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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第43話

 火曜日。大木君がゲームを封印したおかげで大木君のノルマである動画編集1本が朝の間に完了した。この調子でもう1本担当してもらうことになった。これで僕の負担がかなり減ったのは大きい。


 昼休みまでの休み時間は昨日と同じく多くの生徒が押し寄せ、これじゃ落ち着けないということで僕らは事務所へ避難して少しの時間でもノルマを達成しようと頑張った。


 昼休みの勉強会は向井さんが昨日に引き続き変なテンションだった。本当に一体どうしたんだろう?


 放課後、僕はいつも通りカンジエスで作業をして速読術教室へ。速読術教室を終えた足でジムに寄って入会手続きをした。これで今日から24時間使いたい放題だ。


 いつものランニング後、ジムへ到着。すでに鉄平さんが待ち構えていた。


「やあ速水君!軽くウォーミングアップをしてきたようだね」


「いえ、日課のランニングを終わらせてそのまま来ただけです」


「ランニングをやっているのか。それなら足の筋力はそこそこあると見ていいね。そうするとベンチプレスとスクワットを交互にやっていくところから始めようか」


「ペンチプレスとスクワットを交互に行うってかなりハードじゃないですか?」


「違う違う。ベンチプレスを1日やったら、次の日はスクワットをやろうという意味さ。1日置きに交互に行うんだよ」


「それはなんでですか?」


「人間には超回復という力が備わっているのさ。簡単に言えばダメージを5受けたら人間の体は7回復しようとするんだ。プラス2が筋肉になるというわけ」


「なるほど、そうなんですね。その超回復は1日置きが効果的ということですね?」


「そうだね。だから1日は上半身、1日は下半身と交互に鍛えるようにすればいいよ。はい、これ」


 渡されたのは長いバー。これだけでも僕からすればすでに重い。


「このバーは基本的には20㎏なんだ。まずはこのバーだけで負荷をかけて慣らしていこう」


 鉄平さんにフォームを教えてもらいながら1セット10回を5セットやった。


「やばい……。もう力が入りません」


「それでいいんだよ。まだフォームにブレがあるからもう少しこのままでやっていこう。あとは上半身周りのトレーニングマシンを使って上半身を鍛えるといいよ」


 ジムでのトレーニングはベンチプレスも入れて約1時間。鉄平さん指導の元、上半身をいじめ抜いた。


「お疲れ様!帰ったらしっかり食事は忘れないようにね!」


「はい、ありがとうございました……」


 きつかった……。最初にランニングを始めた時と同じような感じだった。これも継続しないといけないね。


 家に帰って風呂に入って食事をする。父さんには土日の現場周りについて打ち合わせをしてどういうルートを回って巡回するのか、水分補給をいつのタイミングで行うのかなどの調整をした。父さんはいつもの仕事と違うからすごく楽しみにしている感じだった。


 そうしてようやくフリーな時間になり、時計を見れば21時。ここからはノルマを達成するために集中しないといけない。自分の部屋に入ると、僕のベッドの側面を背もたれにして、ツキと気持ちよさそうに眠っている薫がいた。


 疲れてるなら無理しなくていいのに……。風邪ひいちゃうよと起こそうとした時だった。


「頑張って……」


 薫が寝言を呟いた。夢の中でも瞬を応援してるなんてよっぽどだなあ。今度の土曜が決勝だもんな。今は全国が懸っているから邪魔したくないっていうのがあるだろうけど、全国が決まれば大会までしっかりサポートするんだろうね。


「ほら、そんなとこで寝ちゃ風邪ひくよ」


「ん?あぁ……。んー!いつのまにか寝ちゃってた」


 背伸びをしながら目を覚ます薫。起きた勢いでツキが足から滑り落ちた。


「あっ!ツキごめんね!」


「だいぶお疲れのようだね。家に帰ってゆっくりした方がいいんじゃない?」


「そうだね……。そうするよ。晃弘はジムどうだった?」


「絶対に筋肉痛になってる自信はあるね」


「ふふっ。何その自信」


「それくらい追い込んだってことだよ。早く帰って寝るんだよ」


「うん、じゃあね。おやすみ」





 水曜日、木曜日と決勝戦が近づくにつれ、学校のボルテージが高まっていくのを感じた。学校中の話題はサッカーの決勝戦一色と言ってもいいくらいになっている。


 そして決勝戦前日の金曜日、最近様子のおかしい向井さんに思い切って聞いてみた。


「ねえ向井さん。ここ一週間何か様子がおかしいけどどうしたの?」


「えっ?そう?そんなことないと思うんだけどなー」


「何か無理をしている感じがする。速水だけじゃなくて俺もそう感じているんだ。正直に話したら楽になるかもしれないぞ?」


「まあ、そう見えるよね。白状するよ。簡単な話、正直この時間が今ものすごい楽しいんだ!勉強が分かってきたとかできるようになったとかもあるけど、誰にも邪魔されない空間で特別な時間を過ごしているって感じ?それが心地よくてさ」


「それなら無理に浮つく必要なかったんじゃないの?」


「私だけ楽しい!だったら恥ずかしいじゃん?」


「僕もこの時間はとても貴重だと思ってるよ。この時間がなかったら他の時間を勉強に回さないといけないし、向井さんを教えることで大分理解度が上がったからね。ありがとう」


「い、いや、お礼を言うのはこっちだし」


 ぷいっとそっぽを向く向井さん。顔は良く見えないけど耳が赤くなっている。照れているのかな?


「話は変わるが向井は明日は応援に行かないのか?」


「うん、前も言ったけど土日は試合が入っているからね。本当は応援の方に行きたいけど仕方ないよ。大木君は行くの?」


「ああ、もちろん応援に行くぞ!二人の分も一緒に応援しておくから任せておけ!」


「二人?速水君も行かないってこと?」


「うん、そうなんだ。色々と予定があってね」


 結局この時間もサッカーの決勝戦の話で盛り上がってしまった。まあ前日だし、もう二度とないかもしれないからね。


 授業が終わり、帰りのホームルームで決勝戦のことについて諸注意と連絡があった。明日は先生達も見に行くらしい。


 学校を挙げて応援をする中で僕は明日の仕事のことで頭が一杯だった。父さんと何度も入念な打ち合わせをして無事何事もなく土日を終えられるように準備をしっかりと整えた。

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