」


「そういうことだったのか。でも僕の家を入れる必要なくない?」


「さっきも言ったけどもう夜だぞ?こんな中で薫を呼び出してなんてできないだろ?そうすると何か名目があった方がいいってことで家族を入れてお疲れ会を考えた。そしたら久しぶりに晃弘ん家も入れようってなったんだ。巻き込んじまってすまん!」


「とりあえず経緯は分かったよ。それでお疲れ会の中でどうやって告白に持っていくの?」


「親父達は酒を飲むと思うから酔っ払ったら薫に声を掛けてちょこっと抜け出すつもり。公園で告白しようと思っている。晃弘には結末を見届けてほしい。頼めるか?」


「二人の邪魔をしたくないし、そういうのってやっぱり二人きりでした方がいいんじゃない?」


「ここまで覚悟は決めたんだけど、あと一歩の勇気が出ねえんだよ。それにこの前見届けてくれるって約束してくれただろ?だから頼む!」


「分かった。僕までいなくなったら不自然だから僕は先に休むってことにして部屋に戻ったフリをして公園に行くよ。それでいい?」


「ああ!それでいい!助かるぜ!」


 この長かった二人の両片想いの関係が終わる時が来たんだ。最初の頃は「負けヒロインだ!」なんて言ってた薫も最近はそんなことも言わないようになった。多分確信できる部分があったんだと思う。


 最後の三人の幼馴染の思い出として今日を振り返ってよかったと思える日が来るといいな。


 瞬と話しながら歩いていると家に到着した。僕は瞬と一旦別れて風呂で汗を流してリビングに行くと会場ができあがっていた。


「すごい豪勢だね!短時間でよくこんなに準備できたね!」


「三家族で集まるなんて久しぶりでしょう?気合いを入れたらこんなになっちゃった」


「今日は負けたけど祝勝会みたいなもんだ!これくらい豪勢でないと盛り上がらんからな!今日は飲むぞー!」


 父さんの謎のハイテンションは何なんだろう?こんな豪勢な感じに仕上がっているのを3匹の猫達は初めて見るから戸惑っているのが分かる。ミケは何度か経験しているからどっしり構えている。でもシッポの振り方を見てると楽しみにしているのが分かる。


 父さんの予想通り、20時半になって瞬の家族と薫の家族が家にやってきてお疲れ会が始まった。

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