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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第54話

 今日、僕は生まれて初めて学校をサボる。サボって分かったことは、罪悪感がものすごいってこと!


 二度とこんなことはしない!って心に決めて教習所に向かった。試験時間は30分。サボってまでして試験を受けたんだ。絶対に受からないといけないという気持ちで試験に臨んだ。


 結果は合格!柄にもなくガッツポーズをしてしまったほどに嬉しかった。すぐに原付講習が始まって実際に原付を運転してみたけど、アクセルを徐々にかけていかないといけないのに力加減が分からなくていきなり急発進させてしまったし、スピードが自転車と違うから怖かった。ちょっとずつ慣らしていきながら乗らないといけないなと感じた。


 最後に免許証が交付され、これからは自転車じゃなくて原付での移動ができる。移動範囲も広がるし、移動時間も短くできる。来週原付が来たらすぐに学校に申請しよう。


 交付までに時間がかかったので今日はカンジエスでの作業はなしにしてもらい、そのままそろばん教室へ。いつも通りに過ごしてフリーの時間になった時に瞬と薫が部屋にやってきた。


「おい!晃弘!体調大丈夫か!……って全然元気じゃん!」


「え?一体二人してどうしたのさ?」


「はいこれ。今日の授業で出たプリントと宿題。先生に頼まれたからお見舞いがてら渡しに来ただけだよ」


 薫が差し出したプリント類を受け取る。ノートの板書まで入っている。こんなに丁寧に解説とかが書かれているのを見ると、サボったことへの罪悪感が蘇ってくる。


「体調不良で休みって聞いたけど、もう体は大丈夫なの?本当は学校サボったとかじゃないよね?」


 ギクッ!薫は鋭いなあ。実のところ、原付の免許取ったんだ!って全国大会明けにでも話そうと思ってたんだけど言わない方がいいね。


「晃弘に限ってサボるなんてことはないと思うぞ。な?晃弘」


「う、うん。ほ、ほら、風邪とかだったら瞬にうつしちゃ悪いからね。大事を取って休んだんだよ。この通り、何事もなかったから明日からは普通に学校に行けるよ」


「まあ元気になったんならそれでいっか。それじゃあ帰りましょ、瞬」


「すまん、ちょっと晃弘と二人だけで話がしたいから先に帰ってもらっていいか?」


「うん、いいよ。それじゃ二人ともおやすみー」


「うん、おやすみ」


 薫が部屋を出て行くのを見届けると、瞬が真剣な表情に変わった。


「なあ晃弘。俺、薫に告白しようと思ってるんだ」


 おお……、ついにその時が来たか。


「いいんじゃない。告白のタイミングはいつって決めてるの?」


「ああ、全国大会が終わってからにしようって決めてる」


「全国大会は一つの区切りだろうから、タイミングとしてはいいと思うよ。よく告白しようって決心したね」


「今回全国大会までのサポートをお願いして食事の管理、体のケアとかやってもらって本当に助かった。色々と面倒を見てもらってる内にもっと薫と同じ時間を過ごしたいなって思ったんだよ。サポート役としてじゃなくて恋人としてさ」


 全国大会に向けて仲を深めてくれればと思っていたけど、思った通りになったというわけだね。これで僕達三人の関係もようやく終わりを迎えられる。


「うまくいくといいね。応援してるよ」


「ああ!玉砕した時は骨を拾ってくれよな!」


 大丈夫だよ、瞬。100%成功の勝ち戦だから。薫はずっと待ってたんだから。これで無事薫が勝ちヒロインでめでたしめでたしだ。


「まあその時が来たらね。そんなマイナス思考はよくないよ。ポジティブにいこう!」


「確かにそうだな!それじゃ告白する時が来たら言うから近くで見守ってくれよな?」


「ええっ!なんで僕が告白に立ち会わないといけないの?」


「これでもかなり勇気を振り絞ってるんだ。晃弘がいれば頑張れる!頼む!」


 僕が幼馴染二人にできる最後の仕事と考えればいいか。


「分かった。二人の結末を見届けさせてもらうよ」


「ありがとな!よし!これで全国大会さらにやる気が上がった!それじゃ帰るわ!」


「うん、おやすみ」


 なぜかは分からない。今日取得できた原付の免許に対する喜びは全くなくなっていた。





 木曜日、明日の授業が終われば夏休みに入る。その直前の日。学校内は全国大会の話題で盛り上がり、特に変わらず過ごしていた昼休み。いつものように三人で勉強会を始めようとした時だった。


「速水、向井の勉強なんだが、今日から俺が見ることにする。それでもいいか?」


「別にいいよ。僕は僕で勉強するだけだからね。何かあったの?」


「ま、まあね。色々とあるんだよ」


 元気のない向井さん。濁されたから何かあったはあったんだろうけど、教えてはもらえそうにないね。


 大木君の発言通り、向井さんの勉強は大木君が見始めたので僕は僕で自分の勉強を始めた。


ガラガラ!


 ドアが突然開き、なんと鉄平さんと黒羽先輩が現れた。


「やあ速水君、うんざりしている人を連れてきたよ」


「鉄平さん!?なんでここが分かったんですか?」


「私が宗像先輩とこの時間、ここに来たからそれを鉄平に教えただけよ」


「黒羽先輩、教えないでほしかったです」


「今さらだよ速水君。それでこれが君が前に言ってた勉強会ってやつだね?」


 観察力があるね、鉄平さん。筋肉にしか興味がないって言ってた割にはしっかり見ている。


「はい、そうです」


「じゃあちょうどいい。凛音、この前言ってた勉強を教えてあげてほしいって話だけど、愚痴を言い合いながら速水君達に勉強を教えてやってはくれないか?」


 黒羽先輩は腕を組みながら何か考えているようだ。


「うーん、愚痴を言い合うって言っても全国大会まででしょう?それに私に何のメリットもないわ。勉強を教えるに見合う対価がないと無理ね」


「それならこれはどうだろう?凛音が勉強を教える。教える代わりに速水君が生徒会の仕事を手伝う。ちょうど体育祭と文化祭関連の仕事が始まったところだ。人手が足らない生徒会にとってはいい話だと思うけど、どうかな?」


 えー、それは僕が嫌だな。時間を拘束されてしまうから自分の仕事ができなくなってしまう。


「黒羽先輩とそちらの方、それなら俺が手伝いますよ。うちの社長は忙しいんで」


「社長?」


「大木君!それはまだ言っちゃだめだって!」


「速水、これは交渉だ。しかも仕事というなら商談と言ってもいいかもしれない。だから黒羽先輩達には開示してもいいんじゃないか?生徒会の仕事をタダで請け負う。その代わりに対価として勉強を教わる。生徒会の仕事は社員である俺に任せる。それなら問題ないだろう?」


 なるほど、エイチエーサービスのカンジエス以外での初の取引先は濃山高校生徒会という訳ね。

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