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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第62話

 師匠に指示された場所へ原付で向かう。運転にもだいぶ慣れ、バイクを楽しむという余裕も出てきた。街を颯爽と駆け抜けるのが気持ちいい。


 指示された場所は事務所。そこにはすでに師匠と広瀬さんと青木さんが運転してきた軽バンがあった。


「こんにちは師匠!今日はここに何の用があるんですか?」


「やあ速水君。ここはね、もう廃業する予定の掃除屋さんなんだ。ここの機材一式を譲り受けることになってね。エイチエーサービスで引き取ってほしいんだよ」


「えっ!機材一式ということはポリッシャーとかいただけるということですか?」


「ああ、定期清掃の用具は一式もらえる。そうすれば今後はエイチエーサービス単独で定期清掃を頼めるからね。うちの木下がわざわざ出向かずとも完全にエイチエーサービスに委託できるからこちらとしては助かる」


 応援としてではなく、完全に委託となると責任重大になってくるね。でもそれができるようになればカンジエス以外の会社にも定期清掃ができることを売り込めるというわけだ。


「どうも宮田社長。こんな場所までご足労いただきましてありがとうございます」


「いえいえ、こちらこそ用具一式を譲っていただけるのはありがたいです。こちらが例の高校生個人事業主の速水君です」


「初めまして!エイチエーサービスの速水です!よろしくお願いします!」


「ほう、彼が噂の……。こういう若者がいればうちも廃業などせずに済んだのですがね」


 そういうことか。跡継ぎがいなくて廃業なのか。後継者問題は多いって聞いたことがある。社長さんは見ただけでもかなりのご高齢の方だ。泣く泣く諦めたという感じが伝わってくるから、本当はまだやりたかったんだろうね。


 世間話程度で話を切り上げ、定期清掃に必要な機材を軽バンに積んだ。ポリッシャーだけじゃなくて絨毯清掃用のリンサーなんかも譲ってもらい、2現場分の機材を手に入れることができた。


「うちはもうなくなりますが、物で想いを託したいと思います。エイチエーサービスさんが発展することを願っています。頑張ってください」


 社長さんと握手を交わし、事務所を後にした。そのまま集落に戻り、新たに6人が新メンバーとして加わることになったことを師匠から伝えられた。


「これで機材も揃ったことで定期清掃の仕事は完全に委託化できる。青木さんはもう清掃関連の仕事だけでいいかい?」


「それだと助かるなあ。いちいち新しく覚える必要がないし、今までやってきた経験が活かせる方が嬉しい」


「そういうことで定期清掃組は固定してしまおう。その辺りはこのあとみんなで話し合ってメンバーを決めることとしよう。カンジエスとしては毎日2現場の定期清掃をお願いできるなら社員の負担も少なくなる」


「定期清掃に1現場4人で入るとなると8人。ちょうど半分の人が定期清掃組になりますね。今思ったんですけど車2台とも定期清掃で行っちゃうと皆さんの足がなくなりますよ。どうしますか?」


「半分といってもまだ6人はスマホがないから土日しか動けない。平日は2人だけだから私が現場に連れていけば問題ない。土日は速水君のお父さんに頼んで移動をお願いすることになる感じかな」


 そうなると僕たち高校生組は原付必須になってくるね。僕達は僕達で移動しないと父さんの車に人が乗れないや。でも最終的にはあと2台車は欲しいよね。


「後々のことを考えるとあと2台車が必要だと感じました。カンジエスに余っている車があれば譲っていただくことは可能でしょうか?」


「それは構わないがそこそこガタが来ているぞ。大丈夫かい?」


「はい、僕が成人するまで乗れればと考えています。成人すればローンを組んだりできると思いますので」


「分かった。では土曜日にお父さんも交えて話をしようじゃないか」


 これから当面の業務に関して方針が立った。特にうちは定期清掃に特化することになったからその方面に関してはホームページやSNSでアピールした方がいいね。





 火曜日。今日は全国大会3回戦があるんだけど、僕は朝からカンジエスのシステム部で手伝いをすることになっているので原付でカンジエスへ。


「おはようございます!今日は速読術の教室までお手伝いできますのでよろしくお願いします!」


「おはよう。朝から晃弘がいるってのは初めてだな。赤羽さん、今日一日使って何をやってもらおうか?」


「それでは先日作っていただいた居酒屋の注文システムの納品に北山さんと行ってもらいましょう。セッティングとテストもありますから人手がいると助かります」


「承知しました!よろしくお願いします!」


 僕は北山さんと一緒に社用車に乗り居酒屋に向かった。


「結構大きな居酒屋ですね」


「そうですね。二階建ての居酒屋ですからタブレットで注文できれば態々スタッフが上に上がらずに済みますからね」


 店主さんに挨拶をして各テーブルにタブレットを置いていく。ちゃんと充電できるように各テーブルにコンセントが備わっていた。


「このシステムを入れるために電気工事をして改装したみたいですよ」


 自分で仕事を始めたから分かる。電気工事もこのシステム開発にも相当お金がかかっている。それをしてでも業務改善してさらに売上を上げようとしているんだ。その決断にはかなりの覚悟がないとできない。失敗したらただの損だからね。


 この居酒屋の売上が上がりますように!と祈りながらセッティングを完了し、テストを行った。テストも問題なく動作したのでこれで作業完了だ。


「これにて作業は終了となります。エラーなどの不具合が出た場合はきちんとアフターフォローをさせていただきますので、何なりと申し付けください。それでは失礼します」


 居酒屋を出た時にはすでに14時を過ぎていた。昼休みも取らずに集中していたから時間がそんなに経っていたことに驚いた。


「北山さん、濃山高校の試合の結果を見てもいいですか?」


「ああ!しまった!試合のことを忘れていましたね!結果を見てましょう!」


 急いでスマホを開き、試合結果を確認した。0-2で敗退という結果が目に飛び込んできた。

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