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負けヒロイン負けヒロインって言ってるけど勝ちヒロイン確定だから!  作者: パミーン


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第41話

 放課後になり、僕は師匠のところへ向かった。集落に着くと清水さんが動物たちにエサをあげていた。


「こんにちは清水さん。お給料でエサを買ってあげたんですか?」


「おお、速水君。そうなんだ。特に俺に懐いているこいつにいい思いをさせてやろうと思ってな」


 清水さんの指さす先にはダックスがいた。


「かわいいダックスですね。本当に色んな犬種がいますね。ダックスまでいるとは思いませんでした」


「多分赤ちゃんが生まれ過ぎて面倒見切れなかったんだろうな。こいつも入れて四兄弟で捨てられてたんだ。それで三匹は引き取り手がいたんだがこいつだけは残ってしまってな。それで俺が赤ちゃんの頃から面倒を見たからもう俺のペットのようなもんなんだ」


「名前は何ていうんですか?」


「俺はシロウと呼んでいる。他にも色々呼ばれてるんだがそれを理解しているから賢いやつなんだ」


 シロウはいつもよりいいエサをもらえてるんだろうね。必死に食べている。


「速水君のおかげでもう一度頑張ろうと思えたよ。ここを去る時が来たらシロウも連れていこうと考えている」


「いいですね!それが叶うように一緒に頑張りましょう!」


 清水さんと別れて師匠のところへ辿り着いた。


「こんにちは師匠!今日もよろしくお願いします!」


「ああ、よく来た速水君。早速だがまた嬉しい悲鳴だぞ」


「さらに人数が増えるんですか?」


「そうだ。土日の2日頑張れば2万円が手に入る。それがみんな魅力的に感じるらしい。今回は三名が名乗りを上げている。これで十名だな。毎週増えるとは予想以上だ。これも君の力だ。ただ一点問題が発生する」


「なんとなく分かります。僕を入れて十一名を受け入れてくれる現場があるかってことですよね?」


「いい読みだ。その通り!前回のフェスの機材搬入のような現場であれば人手は多い方がいいが、定期清掃などはそこまで人は必要ないし、イベントも力仕事以外であれば受け入れてもらえるが専門の技術を持っているわけじゃない。そこが悩みどころだ」


 うーん、まだ勤怠システムもできていない状態だし、皆さんもスマホを持てていない。人を分けて現場に送るのは難しい。どうすればいいんだろう……。あっ!


「そうだ!師匠!僕の父さんに手伝ってもらうのはありですか?」


「ん?それはどういうことだい?」


「父さんは車で移動ができるので各現場の状況を確認できます。あと、これは昨日熱中症でジャグを用意したことをお話したと思いますが、熱中症対策でジャグを複数車に積めばしっかり熱中症対策もできます。どうでしょうか?」


「なるほど、それはいい案だが、お父さんは土日しか対応できないんじゃないか?そうなると平日はどうするんだい?」


「平日に皆さんに動いていただくにはまだ準備が整っていません。ですので夏休みまでに準備が整うまでの土日はそのように対応させていただきたいです」


 かなり無茶苦茶なプランだし、父さんの休日を犠牲にしてしまうけど、なりふり構っていられない。


「面白い。かなり強引なやり方だが、それもまた若さ故にできることだ。普通なら却下するところだが、どこまでできるのか見てみたい。いいだろう。お父さんの分も一人工として計上していい。夏休みまでの間だけ許可しよう」


「ありがとうございます!それと話が変わるんですけど、労働保険に加入しないといけないことが分かりました。これはすぐにでも対応した方がいいですか?来週模試で早く学校が終わるのでその時に申請しようと考えているんですが、どうでしょうか?」


「あー!すまない!完全に失念していた!人を雇い入れたら申請しないといけないから早急にしないといけない。それに36協定や就業規則なんかも提出しておいた方がいい。社労士を雇って手続きをしてもらうようにしよう」


「それだとお金がかかりますよね?」


「もちろんだ。だが、本来であれば私が教えて準備を整えて広瀬さん達を雇う必要があったにも関わらず失念していた。完全に私の落ち度だ。この費用に関しては私が出そう。すまなかった」


 僕に頭を下げる師匠。僕みたいなまだ半人前の人間にも自分が悪かったら頭を下げるなんて普通の大人ならしないと思う。僕もこういう大人になろう。


「しかしよく労働保険に気づいたな。普通に大人でも知らないであとから加入しないといけなかったってなることも多々あるというのに。これも君の才能なんだろう」


 その後、広瀬さん達もやってきてみんなで談笑して家に帰った。


「ただいまー!まずはランニング行ってくる!そのあと相談があるから聞いてもらえるかな?」


「おかえりー!いいわよ。とりあえずランニング行ってらっしゃい!」


 ランニングをして風呂に入って夕飯となり、僕はそこでさっきの案を説明した。


「晃弘……、勝手に話をつけるなんて……。お前というやつは……」


 父さんが珍しく怒っている。やっぱり貴重な休みを奪われたからだろうか。


「面白いことをしてくれるな!父さんも役に立てるのならぜひやらしてくれ!」


 あ、怒ってなかった。てっきり怒りの鉄拳でも食らわされるのかと思ってた。


「母さん、ちなみにこれは晃弘の手伝いということで報酬はお小遣いとしてもらっていいか?」


「それが目当てだったんでしょ?それくらいはいいわよ。いいお小遣い稼ぎになってよかったじゃない」


「おおっ!本当にいいのか!?やったー!晃弘!父さんを存分に扱き使ってくれ!」


 なるほど、お小遣い稼ぎしたかったってことね。夏休みまで4週間くらいあるから日給1万円なら8万円お小遣いにできるわけだ。普通に嬉しいよね。


「お父さんが皆さんの水分補給係的な役割になるならジャグもあと2つくらいは買っておいた方がいいわね。なんだか私も楽しくなってきたわ。私も働かせてもらおうかしら?」


「母さんはミケ達の面倒があるし、ずっと専業主婦をやってきたんだからいきなり働くなんてしたら体が大変なことになる。おとなしく家でいた方がいい」


「でも父さん、僕の仕事にはパソコンを使えば家でもできるのがあるからそれを手伝ってもらうのもありだよ?」


「ダメだ!母さんには専業主婦でいてもらうために父さんが代わりに頑張ってきたんだ!それだけは譲れない!」


 父さんの謎のこだわりについて熱く語られ、フリーな時間を少しロスしてしまった。

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